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犬 (Le chien)

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【あらすじ】 パリ近郊の田舎の家に、若い男(Alain Delon)が愛犬 Rex と住んでいる。ある晩彼は愛犬を乗せて、パリの歓楽街ピガールに遊びに行った。ナイトクラブのガードマンが、車と後部座席の愛犬を見てくれるというので、5分で戻るからと言ってクラブに入っていく。
 そこで若いドイツ人歌手(Elke Sommer)と出会い、2人で話しているうちに、彼女に好意を抱いた。クラブを出て車に戻ってみると、車内にいるはずの Rex がいない。夜中じゅう捜しても見つからず、彼は車の中で一夜を明かす。翌朝、通りかかった件のドイツ人歌手と、Rex を捜しに出かける。(作品の詳細


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Alain Delonの1人祭り。11月8日は彼の90回目の誕生日で、お祝いを兼ねてこの作品を観ました。1時間足らず(←音が出ます)のテレビ映画で、『パリでの出会い(Rencontre à Paris)』の別タイトルもあるようですね。

若い男の回想で、孤独・人生・犬と人間の愛・男女の愛について、興味深い考察をしている。Alain 扮する若い男の独白や、ドイツ人歌手との会話から、青年の揺らめく気持ちが分かる。好意をもったはずなのに、目の前にいたはずなのに、次の瞬間、彼女はもう遠のいている。

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フランスが体験したインドシナ戦争やアルジェリア戦争や世界大戦。惨たらしい爪痕を残し、多くの物を失い、代わりに新しいものも得た。しかしベルリンに対する2人の思い出や記憶は、永遠に平行線を辿るばかり。

あれは一晩限りのアヴァンチュールだったのか、何も始まっていなかったのか。ナイトクラブの内装はオリエンタル、従業員はたぶん中国人女性たち、歌手や踊り子やバーテンダーは欧米人。奇妙な夜だったと男は思う。

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このバーテンダーが、井戸端会議のおばちゃん連中のように、ベラベラとよく喋る男でね。Alain と Elke の会話にぐいぐい入ってくるのに、間が悪くなや否やサッと身を引く。お調子者のラテン男よ。

彼女に名前を聞かれるが、答えなかったのはなぜなんだろう?と青年は自問自答する。深入りしたくなかったのか。本当のところ、ひとりぼっちは嫌だけど、他人といるのは苦手なのだ。

5分で戻るからと愛犬に言い残してナイトクラブに行くが、この5分が1時間2時間になってしまう。車に戻ったら、真っ先に後部座席の Rex を確認するかと思えば、暫くぼんやりと余韻に浸っている。彼女のことを考えていたのかしら。いやいや、あのガードマンはどこ行ったん?

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ラストシーンは、愛犬家ならもちろんのこと、動物を飼っている人や、動物が好きな人なら、感情移入しまくりで、胸が苦しくなるくらいに、気持ちが高ぶってしまうでしょう。

Alain が26歳、Elke Sommer が22歳。Elke が年上にみえるのは、メイクの威力かな。Alain も今どきの26歳に比べると、色気たっぷりの魅惑的な大人で、ドキドキします。煙草を取り出し、首をやや傾げて吸う仕草が、James Dean にそっくり。男の心模様を淡々と描いた、不思議な雰囲気に包まれた作品でした。

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Alain の犬好きは有名で、屋敷の広大な敷地内には、今まで彼が可愛がった50頭前後の犬が埋葬されている。「私が死んだら、愛犬 Loubo を安楽死させて、一緒に埋葬して欲しい」の遺言が、動物愛護団体やSNSで炎上しましたが、親族が Loubo を引き取って、面倒をみているそうで、ほっと安心です。

 
by amore_spacey | 2025-11-07 00:55 | ┗ Alain Delon | Comments(4)
Commented by stefanlily at 2025-11-10 17:14
こういった小品?にも出ていたのですね。
デビューから、そう何年も経過してなさそうな年齢ですが、犬を題材にするとはドロンの好みも反映されてたんですね。
 ガルシア・マルケスの「百年の孤独」が日本でも良く売れてるという現象が、近年あります。
「予告された殺人の記録」も文庫が再版されてまして、購入しました。
あの映画で、重要な役を演じていたアンソニーですが。それに免じて日本を尊重して下さいよ…父上の愛した日本人女性を排除しないであげてよ、と言いたい(笑)
Commented by at 2025-11-11 20:14
こんばんは。
お邪魔します。
90回目のお誕生日記念、amoreさんの愛を感じます。
犬(Le chien)、こちらはテレビ映画なんですね。ちょっと不思議な雰囲気の映画みたいで惹かれます。

犬好きなアランにぴったりの作品ですね。
私も観てみたいです(*^^*)

Commented by amore_spacey at 2025-11-12 01:52
☆ stefanlilyさんへ
テレビで放送された映画のようですね。デビュー作の『女が事件にからむ時』が1957年で、1960年に『太陽がいっぱい』。この作品は『太陽がいっぱい』より前の作品かと思っていたら1962年でした。若い頃から犬が大好きだったんですね。『予告された殺人の記録』は映画も原作も知らず、息子が出ていたことをこのコメントで知りました。そうですね、Hiromiさんはその後どうなったんでしょう。
Commented by amore_spacey at 2025-11-12 02:39
☆ 瞳さんへ
アランの90回目の誕生日ということで、日本のファンの間では作品上映やオフ会のようなものが企画されているようですね。タイトルは『犬』で、愛犬も登場するのですが、頭に浮かんでくるとりとめのないことを映像にしたようで、愛犬を探しに行ったのに、途中からあれれ?な展開になってました(笑)
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