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幸せの椅子 (La sedia della felicità)

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【あらすじ】 ヴェネツィア近郊の海辺の町でエステサロンを営むBruna(Isabella Ragonese)は、借金がかさみ経営難に陥っている。そんなある日彼女は、服役中の顧客の女囚Norma(Katia Ricciarelli)から、亡くなる直前に耳元で、自宅の屋敷の居間にある椅子に、財宝を隠していることを告げられた。Brunaはエステサロンの向かいにあるタトゥー店のDino(Valerio Mastandrea)と共に女性の屋敷を訪れるが、椅子はすでにそこにはなかった。
  BrunaとDinoが椅子を求めて奔走する一方で、Normaの最期に立ち会ったWeiner神父(Giuseppe Battiston)も、亡くなる直前に同じことを耳元で囁かれ、椅子の行方を追っていた。2014年に57歳で亡くなったCarlo Mazzacurati監督の遺作。(作品の詳細はこちら) 


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話が一体どこに向かっているのかちょっと分からない上に、椅子に隠された財宝という設定が現実離れしたおとぎ話のようで、なかなか作品に溶け込めなかったが、合間に出てくるヴェネツィアやポー川流域や山岳部の景色がとても美しく、最後に椅子を追う二人が、雪の残る高い山頂を目指して、ロバの背に乗って歩いていくシーンは、心に焼きついている。彼らが椅子を探す道中で拘わる人々は、変わり者が多いけれど、相手を温かく優しく包み込み、テンパッている彼らの気持ちをひとまず落ち着かせてくる、有難い存在でした。世の中、金がなくちゃ回っていきませんが、金では得られないものもたくさんあるんです。

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Valerio Mastandreaは、軽いコメディや謎めいた男や絶望のどん底にいる男など様々な役どころを、彼らしい抑えの効いた表情や口調で淡々と演じ、その何ともいえない味わいに惹きつけられます。神父を演じたGiuseppe Battistonは、どんな役をやっても胡散臭いキャラがつきまとい、あのデカい体格と相まって存在自体が面白い。ValerioやGiuseppeの素朴な風貌がいいなぁ。女囚役のKatia Ricciarelliは、ベテラン女優でありながら、ほとんどカメオ出演?な感じで、すぐに退場しますが、彼女もコメディからシリアスまで守備範囲が広く、おまけにオペラ歌手でもあり、天は二物も三物も彼女に与えたんですねェ。

借金を抱えて閉店に追い込まれるかもしれないBruna、離婚後の養育費の支払いに悩まされるDino、お金に困っているWeiner神父の3人、立派な大人が椅子探しにドタバタ右往左往する姿は、ばかばかしいほど滑稽なのですが、今日のごはんにも困るような経済困窮に見舞われたら(見舞われなくても、好奇心から)、私も椅子探しに参加すると思います。


by amore_spacey | 2019-11-23 01:16 | - Italian film | Comments(0)
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