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カタクリ家の幸福

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【あらすじ】 長年勤めていたデパートをリストラされ、 「もうじきここに、大きな道路ができる」という友人の言葉を信じたカタクリマサオ氏(沢田研二)は、妻テルエ(松坂慶子)・息子シンジ(武田真治)・娘シズエ(西田尚美)と彼女の娘ユリエ・祖父ニヘイ(丹波哲郎)の家族6人で、ペンション『白い恋人たち』を始めた。が、人里離れた山奥の小さな一軒家で、待てど暮らせど客は来ない。
 ある日ついにやって来た最初の客が、翌日なんと部屋で死んでいた。ペンションの評判を心配した一家は、死体を裏山に埋めてしまう。しかここに泊まる客が、次々と不可解に死んでいくため、やがて不審に思った警察が、捜査に乗り出した。韓国映画『クワイエット・ファミリー』を三池崇史監督がリメイク。(作品の詳細はこちら


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ジュリー1人祭り。こ、これは・・・(絶句) 悪ノリにも程がある。三池監督の史上最強の奇想天外なホラー・コメディです。強迫的なまでの家族愛や、超ナンセンスなミュージカルを唐突にぶち込んで、客がなぜか次々と死んでいく災難を、力尽くでねじ伏せる破壊力!斜め上目線を行く茶化したノリの、三池節が炸裂します。

若い女性客がスープを飲もうとしたら、中からグロテスクな生き物が出てきて、彼女の喉チンコを力任せに引きちぎる、というぶっ飛んだオープニングに、危うく脱落しかけたのですが(過去に1度脱落したことがあり、今回2度目の鑑賞)、ジュリーを心の支えに最後まで完走できました。常識とかモラルとか、それって何?な弾けっぷりですが、観終わったあと気持がスカッと吹っ切れ元気が出てくる。不思議なパワーを与えてくれる作品です。

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出演者は三池ワールドに相応しい役者が勢揃い。主役のジュリーと松坂慶子はさすがベテランで、2人の息がピッタリ合い、ボケ&突っ込みも歌も踊りも言うことなし。西田尚美とリチャード佐川(胡散臭さ満載)を演じる忌野清志郎のバカバカしい絡み。『ウエスト・サイド物語』のGeorge Chakirisに似た武田真治は、歌も踊りもなかなか上手い。TVリポーターの竹中直人や後半に登場する遠藤憲一も、チョイ役ながら強烈な印象を残す。みんな若い、20年前ですから。

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冒頭の食物連鎖や終盤の火山の大噴火などを、安っぽいクレイアニメでやっつけてしまうのも、マジか?と思わず突っ込みたくなる。〆は大御所の丹波哲郎。霊界を超越する丹波の、飄々とした台詞や表情と言ったらありません。1人だけ2テンポも3テンポも踊りに遅れ、挙句の果てには振り付けを間違える、なのにシレッと大真面目。マイペースの丹波が、堪らなく愛しい。凝り固まった頭をリセットしたい方や、三池監督の毒気に中(あた)りたい方に、お勧めします。


by amore_spacey | 2021-02-08 00:23 | - Japanese film | Comments(0)
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