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家族熱 全14話

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 黒沼家は東京の大きな戸建てに住む裕福な家庭。後妻の朋子(浅丘ルリ子)は専業主婦で、17歳年上の夫・謙造(三國連太郎)、血の繋がらない長男・杉男(三浦友和)と次男・竜二(田島真吾)、謙造の父・重光(志村喬)との5人暮らし。テキパキと家事をこなして、黒沼家を切り盛りしていた。
 そんなある日、思いもよらず夫や息子たちが、前妻の恒子(加藤治子)と会っていることを知り落胆、離婚覚悟で家を出る。高校時代の友人・時子(吉行和子)のマンションに居候し、編集の仕事を手伝うことになる。離婚した妻と後妻の確執の中で、家族とは何かを問いかける、家族の崩壊と再生の物語。(作品の詳細はこちら) 


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『家族熱』という地味なタイトルや、オープニングのクローズ・ユアー・アイズ(←音が出ます)からは想像もつかないような、一見何の問題もない幸せそうな家族の赤裸々な姿が、容赦なく暴き出されていく。雲行きが怪しくなると、クローズ・ユアー・アイズの音調も変わり、あ~、来る来るーっと身構えます。

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女たちが熱い。数々の修羅場を潜りながら、塩を塗りこまれた剥き出しの傷口や、後ろめたさ・意地・嫉妬・執念に囚われた生々しい姿を、浅丘ルリ子と加藤治子(Giulietta Masina似?)のベテラン女優が、たっぷり見せてくれます。

それと同時に2人のバトルは、視聴者の黒い感情も一緒に吐き出させ、浄化してくれるんです。終盤に於ける前妻の狂った壊れっぷりは、黒沼家の現状そのもので、凄まじく痛々しく哀れだ。人が生に執着するって、こういうことか。『寺内貫太郎一家』で良妻賢母を演じた加藤治子が、このドラマでは未練と執着たっぷりで、まぁ驚きました。

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それに引き換え、男たちはどこか頼りなくて不甲斐ない。ように見せかけた、実は面倒なことに巻き込まれないための処世術だったり。殿方って、風向きが悪くなると逃げますもの。男は自信とコンプレックスの塊で、傷つきやすいのに、家では勝手なことばかり言って、みっともない姿をさらけ出す。そんな姿を、三國連太郎が大熱演。三浦友和は仏頂面ばかりで、笑ったシーンがなかったけれど、ラストの決断に唸りました。

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「13年かかったわ。前の奥さんの瀬戸物を、全部取り替えるのに」「高い瀬戸物も、わざと割って買い替えたのよ」「後から入った人間(後妻)には、割り込むことのできない、熱いもの濃いものがある」と、浅丘ルリ子が他人事のようにさらっと言う台詞も、心臓に突き刺さる。

「距離があるからキレイにみえる。近いと嫌なものが全部みえる」って、爺ちゃん(志村喬)は鋭い。距離のとり方を間違えると、火傷する、血を見る。なかなか意味深いラストでしたが(肝心なあんなコトを最終回の後半まで出し惜しみするって…向田さんたら嫌やわぁ)、転んでもただでは起きない強(したた)かさを感じました。


by amore_spacey | 2021-03-20 00:35 | - Japanese film | Comments(0)
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