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白い巨塔 1978-79年ドラマ版 全31話

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 前半はこちらを参照。敗訴した佐々木庸平(谷幹一)の遺族(中村珠緒・中島久之)は、捨て身の控訴に出る。ある日、浪速大学医学部第一内科教授の鵜飼(小沢栄太郎)から第一外科教授・財前五郎(田宮二郎)の元に、学術会議会員選挙出馬の誘いが来た。
 財前はそれを引き受け、裁判・選挙の双方に勝利しようと、野望を覗かせる。一方の第一内科助教授・里見脩二(山本學)は、恩師の病理学教授・大河内(加藤嘉)の計らいで、近畿がんセンター第一診断部に職を得た。
 選挙と裁判の多忙な日々で、体調の優れない財前だったが、原告側の一部勝訴に対して、「最高裁に上告する」と息巻いていた。しかしその頃すでに財前は、胃角部の進行癌に侵されていた。
 癌であることを隠して、一刻も早い手術を勧める里見に、財前は「本当は東元第一外科教授(中村伸郎)に執刀して欲しい」と漏らす。山崎豊子の同名小説の正編と続編をもとにドラマ化。(作品の詳細


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田宮二郎の1人祭り。映画版に続いてドラマ版を、怒涛の勢いで観た。リアタイで観ていたのもあるが、田宮の演技があまりにも鮮烈で、彼以外に財前はいない。話が展開するにつれて、財前/田宮⇔田宮/財前に乗り移ったのか、まるで何かに取り憑かれたような、鬼気迫る狂気的な演技が、トラウマになりそうでした。

卒なくまとめられた唐沢寿明版の、最期のシーンだけは心に残っている。田宮版は財前の癌発覚から最期までを、最終回の後半にサーッと駆け足で終わらせた。31話もあったんだから、もう少し時間を割いて欲しかったな。ラストシーンで流れる Lacrimosa (←音が出ます)は、早逝した Mozart の絶筆となった楽曲。8小節まで書いてペンを置き、そのまま帰らぬ人となったらしい。財前や田宮自身の人生に重なり、万感胸に迫る。

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田宮の大胆不敵で繊細な演技が実に印象的。料亭に集まった諸先輩方の前ではしおらしく、同級生の里見に一目を置きながらも苦手意識は消えず、ケイ子にはまったく頭が上がらない。たった一度だけ母親と食事を一緒にした時の、母への柔らかいまなざしや心から嬉しそうな五郎。病床での最後の言葉が「母さん…」

私利私欲にまみれた周囲の人間に、利用され担ぎ上げられて、野心や出世欲に囚われた財前でさえ、彼らの暴走についていけなくなっていったように思われた。眉毛と目元は三船敏郎、立ち姿と鼻の下から口元は阿部寛、ふっとした表情が堤真一、それらが田宮二郎として全体をなしている。

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五郎の良心を具現化したような里見。その良心を負け犬とみなす財前は、里見が苦手で嫌い、だけどやっぱり好き。腹蔵なく話せる友だち以上恋人未満…のような、絶妙なニュアンスの関係にある。財前にとって里見は、母親のように叱咤激励してくれる、唯一無二の存在なのだ。

そんな財前を心からお慕い申し上げておりましたのが、財前派を仕切る佃くん(河原崎長一郎)。財前教授のためなら、何でもする、どこまでもお供する。子どものように泣きじゃくる姿が、哀れでございました。

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鵜飼雅一(小沢栄太郎)第一内科教授、浪速大学医学部長。おぬしもワルよのう。

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財前又一(曽我廼家明蝶)財前産婦人科医院院長、浪速医師会副会長、財前五郎の義父。「五郎クン、五郎クン、金ならナンボでもありまっせ!」

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関口仁(児玉清)関口法律事務所所長で第一審原告側・控訴審控訴人側弁護士。「アタック・チャ~ンス!」

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花森ケイ子(太地喜和子)バーのホステスで、財前五郎の愛人。「五郎ちゃん、病院の中では王様かも知れないけど、一歩外に出ればただの男よ」

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東政子(東恵美子)第一外科教授・東貞蔵(中村伸郎)の妻、くれない会前副幹事。「あなたっ、しっかりなさって!」「あたくし、教授夫人として、恥ずかしくて外にも出られませんわ。」「いいこと、佐枝子さん(島田陽子)」

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黒川きぬ(中北千枝子)財前五郎の実母。田舎にいる素朴なおばちゃんで、一番自然だった。「淋しさに耐える事が、ただ一つ私に出来ること」

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山田うめ(北林谷栄)奈良県十津川村の農婦、早期胃癌患者。「んだども、なして、オラばっかり…」

主演の田宮二郎が本放送を収録直後に自〇、というスキャンダラスな部分を除いても、衝撃的なドラマで、現在も医療ドラマの金字塔として輝いている。同じ五郎でも、苗字の違いで天地の差がございます。

関連記事】
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白い巨塔(2003年 唐沢寿明のドラマ版)


by amore_spacey | 2026-03-07 16:58 | Japanese film | Comments(2)
Commented by yukiko at 2026-03-08 02:51
「白い巨塔」は当時毎週観ていました。
財前は田宮二郎しか考えられませんね。
だいたいの配役は覚えていましたが、
実母役が中北千枝子だったんですね。
年の暮れに、テレビのニュースで田宮二郎の訃報を聞いて驚いたことをよく覚えています。
Commented by amore_spacey at 2026-03-09 01:01
☆ yukikoさんへ
財前が醸し出すカリスマ性は田宮そのもので、子どもながらにこの人は只者ではないなと、畏怖の念を抱きました。田宮&山本は不動のコンビです。慌ただしい年の瀬に飛び込んできた訃報は、本当にショッキングで信じられませんでした。生きていたら91歳…。
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