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馬を盗みに (Out Stealing Horses/Ut og stjæle hester)

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【あらすじ】 1999年11月、ノルウェー湖畔の小さな家。3年前に妻をなくした67歳のTrond(Stellan Skarsgård)は、愛犬とひっそり暮らすという長年の夢をかなえようとしていた。世紀の変わり目が近づくなか、ある日、顔見知り程度の隣人Lars(Bjørn Floberg)が、実は少年時代の親友の弟であることに気づく。
 それをきっかけに、長い間封印していた半世紀前の夏の思い出が、鮮明に蘇っていくのだった。ドイツ軍がノルウェーを占領していた1948年、Trondが15歳(Jon Ranes)の夏の出来事や父(Tobias Santelmann)との思い出を手繰り寄せながら、人生を振り返る。ノルウェーの作家Per Pettersonのベストセラーになった同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら

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この作品の魅力は、なんと言ってもノルウェーの自然で、冷たく澄んだ空気、太陽のきらめき、激しい雨や風、川の流れ、湿り気を帯びた苔、空に向かって聳え立つ高い木々…と、静謐な美しさを惜しげもなくみせてくれます。この偉大な自然の恵みを受けつつ、人間もまた自然の一部として生きている、15歳の少年とその父親の、素朴ながらも力強く逞しい暮らしぶりには、鮮烈で生々しい躍動感がありました。

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物語は、Trondが終の棲家と決めた小さな村の冬の情景と、半世紀も前の15歳の夏の記憶が、鮮やかに対比されながら進んでいきます。抑えたトーンで描かれるが、とりわけ前半では少年時代に一体何があったのか?という謎が私たちの好奇心を刺激しつつ、また人が生きることに伴って起こる別れや死といった喪失、性への目覚めや嫉妬、そうした悲しみや淡くほろ苦い思い、そして老いたTrondの哀しみが、視聴者の心をそっと揺り動かす。

記憶の断片を丁寧に繋ぎ合わせていくと、そこに潜んでいた微妙で複雑な人間の心の在り様が、浮き彫りになって見えてくる。記憶の1つ1つがTrondの心の痛みを際立たせるが、年老いて漸く気づいたり納得できることがある。許せなかったことも、今ならもう少し寛容になれるかもしれない。歳を重ね老境にさしかかった今だからこそ、彼は多少なりとも自分の人生を、客観的に見つめなおすことができるようになったのだと思います。ふっとした拍子に過去を振り返ること、ありますね。原作を読んでみたくなりました。


by amore_spacey | 2020-11-11 00:53 | - Other film | Comments(0)
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