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ジェラシー (Dramma della gelosia - tutti i particolari in cronaca)

ネタばれあり!
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【あらすじ】 ローマのある夜、レンガ職人Oreste(Marcello Mastroianni)はビラの屑の中で眠りこけているうちに、美しい娘を腕に抱いていた。彼女は花売り娘のAdelaide(Monica Vitti)で、以前からOresteに秘かな想いを寄せていた。それまでのOresteの人生は無味乾燥なもので、年上女房Antonia(Josefina Serratosa)との間には、愛のかけらもない。Adelaideの出現は、天にも昇る出来事だった。
  しかし間もなく妻に浮気がばれて、AdelaideとAntoniaは壮絶な掴み合いの喧嘩になり、Adelaideは病院に運ばれる。ところが退院祝いに二人で行ったピッツェリアで、ピッツァ職人の一人Nello(Giancarlo Giannini)が、Adelaideに一目惚れしてしまう。1970年のカンヌ映画祭で、Marcello Mastroianniが主演男優賞を受賞。(作品の詳細はこちら) 


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この映画は容疑者Oresteが警察官に連れられて、殺人の現場検証に立会うシーンから始まり、回想形式で殺人に至ったいきさつを語りながら、男女の三角関係を描いている。手っ取り早く言うと、おバカな妄想女に振り回された、これまたおバカな二人の男の悲喜劇という所でしょうか。典型的な艶笑劇ですが、思いがけないラストシーンに、心を持っていかれた。ユーモアや笑いに隠された、人間の儚さや哀しさが身に沁みるのです。

女1人男二人の三角関係にも色々あって、『夕なぎ』や『冒険者たち』では、最終的に男の友情を、本作品は愛する女性のために身を引く姿が描かれている。ラストシーンでは、思わず画面の中に飛び込んでいって、Oresteを抱き締めたくなりました(涙)

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とにかくOresteを演じたMarcelloが、心憎いばかりに素晴らしかった。若い頃は女をコケにしたチャラい男を演じることが多く、それがまたハマり役で説得力もあった。今回のみすぼらしい身なりのレンガ職人という労働者の彼も、板についた自然な演技で、そればかりか人生詰んだと思っていたのに、Adelaideの登場で、何?このバラ色の展開は?という子どもレベルのはしゃぎっぷりから、ピッツァ職人へのジェラシー(果てはAdelaide本人への愛憎、公衆の面前でなりふりかまわず彼女を罵倒し、往復ビンタを食らわせる)まで、目まぐるしく移り変わって行く男の気持ちを、Oresteとして生きるMarcelloがリアリティある演技で体現してくれました。

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Monica Vittiは大好きなイタリア女優の一人で、彼女のクールで乾いた(サバサバ系とは違う、別の惑星で生きているような、ちょっと現実離れした)雰囲気が魅力的で、彼女から目が離せないのです。本人の意図とは無関係に、なぜか恋愛絡みで男から殴られる役が多いのですが、それでも一度好きになった男を易々と諦めない。男にしてみれば、最高に都合のよい可愛い女です。

三角関係になっても、Monicaの乾いたキャラや、二人の男たちの憎めないキャラが幸いして、それほど陰湿な印象を与えない。もしAdelaideを官能の女神Monica Bellucciが演じたら?ヒステリックなGiovanna Mezzogiornoが演じたら?冷静に見えていつもテンパッているMargherita Buyが演じたら?随分違った色合いの作品になったに違いない。

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ローマが舞台なのに名所旧跡は全く登場せず、ゴミの山や季節はずれの閑散とした海辺でのデートやレンガがむき出しになったOresteの小汚い家や閉店後の汚いメルカートがよく出てくる。かと思えば、町の大通りを行き交う車は、どれも小型で可愛らしくおしゃれなんです。Armando Trovajoliの音楽(←音が出ます)が70年代らしいメロディで、懐かしさのあまり胸がきゅんとなりました。


by amore_spacey | 2019-11-26 00:39 | - Italian film | Comments(0)
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