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マイ・マザー (J'ai tué ma mère/I Killed My Mother)

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【あらすじ】 ケベック州の何の変哲もない町に暮らす17歳のHubert Minel(Xavier Dolan)は、他の若者たちと変わらない普通の青春時代を送っているが、母子家庭で一緒に暮らしている母親(Anne Dorval)との関係に悩んでいた。食べ方やセンスのないセーターや度重なる小言など、彼女の全てが気に障り、愛憎入り混じった感情に振り回されている。
 そんな中ある日Hubertは、幼少時代から馴染みのある風景で、セント・ローレンス川沿いの土手に座っている母親を見つけた。(作品の詳細はこちら


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ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』でCesareを演じたFrançois Arnaudの虜になり、彼の出演作を探していたところ、ここに辿り着いた。主役・脚本・監督を担当したXavier Dolanが、若干19歳で自分と母親の感情をこれほど客観的に丁寧に分析していることに、衝撃を受けました。

親子の関係という語り尽くされたテーマも、類稀な感性や芸術的センスのある彼の手にかかると、小粋でキリッと引き締まった斬新なドラマになる。1時間40分弱の枠の中で、シングルマザー・思春期の息子と母親それぞれの厄介な感情・彼らの精神的な関係・息子のセクシュアリティ・同性愛のしがらみ・高校の女教師との関係・寄宿学校での暮らし…と盛りだくさんの内容を、満遍なく描き出しています。Xavierって、末恐ろしいコワい子。

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私にも思春期があり今は母親という立場なので、両方の気持が分かる。ただ私には反抗期が殆どなかったのと、息子を持ったことがないので、ストレートに感情をぶつけ合う二人を観て、こんなにも自分をさらけ出せるものなのかと、純粋に驚きました。こうやって喧嘩しながらも、今日は母さんなんて大っ嫌い、顔も見たくない!と叫び、でも明日になったらやっぱり好きだよとハグし、母親への愛情と憎悪の間を行ったり来たりしながら成長していくものですね。

大人になったら悟りの境地が開けて、親子の関係は永遠に良好で安定するのかと言えば、互いの年齢や立場が変わっても、両者の間に甘えや期待の感情がある限り、スパッと割り切れない、釈然としない思いに悩まされ続けるんです。なかなか厄介ですね。

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さてお目当てのFrançois Arnaudは、主人公の恋人Antonin Rimbaudを演じていましたが、いや、もう、実にエロくてドキドキしました。いったい何なんだろう、彼が放っているあのフェロモンは!ペンキまみれになって抱き合うシーンは、とても綺麗で象徴的。可愛いところもあって、Hubertが寄宿学校へ行く前に、粘土の人形を作って、さりげなくプレゼントしてくれたりするんです。Antoninも母子家庭なんだけど、母親と仲が良くて、彼女は性にも開放的で弾けている。そんな二人をHubertは、密かに羨ましく思っているのだ。

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僕と母さんだって、昔はいい関係だった。どうしてうまくいかなくなったんだろう。でも、大丈夫。子どもの頃、母親と遊んだことがHubertの原体験となっているなら、この先何があっても、綻びた関係をきっと修復できるはず。バックに流れるピアノの音色(←音が出ます)が、切ない思いを募らせます。


by amore_spacey | 2020-01-09 00:44 | - Other film | Comments(0)
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