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パッション・ダモーレ (Passione d’amore)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 1860年代のイタリア。人妻の愛人Clara (Laura Antonelli)を都会に残して、ピエモンテ州の寂しい山村に赴任した騎兵隊大尉Giorgio (Bernard Giraudeau)は、大佐(Massiomo Girotti)の屋敷に滞在することになった。不思議なことにこの屋敷に暮らすという、大尉の姪Foscaが全く姿を見せない。食卓の席はいつも空いており、彼女のためにいつも一輪の薔薇の花がいけられているのも、Giorgioの興味をそそる。大佐の知人の軍医(Jean-Louis Trintignant)は、彼女はとても病弱で変わった女性だと言う。
 そんな謎めいた令嬢に興味を抱いたGiorgioは、ある日ついに彼女と対面したが、目の前に現れたFosca(Valeria D'Obici)を見て、彼は固まってしまった。彼女は異様に痩せて顔色が悪く、前歯が出たギョロ目の病的な女だったからだ。しかもあろうことか、FoscaはGiorgioにぞっこん惚れ込んでしまう。執拗につきまとう彼女から、Giorgioは何とか逃れようとするのだが…。(作品の詳細はこちら


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色々な意味でインパクトのある作品で、かなり疲弊しました。Foscaという女性が異様な存在感を放っており、しばらくトラウマになりそう。もし彼女が暗闇の中にふっと現れたら、、、即死death。2人の出会いまでの細かい描写が秀逸で、Giorgioや視聴者の気持ちを弄(もてあそ)んで焦らせる。そのたびに姿なきFoscaの美化されたイメージが膨らみ、否が応でもGiorgioや私たちの期待は高まるというもの。この期待が最高潮に達した瞬間、舞台にご登場されますのが、件のFosca嬢なのです。

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そしてこの日を境に、Giorgioの悪夢が始まる。彼に一目惚れしたFoscaの恋愛や性の濃さが尋常ではなく、Giorgioが何度拒んでも諭してもまとわりつき、それどころかどんどんエスカレートしていく。哀れな青年将校はそんな彼女から、何とか逃れようと必死になるのですが、逃げれば追われる、追われれば逃げる。部外者には2人の姿が何ともシュールで、ホラーコメディに見えます。

しかしそのうちに彼女の教養の深さや詩を愛する心、何より気持ちの美しさに、青年は魅かれていく…ようなのです。愛は本当に美醜を超えるのか?私が将校だったら、情にほだされて一時的には彼女に優しくするかもしれません。が、もはや感覚が違いすぎて、どういう気持ちで彼らを見守ればいいのか分からない。ラストシーンのGiorgioには、案の定というか、やっぱりなぁとため息が出るばかり。

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もとはと言えば軍医の勝手なお膳立てのせいで、Giorgioの人生が狂ってしまったのだ。あれこれ余計な口出しをしたり、「一度でいいから、寝てやれよ」的なことも言ってそそのかしたり。この軍医をJean-Louis Trintignantが巧みに演じている。ここまでテキトーで無分別・無責任なキャラも珍しく、またこれが不思議と適役なんです。

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「美しい私は1人でも大丈夫だから、その可哀相な醜女のそばにいてあげてちょうだい」と言ってのけるのは、美貌に恵まれた愛人Clara。余裕のあるお言葉ですが、恋愛体質の彼女の感覚にも、共感できなかったな。Scola監督の異色作品で、グロテスクな面白味はありましたが(映像の美しさは流石です)、誰にも感情移入が出来ず、何とも言えない後味の悪さが残りました。


by amore_spacey | 2020-12-13 02:07 | ┗ Ettore Scola | Comments(0)
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