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初恋(ファースト・ラブ) (Erste Liebe/First Love)

ネタばれあり!!! 
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【あらすじ】 1833年、夏のモスクワ。両親と田舎の別荘に来ていた15歳のAlexander(John Moulder-Brown)は、隣の借家へ越してきた21歳のSinaida(Dominique Sanda)を一目見るなり、その神秘的な美しさの虜になってしまった。
  彼女とその母親Zasekina公爵夫人(Dandy Nichols)を招いた昼食の時も、彼は両親や公爵夫人の話などまるで耳に入らず、美しい彼女に胸をときめかせているばかり。しかしSinaidaは彼に深い愛情を見せたかと思えば、冷酷な態度に出たりして、純粋なAlexanderの心を弄(もてあそ)ぶのだった。Ivan Turgeyevの同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら) 


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19世紀ロシアの上流社会を舞台に、没落していく貴族の気高き誇りのある令嬢と、思春期の少年の一途で純粋な思いを丁寧に描いています。爽やかな顔立ちのJohn Moulder-Brownに神秘的なDominique Sandaのキャスティングや、耽美的で詩的な風景は、実にお見事!完璧!としか言いようがありません。が、これってこんなストーリーでしたっけ?この作品を初めて観たのも原作を読んだのも遥か昔のことで、それ以降読み返すことなく今に至り、年上の女性に憧れる思春期の男の子の物語、という曖昧な記憶しかなかったので、後半の展開には軽い衝撃を受けました。

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浪漫的な心地良い風景から、いきなり食べ終わった皿の上の魚の骨・鳥の雛の群れに占領された部屋・墓地の生々しい様子…に変わる。AlexanderとSinaidaが向かい合って毛糸を巻くほのぼのとしたシーンに続いて、可愛らしい子猫が顔を見せ、優しい気持ちに包まれて安心していると、ガラーンとした別荘内部や広い部屋の片隅で食事する家族、荒廃した建物や空き家から村人たちが家具を略奪するシーンが映し出され、旧体制が崩壊していくロシアの、当時の人々の暮らしの一端を見せ付けられる。嘴のついた鳥の頭?の飾りのついたつば広帽子を被ったZasekina公爵夫人や、シャンデリアについた電球の1つ1つをピストルで撃ち落して灯りを消す男なども、美しい映像にそぐわない異質な存在で、それはまるで繊細な少年の心を弄ぶSinaidaの不安定で気まぐれな心模様のように、ぎこちなく移り変わっていくのです。が…

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Alexanderの父親の登場で、えーっ、ウソ?あれまぁ、この状況はまずいんじゃない?という意外な展開になっていく。初恋の相手が、父親の愛人だったなんて…。これじゃ、少年が可哀相過ぎるでしょう。このままギリシャ悲劇やシェイクスピア悲劇みたく、みんな地獄へ堕ちて行くのかと思いきや、少年があくまでも憧れの女性としてSinaidaを追い、思春期の淡い思い出として物語りは静かに幕を閉じる。よかったァ、というか、ホッと安心しました。

男性にとってSinaidaはコケティッシュで好奇心をそそるかもしれないが、冷静になれば彼女がかなり危ない人間だというのは、分かるんじゃないのかなぁ。取り巻き連中の男たちからチヤホヤされ、でもその中に彼女の本命なんか居ない。自分が大好きなだけの物凄く嫌な女だけど、この手の女性に弄ばれたいという、若干マゾ的な願望が、男性にはあるある、の典型ですね。

カラスの鳴き声、カラスの群れ、猟銃の散弾音。一瞬カラスの鳴き声が大きくなり、群れは遠くに飛び去っていく。小鳥のさえずり、そして決然とした主題から、夜想曲風の甘美で優雅な旋律に移るChopinのSonata(←音が出ます)にのせて、オープニング・ロールが流れる。メランコリックで心に残ります。


by amore_spacey | 2019-11-09 00:22 | - Other film | Comments(2)
Commented by 松たけ子 at 2019-11-11 00:53 x
amoreさん、こんばんは!
若き日のドミニク・サンダの美貌…きれい、かわいい女優は星の数ほどいるけど、神秘的な美貌の女優はもう絶滅種ですよね〜。でも決して羨ましいとか、あんな美しく生まれたかったとかは思わない。返って不幸になりそうだし。どの映画のドミニクも、不幸せな女ばかりですよね。冷たく男を翻弄したり傷つける美しいヒロイン、誰にでも優しい善い子ちゃんヒロインより好き!
マクシミリアン・シェルも好きな俳優です。ドロドロじゃなくて優美な感じもそそられます。美しいヨーロッパ映画、私も観たいです!
Commented by amore_spacey at 2019-11-18 01:00
☆ 松たけ子さんへ。
お返事が遅くなってごめんなさい。
ドミニクには神聖な美しさがあって、男性にとっては汚してはいけない気持ちにさせる存在なんじゃないかと思いますが、彼女が演じるのは、そんな初心な男を弄ぶ女性で、女の中の女!ちょっと許せませんが、ドミニクだからそんな役が似合うし説得力もありますね。

そうそう、マクシミリアンも素敵でした。アゴ髭ボーボーでちょっと分からなかったのですが、ググってみたら、まぁ、何とイケてること! 15歳のAlexanderを演じたJohn Moulder-Brownは、当時クールな美青年としてブレイクしました(私のタイプではありません)が、今も現役で頑張っているようですね。
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