ダウントン・アビー グランドフィナーレ （Downton Abbey The Grand Finale）

ネタばれあり！！！
【あらすじ】　1930年代の華やかなロンドン社交界、Mary（Michelle Dockery）は両親とともに舞踏会に現れた。しかし離婚女性は不都合な人物とみなされ、退場させられてしまう。Mary の離婚劇を、各新聞が貴族のスキャンダルとして書き立てたのだ。
　孤立感と屋敷の財務問題に悩む Mary に、追い打ちをかけるようにして、母（Elizabeth McGovern）のアメリカ人の兄 Harold（Paul Giamatti）が、財務顧問の Gus（Alessandro Nivola）と共にやってきて、祖母 Violet（Maggie Smith）の遺産の一部が失われたことを知らせる。
　しかし忠実な侍女 Anna（Joanne Froggatt）や Tom（Allen Leech）、妹の Edith（Laura Carmichael）や使用人たちが、サプライズの晩餐会を企画し、Mary の社交的立場を回復させるのだった。（作品の詳細）


豪華絢爛なエドワード朝後期の貴族 Crawley ー家と、忠実な使用人たちを描いたドラマも、とうとう終わってしまいます。最終章では、懐古的な雰囲気に包まれつつも、次世代へきちんとバトンを渡し、ひとつの時代の終わりと新しい始まりを告げながら、壮大なドラマの幕を閉じるのです。

このドラマは、登場する壮麗な屋敷や、手入れの行き届いた広い庭園、華麗な衣装や美しい調度品や精巧な美術品など、英国上流社会を垣間見ることができる、夢のようなひとときでした。1つのエピソードだけでも、貴族たちは何度も衣装を変える。一体何着の衣装が用意されたのでしょうか。

真紅のドレスまとって舞踏会に来た Mary たち。しかし Petersfield 夫人（Joely Richardson）が、今すぐこの屋敷から退場して欲しいと命じる。離婚問題を抱えた女性を迎えるのは、主催者にとって不名誉なこと。まるで罪人扱いです。

シチリアの貴族を描いたドラマ版『山猫』と同様、ひとつの時代の終焉、そして新たな始まりへ。Grantham 伯爵夫妻 は、伯爵の母 Violet が住んでいた、小さな屋敷に移り住みます。Downton Abbeyの家督は、Grantham 公爵（Hugh Bonneville）から長女 Mary へ …

執事長は Carson（Jim Carter）から Andy Parker（Michael Fox）へ …

厨房の料理長は Patmore（Lesley Nicol）から Daisy（Sophie McShera）へ、バトンが手渡される。「あなたは私が持てなかった娘なの」としみじみ打ち明ける Patmore に、感極まりました。

Mary と Edith（Laura Carmichael）姉妹の固い結束。Edith がしなやかな強さと優しさを兼ね備えた、素晴らしい女性になりました。これからも姉を、しっかり支えてくれるでしょう。

使用人たちも、最後の日を一家とともに過ごす。悲喜こもごも色々ありましたが、仲が良く家族のようでした。

サプライズで登場した映画スター Guy（Dominic West）と、英国の劇作家・作曲家・演出家・俳優・歌手の Noel Coward（Arty Froushan ピアノを弾く）

華やかでウィットのある Noel Coward の、ちょっと生意気だけど、シックで魅力的なスタイル。演じた Arty Froushan の色気とくっきり可愛いえくぼに、魅了されてしまいました。

甘美で陰影のあるテーマ音楽（←音が出ます）が流れると、もうダメ。郷愁に駆られて、心が揺さぶられる。Downton Abbey の世界そのものです。

登場人物たちの未来や変わりゆく時代、そして別れの予感。どれも胸を打つエピソードばかりで、2010年から始まったドラマの軌跡を凝縮した、見事な集大成と言えるでしょう。これで本当にこのドラマが終わっちゃった。寂しい。あまりにも寂しいので、S1からまた観ています。

【関連記事】ダウントン・アビー　　ダウントン・アビー 新たなる時代へ