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2019年 10月 17日 ( 1 )

インテルビスタ (Intervista)

ネタばれあり...

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 イタリアの映画撮影所チネチッタ創立50周年を記念して、Federico Fellini監督がチネチッタと映画への思いを綴った一編。日本のTV局の取材を受けながら、若き日の自分を描いた自伝的作品と、Kafkaの『アメリカ』(年上の女に誘惑されたばかりに、両親に厄介払いされたKarl少年は、故国ドイツを追われアメリカへ行くが、NYの伯父の家からも追い出され、放浪の旅に出るという話)を題材にした、新作の製作に励む映画監督というスタイルを基調に、展開していく。(作品の詳細はこちら


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ローマの映画撮影所チネチッタを舞台にしているが、撮る人と撮られる人が入れ子のような仕掛けになっているので、どこまでがインタビューで(芝居と本音が交錯)どこからが映画の中で撮影している映画なのか、いや、ドキュメンタリーだったのかもしれません。虚構と現実を自在に操りながら、チネチッタや映画を作る全ての人に捧げる、愛情と郷愁に満ちた作品。映画をこよなく愛し、映画が引き起こすマジックを本当に信じているFederico監督。そんな彼を様々な角度から捉え、人生は祭りだ!楽しく生きていこうではないか!と視聴者に喚起し続ける姿を、余すところなく映し出している。

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Fellini監督は、マジシャン姿のMarcello Mastroianniと撮影班を、引退したAnita Ekbergの別荘へ連れて行く。彼は自分の代表作となった『甘い生活』で共演した二人を、30年近く経ってから思いがけない形で引き合わせました。しかもあの映画を見ながら、というサプライズ付き。これはもうインタビューとか劇映画とか芝居とかいうレベルを超越た、監督の熱い思いを目一杯詰め込んだ大スペクタクルなのです。27年の月日が一気に巻き戻され、AnitaとMarcelloはつい昨日も会っていたような意気投合ぶりで、けれどそこには懐かしさだけでなく、一緒に仕事をした仲間ならではの慈しみや労いの気持ちに溢れ、観ている私も胸が熱くなってしまった。老境に入ったMarcelloと老醜をさらけ出したAnita、気持ちは当時のままだが、時の流れは何と残酷で切ないことか。それでもFellini監督の魔法の力で、彼らは撮影カメラの前に立ちました。

この作品では映画のスクリーンには決して登場しない、チネチッタで働く裏方たちの姿も捉えている。予定通りに進まない撮影所、現場監督や助監督の苛立ち、撮影1分前になって(嗚呼、なんてイタリアなんだろう!)役者が来ないと分かった時の激怒やカオス、経費節約のため本物の象の代わりに紙のハリボテを使った撮影は大失敗でやり直し…などなど、傍から観ている分には面白いエピソードもたくさんある。Fellini監督もイライラして、大声張り上げていました。

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日本のTV局取材班の一人(Mario Miyakawa)が、いつの間にやらマッサージ師になっており、「ミフネ(=三船敏郎)はねェ、これ(=マッサージ)で、禁煙できたんですよ」と、へヴィー・スモーカーのMarcelloに声をかけるシーンがある。これを聞いたMarcelloは床に寝転んでマッサージをやってもらうが、終わった途端、「ほら、マッサージの効果がもう出てるよ」 悪戯っぽく笑い、取り出した煙草に火をつけて、スパスパ吸い出すというお茶目っぷり。Marcelloの人間性が滲み出だエピソードだ。この日本人は別のシーンで、何気にFellini監督の肩を揉んでいる(笑)

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監督からジャーナリスト役に抜擢されたSergio Rubini(Margherita Buyの前夫)が、メチャ若い。当時28歳だけど、まるで少年だ。若かりし頃のAntonella PonzianiやChristian BorromeoやEva Grimaldiもチョイ役で出ている。

さてKafkaの『アメリカ』が、クリスマス前に無事クランク・アップする。役者や裏方スタッフたちは、パネットーネの箱とスプマンテを手にして、「ボンナターレ!(良いクリスマスを!)」と挨拶を交わしながら、それぞれの家に帰っていくラストシーンが、とても印象的でした。1つの映画を作る、そこには出逢いと別れがある。何にも束縛されない独創性から生まれるFellini監督の作品は、好き嫌いの好みがはっきり分かれ、実際理解出来ないシーンは多々ありますが、監督の自由な心や映画への限りない愛情や慈しみは、画面の隅々から感じ取ることが出来ます。この映画を含め彼の作品は、生きることを謳歌する監督の分身のようなものでしょう。


by amore_spacey | 2019-10-17 00:06 | - Italian film | Comments(0)