レッド・サン （Soleil rouge）

ネタばれあり！
【あらすじ】　1870年。アメリカ西海岸行きの列車に連結された豪華な客車には、日米修好の任務を帯びた、坂口備前守ら大使一行が同乗し、天皇から大統領に贈呈する、貴重な日本刀も積まれ、金貨輸送車も同行していた。
　強盗団の Link（Charles Bronson）と相棒の Gauche（Alain Delon）は、金貨輸送車を襲って金貨を奪い、黄金に輝く日本刀まで奪った。しかし相棒が邪魔になった Gaucheは、Link を貨車もろとも爆死させようと計り、意気揚々とひきあげていく。
　日米条約調印まで、時間が迫っている。日本大使は黒田重兵衛（三船敏郎）に7日間の猶予を与え、宝刀奪還を命じる。件の Link は生きており、重兵衛は Gauche への復讐を誓う Link と手を組み、宝刀奪還を目指して出発した。当初は反発しあっていたが、旅を続けていくにつれ、2人には不思議な友情が芽生えていく。（作品の詳細）


Alain Delon の1人祭り。Charles Bronson と Alain Delon と三船敏郎、米仏日の三大スターが活躍する、ロードムービー的なエンタメ西部劇。かなりの珍作で突っ込み所も満載ですが、憎めないガンマン Charles・刀を構える三船・悪役がハマっている Alain、3人の競演やそれぞれのキャラが光っていて、最後まで楽しく観ました。

Alain が目当てだったのですが（出番が少ない）、三船敏郎の乗馬姿や刀を構えた姿の、なんと美しいこと！惚れ惚れ。三船の存在感は、圧倒的でした。「武士道」を語らずとも、彼の颯爽とした姿をみれば、一目瞭然です。

Bronson との珍道中、三船が廃れゆく武士道の精神を諄々と説き、「武士は喰わねど高楊枝」と言えば、「お前はそれでいいが、欧米人は腹が減るんだ」と返す Bronson。ごもっとも。腹が減っては戦（いくさ）が出来ぬ。

そこで三船が竹皮包みの弁当を広げると、3種類のおにぎりが数個ずつに、厚焼き玉子とメザシとたくわん。こんな豪華な弁当を、どこに隠し持っていたんだ？

ところで海外の映画に侍が出てくると、侍の描写が欧米目線で滑稽になりがちですが、この映画は三船のお陰で、侍の格が更に上がった気がします。それでいて表情や物腰が柔らかく、ユーモアたっぷりの三船、さすが世界の三船です。それにしても Bronson の宝刀のあの返し方はなぁ、、、(;´д｀)ﾄﾎﾎ

アメリカを舞台に展開する物語ですが、ロケ地はスペインのアンダルシア地方 Tabernas Almeria だそうで、私はてっきりメキシコ国境に近いアメリカ南部で撮影されたのかと。灰色岩だらけの殺伐とした荒野を、馬が疾走するシーンは、雄大で躍動感に溢れ圧巻でした。