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ローマの人々 (Gente di Roma)

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 バスの中のおかしな人々・交差点に止まる車の窓拭きで小銭を稼ぐ移民の男・浮浪者同士の喧嘩・介護施設の祖母を見舞う孫娘・レストランで夕食をとる年老いた父親と息子・死者の会話が聞こえる男など、"永遠の都"ローマに生きる市井の人々の、いつもの1日を追いかけたモキュメンタリードラマ。
 早朝から深夜までの、20以上のエピソードが語られる。それらをつなぐのは、ローマ市内を走るオレンジ色の市バスである。(作品の詳細はこちら


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いつものように妻は、弁当のパニーノを作って夫に持たせる。が、失業したことを言い出せず、夫は今日もアパートの向かいのバス停からバスに乗って「出勤」するエピソードに始まり、ナヴォナ広場のベンチに座るホームレスの男のもとへ、貴族の老紳士が馬車で乗りつけるエピソードで終わる。

いきなり場面が変わることもあれば、1つの話が終わるその場所で、すれ違うもう1人が次のエピソードの主役だったり。これといった脈絡もなく、淡々と進んで行くのですが、ローマが抱える厳しい不況・増加する外国人や不法移民・高齢化問題などを、辛口のユーモアを交えながら、ミルフィーユのように小さなエピソードを丁寧に積み重ねた、味わいのある感慨深い作品でした。

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この作品が公開された2003年は、イタリアが欧州単一通貨のユーロを導入して4年目、これに便乗した値上げなどによって不況が深刻になり、移民問題について政府が強硬路線を採った頃で、当時のローマの日常風景を、独特の切り口でScola監督が捉えている。監督やローマを愛する人々の、わが子を慈しむようなまなざしが、じわじわ心に沁みてきます。

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冒頭の夫婦のエピソードは、日本でもよくある話で、夫の胸中を思うと居たたまれません。性に目覚めた思春期の2人の男の子が、目の前のポルノ雑誌には目もくれず、生の女性のスカートの中を見たくて、首を長くしたり立ち位置を変えたりする姿は、何とも微笑ましい限りです。

間もなく高齢者施設に入れられる年老いた父親と、レストランで夕食を共にする息子のエピソードは、父親の人柄やそれまでの生き方が映し出され、毒を吐き散らかしたあとの姿や、そんな父をみてハッとする息子に、熱いものがこみ上げてきました。

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日々の暮らしの中に、ローマ時代の遺跡や古い建造物が、あたり前のように溶け込んでいる。21世紀のローマがローマ時代と共存しつつ、今日もローマの人々は、割り切れない思いを胸に抱きながらも、ささやかな幸せや喜びを見つけて生きていく。ああ、また、ローマに行きたくなってきました。ローマの魅力は無限大なのです。


by amore_spacey | 2023-02-27 00:08 | ┗ Ettore Scola | Comments(0)
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