2018年 02月 26日 ( 1 )

サイコ・リバース (Peacock)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタばれあり!!!

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【あらすじ】 ネブラスカ州の小さな町ピーコックで、銀行員として働くJohn Skillpa(Cillian Murphy)は、几帳面だが人間関係が苦手で、つい挙動不審な行動をとってしまう。家と職場を往復する以外は、特に趣味や友達もなく、ひっそりと暮らしている。そんな彼には、女装して家事をこなすEmmaという、もう1つの人格があった。ある日自宅の裏庭に列車が突っ込む事故が起きたことから、EmmaがJohnの妻として世間の注目を浴びることになる。(作品の詳細はこちら


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Cillian1人祭りはとりあえずこれで終わり。この作品は冒頭でJohnとEmmaが同一人物であることを明かしているので、私たち視聴者の関心は、「Johnには女装癖があるのか?」という疑いから、主人公が多重人格者だと分かると、「彼の二重生活が、破綻しやしないか?」に移り、ハラハラする場面が増えていく。しかし最後までバレることはなく、私たちの期待はあっさり裏切られる。みんな顔見知りの小さな田舎町で、誰も気づかないなんて、絶対にあり得ないよなぁ、など突っ込み所は満載だが、そこはさ、娯楽映画ですから。

Cillianが演じるJohnとEmmaがとても魅力的で、ぐいぐい引き込まれた。多重人格者の暮らしを淡々と眺めてはいますが、抑えようのない負のエネルギーが時々爆発しては、また静かな水面に戻るといった、適度な緩急を持たせたのも良かった。とにかくCillianが新しい役を演じるたびに、その役が彼に乗り移ったのかと思ってしまう。それくらい現実味や説得力があり、ストーリーよりも彼の演技から、目が離せなくなった。恐ろしい子。悪魔だわ、彼。


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社会的には銀行員のJohnと認識されているが、それ以外の彼の私生活など、町の人は誰も知らないし関心もない。でも私たちは知っている。これと言った趣味はないけれど、あの池に行って石を投げたり(投げたとき足が奇妙な動きをしたり)、木の枝にくくりつけたタイヤのブランコが好きで、そこに座っているだけで彼は癒される。夜になるとEmma(母親)に見つからないように叱られないように、こっそり家の外の階段に座って、大好きなチョコバーをかじる、ささやかな楽しみ。至福の瞬間だ。そんな彼を観ると胸がしめつけられる。Kittenと同じように、Johnもぎゅっとハグしてあげたい。彼の隣に並んで座って、一緒にチョコバーを食べたい。


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Emmaを演じるCillianが、女性以上に女性らしくて、これまた凄いのだ。私なんか太刀打ちできませんよ。細やかな表情や、肩や首や手や手首の動き、歩き方や身体のあずけ方など、どうやったらあそこまで女性になり切れるものなのか、本気でCillianにプライベート・レッスンを申し込みたいものです。

ここまでは良かったんだけど、列車事故のせいで、Johnの平穏な暮らしは一変する。彼自身はもちろんのこと、Maggie(Ellen Page)親子や他の町の人々も、JohnやEmmaに翻弄される。しかもMaggieの子の父親がJohnと知ってから、2つの人格争いはエスカレートしていき、Emmaとして生きる時間が長くなる。そしてついには死んだ母親、幼いJohnを虐待した母親の人格が、Emmaを占領していく。既にJohnという人格は、この世から消えてしまったのかも。窓辺に座ったまま誰にも知られることなく、Johnは自己崩壊の道を辿るしかないのか?でもそれでは余りにも哀れで、悲しすぎるじゃありませんか。邦題は、久々の「何だ、こりゃ?」


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by amore_spacey | 2018-02-26 01:08 | - Other film | Comments(0)