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対角に土星 (Saturno contro)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

ネタばれあり。

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ローマ。Lorenzo(Luca Argentero)とDavide(Pierfrancesco Favino)というゲイのカップルを中心に、彼らを取り巻く40歳前後の仲間たちが抱えるさまざまな問題や心情を描き出す。禁煙の会で知り合った40代前後の友人たちがDavideの家で開かれた夕食会に集まり、和やかに楽しく過ごしていた。その席でLorenzoがクモ膜下出血で倒れ昏睡状態に陥った。運がよければ覚醒して首から下が完全麻痺、確実に死が迫っていることを告げられる。悲しいこの出来事を契機に、それぞれの抱える問題が表出していく。



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幸せとは手が届かないほどの贅沢品であると私たちは思い込んでいるが、幸福というのはじつは何気ない日常の中に潜んでいて、そんなささやかな瞬間の積み重ねが人生なのだということに、なかなか気づくことができない。この作品には食卓を囲むシーンがたびたび出てくる。それは既に幸せの空間を共有していることに他ならないのではないか?

Pierfrancesco Favinoが非常に魅力的で素晴らしかった。寡黙で渋い悪党のリーダーIl Libaneseを演じた『野良犬たちの掟』の頃から、有無を言わせない孤高の男の魅力(これが男のフェロモン?)にやられました。むさくるしいハードボイルド一筋かと思いきや、今回は彼の人間味溢れる側面に触れ、崖っぷちで号泣するシーンでは傍に駆け寄って抱きしめたかった。

ラストシーンがこれまたいい。孤独と悲しみの真っ只中にいるDavideに向かって、Stefano扮するAntonioがピンポン玉をポンと当てる、また当てる。悪戯っぽい表情を浮かべてまた当てる。それに気づいたDavideが、「まったくお前ってヤツは…」と言いたげにふっと頬で笑いながら向き直り、ラケットを手にとってゲームを始める。そこへわらわらと仲間が集まって来、て代わる代わるゲームに参加する。あのシーンがとても印象的でした。



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かつてのアイドル歌手&タレントのAmbra Angioliniが、この作品でDavid di Donatello賞の助演女優賞を受賞したが、個人的にはPierfrancescoに受賞させたかった。それにしても久し振りに見るStefano Accorsiが、滅茶苦茶オッサンになっててビックリ。『犯罪小説』の頃から既にその兆候が、生え際や話し方や歩き方に出ていたのだけれど…。Letizia Castaとの生活に疲れているのかしら?悲観的な空気が漂う中で、Lorenzoのマンマ(Lunetta Savino)のキャラは秀逸でした。無理にとぼけている訳ではなく、ああいう天然な人って、います。決して無神経なのではなく、根っから楽天的なんです。

製作国:Italy, France, Turkey
初公開年:2007年
監督:Ferzan Ozpetek
キャスト:Stefano Accorsi, Margherita Buy, Pierfrancesco Favino, Ambra Angiolini, Serra Yilmaz, Lunetta Savino, Ennio Fantastichini, Isabella Ferrari, Luca Argentero, Filippo Timi ...


by amore_spacey | 2009-04-03 00:00 | - Italian film | Comments(0)
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