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オヤジぃ。

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【あらすじ】 開業医の神崎完一(田村正和)は、今時珍しい頑固で曲がった事が大嫌いな親父で、自分が正しいと思えば、何処だろうと誰であろうと、何か言わないと気が済まない。そんな完一の妻・美矢子(黒木瞳)や小学校教師の長女・小百合(水野美紀)、短大生の次女・すず(広末涼子)や医学部を目指す浪人生の長男・正(岡田准一)は、いつも振り回されっぱなし。
 しかしその完一も、実はシングルマザーであるホステスの君塚真知子(石田ゆり子)の前では、愚痴をこぼし甘えてしまう。ある日すずが、出会って2週間しか経っていない、エリート会社員の国東博(及川光博)と結婚すると言い出し、それが一連の騒動の発端となる。


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田村正和扮するオヤジが、ビックリするほど父そっくり。ああ、昭和の父なんだなぁ。地雷のポイントといい、台詞の一字一句といい、隙のない理詰めの正論といい、そこに父がいるかのような臨場感があって、リアルタイムで観ていたら笑い転げていたに違いありません。でも3年前に父が亡くなり、オヤジを演じた田村正和も逝ってしまった今、このドラマを観ると、笑いながらも心のどこかが疼き、ほろ苦い一抹の寂しさを感じます。父は人前では、借りてきた猫のように大人しくなる、分かりやすい内弁慶の亭主関白で、そこは完一と決定的に違いました。

次女の元結婚相手の会社や、長女が働く小学校や、自分が入院した病院へ、後先考えずに怒鳴り込んでいく。スイッチが入ったら間髪入れず突っ込んでいくオヤジは、今だったら、「老害」「うぜぇよ、おっさん」「オヤジぃ、いい加減にしろよ」とバッサリ。それどころか、警察沙汰(このドラマでも)になったり、「もう、限界」と妻や家族に愛想をつかされる案件です。

IOCやWHOや日本政府や東京都の、2021年東京オリンピックへのグダグダな対応を、この頑固オヤジが知ったら、絶対に黙っちゃいない。火だるまになって、スッ飛んでいくぞー!

ミッチーの会社に怒鳴り込んで警察に引き渡されたあと、家族5人そろって警察署を出て、黒木瞳の「ねぇ、お腹空かない?」からの屋台ラーメンの流れは、最高でした。それから医者が入院患者になると、まぁ面倒くさいね。大部屋から個室に強制移動って、オヤジらしい。大部屋で彼と一緒になったら、毎日ネタがありすぎて、一味違った入院ライフが送れそうですが。

家族って、距離の取り方を間違えると、ホントに煩わしく面倒くさい。思いやる気持ちは十分あるのに、照れくさくて言葉に出して言えない。むしろ正反対のことを言ったりやったりしてしまうから、ややこしくなって問題が起きる。どうして素直になれないかなぁ、と自問自答すること多々あり。視聴者もそこのところを、頭ではよく分かっているだけに、そんなシーンが出てくると、居心地が悪くなってしまう。家族って、良くも悪くもそういうもんね。なかなか本音が言えない、格好悪いトコは見せたくなくて、強がっちゃう。

主役も脇役も、素晴らしい役者が揃っていました。中でも、ガングロ女子高生(矢沢心)は、最強のインパクト!見た目はもちろん、田村正和に向かって説教したり、タメ口きいたり、遠慮なく擦り寄ったりできたのは、彼女だけ。父と息子の喧嘩シーンも迫真の演技で、スタジオ内は凍りついたかも。田村さん自身、「手加減しなくていいとは言ったよ。だけどさ、あいつ(岡田准一)、本気でやりやがった。ったく、痛てぇんだよ」なんて、家に帰って苦笑しながら、奥さんに愚痴ってたのかしら。

その矢沢心や岡田准一も台本を読んで、「ええーっ、ちょっと待ってよ」「神のような存在の田村正和さんに、こんなこと言っちゃっていいの?」「いや、冗談だろ。本気で殴れって、オレ、ムリだよ」「ファンに殺されちゃう」なんて泣きが入って、撮影中は超緊張(NG嫌いで有名な田村さん相手だから、失敗しちゃいけないってプレッシャーも半端なく)で滝汗ダラダラ、撮影前後には田村さんとこに走って、土下座で平謝りしたのかな?てなことを想像したり。ゲイをカミングアウトしたミッチーや、青空製薬の営業マン・加藤浩次、ホステス役の石田ゆり子も良かった。


by amore_spacey | 2021-05-24 01:43 | - Japanese film | Comments(0)
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