人気ブログランキング | 話題のタグを見る

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23001715.jpg
Alain Delon 追悼。『山猫』のイタリア語オリジナル版は187分、拡張版は205分、英語国際版は161分の長編大作。当初 Tancredi 役として、Warren Beatty が候補に挙がっていた。Claudia Cardinale はローマのチネチッタで、『8 1/2』の撮影のためスケジュールが合わず、キャンセルするところだった。

Salina 公にはロシアの役者 Nikolaj Čerkasov や Laurence Olivier の名が出ていたが、プロデューサー Goffredo Lombardo の推薦により、当初は不満のあった監督も納得して、最終的には Burt Lancaster に決まった。

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23014141.jpg
Tancredi が Angelica をパレルモの社交界に紹介する、40分以上の豪華な大舞踏会シーンに使われた、Palazzo Valguarnera Gangi(音が出ます) のロココ調の鏡の間の床には、マヨルカのタイルで、2頭の豹(ひょう)が描かれている。

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23023452.jpg
山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23180216.jpeg
Domietta Hercolani(内装担当)や Piero Tosi(衣装担当)や Cardinale へのインタビュー(←音)。

たとえば午後8時からの撮影日は、12時ごろから衣装の着付け、午後5時頃に軽い食事。主役級はほぼ食事なしで待機し、撮影は午後8時から翌朝6時まで続いた。Tancredi と Angelica の婚約晩餐会や、大舞踏会の膨大なご馳走は、全てシェフが用意。経費を節減するために食品サンプルを試作して、Visconti 監督にお伺いを立てたが、完璧主義でリアリズムに拘る彼が、よしと言うはずがなく却下。

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_15392607.jpg
山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23011630.jpg
Enrico Lucherini(映画の広報担当)と Maria Gabriella Giannice(映画評論家・ジャーナリスト)のインタビュー(←音)。

Cardinale(や他の女性陣)はドレスを着るために、60cmのウェストを、コルセットでさらに締め上げる。特に40分以上に渡る大舞踏会のシーンでは、休憩時間もドレスが型崩れしないように、木製のマネキン型にドレスを着たままはめ込まれ、これにもたれかかるようにして立ったまま休憩。撮影が終わりコルセットを外すと、血が滲んでいた。トイレはどうしていたの?

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_15393774.jpg
あまりの息苦しさから、失神寸前になった Ottavia Piccolo は、ある時、着付け係と口裏を合わせて、コルセットなしでドレスを着て、撮影に出た。しかし衣装担当の Piero Tosi に見つかってしまい、厳重に注意されたという。

 
山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23022515.jpg
山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_16272712.jpg
屋敷内に飾られた花は、毎日コート・ダジュールやリグーリアから生花が届けられた。大舞踏会で点けられる400本近いキャンドルは、全て本物のキャンドルというのは都市伝説で(初めは全てキャンドルだったらしいが、撮り直しが重なるにつれ不可能になる)、撮影カメラの前の数本や、Burt Lancaster が葉巻につける時など、アップシーンのキャンドルは本物で、残りは豆球を使っている。

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23035248.jpg
舞踏会の場面のエキストラは、1/3が実際のシチリア貴族の末裔たちである。

山猫 (Il Gattopardo) よもやま話_e0059574_23040298.jpg
因みに、『若者のすべて』以来、公私ともに親密な関係だった Alain と Visconti 監督は、本作以降、絶縁状態になった。Burt Lancasterよりギャラが安いのを不満に思った Alain が、監督にギャラアップを迫ったのが原因らしい。金の切れ目が縁の切れ目。

またこの映画は米国での興行成績が芳しくなかった(オリジナル版から40分ものフィルムが、若き Sidney Pollack によりカット・編集、それにも関わらず冗漫だった)ため、巨額の制作費を賄うことができなくなり、配給元のTitanus社は破産寸前に追い込まれ、映画制作を停止した。

【関連記事】『山猫』シチリア料理とお菓子


by amore_spacey | 2024-09-07 23:23 | ┗ L. Visconti | Comments(2)
Commented by stefanlily at 2024-09-13 01:02
こんばんは、
まあー。さすがに大作らしいエピソードばかり。
原作を図書館から借りて読みました。岩波文庫。
公爵の長女、タンクレディに惚れてるけど、温和しくて、父からは「家をタンクレディと共に再建させられる」とは見なされない…がいましたね。映画では、成金の娘であるアンジェリカが遥かに華があり、圧倒的な存在感ですよね。
原作は長女の視点も割と大きく描写されていますよ。
「夏の嵐」も好きです。
アリダ・ヴァリは「かくも長き不在」「第三の男」も良かったし。
情念の女、貴族も庶民も演じたのが良かった。
Commented by amore_spacey at 2024-09-13 01:39
☆ stefanlilyさんへ
この作品に関わった人々が次々と他界されて、とっても寂しいのですが、当時の逸話が雑誌の記事や動画に残されているので、あちこち探してみました。ヴィスコンティ監督ですから、良くも悪くも役者やスタッフは大変だったでしょうね。そうそう、内気ではにかみ屋の長女コンチェッタはタンクレディに恋していたのに、アンジェリカにとられちゃったんですよね。

この大作をテレビドラマ化する話が出た時には、無謀な!ありえない!と思っていたのに、間もなく放送されるようで、予告を観たのですが、萎えました。タンクレディを演じる役者がもう・・・絶句。大好きな役者が公爵を演じているのですが、バート・ランカスターの足元にも及ばなくて(号泣)
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< 安楽死・人生・終活を描いた『T... ブレイキング・バッド シーズン... >>