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カテゴリ:- TV series( 134 )

メディチ家 シーズン3 全8話 (Medici: The Magnificent Season 3 8 episodes)

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 Pazziの陰謀から数年が経過、Lorenzo(Daniel Sharman)の弟Giulianoを暗殺した1人Girolamo Riario伯爵(Jack Roth)は、絞首刑にならないどころか、ローマ教皇Sixtus IV(John Lynch)の軍隊の指揮官に指名され、軍隊を率いてフィレンツェに攻めてきた。Lorenzoは町を守るために、まずはNicolò Ardinghelli(Pietro Ragusa)を初めとする、反Medici派勢力をまとめていく。
  一方Lorenzoの実の子どもたちと同じように育てられた亡きGiulianoの息子Giulio(Zukki DeAbaitua/Jacob Dudman)は、Lorenzoや彼の母Lucrezia(Sarah Parish)らに認められて、Medici家の正式な一員となる。Lorenzoの妻Clarice Orsini(Synnove Karlsen)は、それまでLucreziaが握っていたMedici銀行の運営に携わることになった。
  その頃フィレンツェのサン・マルコ修道院長に就任したDomenico会修道士のGirolamo Savonarola(Francesco Montanari)が、町の腐敗ぶりやMedici家による実質的な独裁体制を批判し、信仰に立ち返るよう訴えて、市民の関心を集めていた。(作品の詳細はこちら


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完結編ということでシーズン3も一応最後まで観ましたが、好みの役者が不在な上に、Lorenzoの死まで何とかもたせようとする魂胆丸見えの、冗長な展開にガッカリ。『ボルジア家 シーズン2』と時代が重なる部分もあり、同じ人物を違う役者が演じる、それを見比べるささやかな楽しみもあるにはあったのですが…。

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一番残念なのは主役のLorenzoに扮したDaniel Sharmanが、棒読みでワンパターン余りにもソツがなく面白味のない演技だったこと。銀行の財政破綻を知らされたとき、一家を救うために実の娘を泣く泣く政略結婚させようと決意するとき、妻が息を引き取ったとき…と挙げればきりがありませんが、どれも究極の場面であるはずなのに、他人事のようなあの表情は何だったんでしょう?Danielはまだ若いが故に求心力がないせいか、どこか散漫で心に響いて来ません。何様発言になりますが、彼にこれといった魅力を感じられず、かと言って他にイケメン発掘も叶わず、苦行のように悶々と全8話を観た次第です。

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歴史の流れから見るとシーズン3は、Lorenzoが優れた政治・外交能力を発揮し、イタリア各国の利害を調整する立場として、大きな影響力を振るい、また芸術や学芸のパトロンとして芸術家や人文主義者を擁護したことで、ルネサンスが正に華開いた輝かしい時代と重なるのですが、イタリア国営放送Rai 1が制作に関わっているのに、Lorenzoの活躍ぶりや最盛期を迎えたルネサンスの松岡修造のような熱いエネルギーが伝わって来ない。自国のヒーローなのに、この雑な扱いはあんまりです。軸になるものがないまま、惰性で何とか最終話に漕ぎ付けましたが、英国に任せていたら、もう少し上質で劇的なドラマが出来たに違いありません。

何はともあれ、歴史ドラマは純粋に面白い。このドラマでは、歴史上に名前ぐらいしか出てこないMedici家の女性にスポットをあて、舞台裏で懸命に支え、男たちの原動力となった彼女たちの賢さ強さや懐の深さが、静かな敬意や労いの気持ちを込めて描かれていました。


by amore_spacey | 2020-01-04 01:47 | - TV series | Comments(0)

ボルジア家 愛と欲望の教皇一族 シーズン3 全10話 (The Borgias season 3 10 episodes)

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【あらすじ】 毒を盛られたローマ教皇Alessandro6世(Jeremy Irons)が生死の境をさまよう中、ボルジア家全員を暗殺するため、Caterina Sforza(Gina McKee)は殺し屋Rufio(Thure Lindhardt)を使って、反ボルジアを掲げる者たちに同盟を呼びかけた。
 ヴァチカン内の不穏な空気に気づいたローマ教皇は、枢機卿団の粛清を進める中、ヴァチカンを離れることになった枢機卿の一人Versucci(Vernon Dobtcheff)が宝物庫に火を放ち、貴重な資料を持ち去って姿をくらませる。
 亡きナポリ王太子Alfonso2世の息子Alfonso of Aragon(Sebastian De Souza)との挙式が終わったその夜、夫との諍いで傷ついたLucrezia(Holliday Grainger)は、兄Cesare(François Arnaud)の寝室に忍び込み、二人は抗えない誘惑に身を任せた。
 Lucreziaと甥のAlfonso of Aragonの間にすれ違いが生じているのを知ったナポリ王Ferdinando2世(Matias Varela)は、若夫婦の「婚姻の成立」を証明するようボルジア家に迫る。ようやく二人は結ばれたものの、Lucreziaの連れ子Giovanni Borgiaを二人の子として認めることが、結婚の条件となっていたにも拘わらず、それを頑なに拒むAlfonsoだった。(作品の詳細はこちら) 


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突然の放映打ち切りが発表された当時、ファンは激怒して、続行を望む様々な行動に出たようですが、結局ダメだったんですね。「教皇の濡れ場シーンは、もう、おなか一杯」「テレビドラマとはいえ、不謹慎すぎる」と不評を買い、視聴者離れが起きたとも言われます。視聴率が伸び悩み、莫大な製作費の捻出にも頭を悩ませていたらしい。史実にそったストーリーはあったものの、今シーズンは教皇の濡れ場・枢機卿たちの乱交パーティー・Michelettoのボーイズラブ・LucreziaとCesareの禁断の愛…が時間稼ぎのごとく頻繁に出てきて、さすがにうんざりしました。そんな訳でシーズン3は、とっ散らかったまま終了。だって撮影終了した時点では、次シーズンに続く予定だったんですから。

Cesareに攻められてフォルリが陥落し、Caterina Sforzaはローマに移送されたが、その後どうなったのか観たかったな。のらりくらりと交わしながら、押さえる所は押さえ、出るときには打って出る。敵を欺くためなら、汚い手も使う。戦国時代を生き抜く女将の鑑のような女性で、灰汁のある強烈なキャラが印象的でした。彼女のスピンオフって、出ないかしら?

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で、CesareとLucreziaの二人ですが、、、とうとう一線を越えちゃったなぁ。モラル大崩壊だけど、それが似合う二人だ。史上もっとも堕落した女性の1人Lucreziaは、兄に刺されて息絶え絶えの夫にすがって泣き崩れていたが、あなたの本命は一体誰だったんですか?彼女を演じたHolliday Graingerは、ルーベンスの絵画に出てくるようなふっくらとした色白の健康的な女性で、ベビーフェイスながら男も毒も操る悪女を好演していたと思います。この二人のスピンオフも作って欲しい。

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殺し屋Micheletto(Sean Harris)はCesareの忠実な番犬で、言葉少なく実行力100パーセント。だからCesareは彼に、絶大な信頼を寄せている。一体Michelettoが何人いるんだろうってなくらい、あちこちに神出鬼没。フォルリとローマの間を、何回往復したんでしょう。しかもあの素早さは、神業モノ。困った時には、Michelettoを呼べ!普段は感情を押し殺して生きているが、Lucreziaと息子の話をするシーンで、彼も人の子なんだなと思わせる言動に目頭が熱くなってしまいました。地味ながら、どんどん好きになっていったキャラクターでした。

このドラマも、オープニングのテーマ音楽(←音が出ます)が素晴らしいのです。爪弾くマンドリンの音色に、胸が締め付けられそうになる。


by amore_spacey | 2019-12-21 01:33 | - TV series | Comments(0)

ボルジア家 愛と欲望の教皇一族 シーズン2 全10話 (The Borgias season 2 10 episodes)

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【あらすじ】 権力に貪欲なBorgia家の家長Rodrigo Borgia(Jeremy Irons)。陰謀を企て、ローマ教皇Alessandro6世としてローマ社会の頂点に上りつめた。しかし敵対者も多く、彼らは手段を選ばずBorgia家の打倒を試みる。
  教皇が敵を破滅に追い込もうと画策する一方で、無法者や娼婦で溢れるローマは、市街戦が絶えない非常に危険な町になっていく。ローマ市民の多くは栄養失調でやせ細り、戦争で親を失った孤児たちが激増し、蔓延する伝染病で全滅にいたる地域もあり、生活は極めて不安定だった。そんな中でBorgia家が目指したのは、教会のトップとしてだけでなく、世界の先頭に立つローマの再建。かつてのローマ帝国の栄光をBorgia家の手で蘇らせることである。
  長女Lucrezia(Holliday Grainger)は、赤ん坊を育てながら新たな求婚者らを弄び、長男Cesare(François Arnaud)と次男Juan(David Oakes)は、兄弟間でのライバル心を激化させるのだった。(作品の詳細はこちら) 


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今シーズンもボルジア家の神をも恐れぬ傍若無人ぶりに、拍車がかかっております。宗教的指導者なんてのは仮の姿で、あれは地獄の魔王でございましょうか。彼らはローマ教皇という地位を最大限に利用して、謀略と強欲の限りを尽くした一族で、Alessandro6世は宗教界から出現した暴君なのです。

ヴァチカンが聖職者の独身を謳う中、Alessandro6世は二人の愛人を囲い、生まれた子どもたちを重要職に就かせ、教皇の右腕である長男Cesareは暗殺者Micheletto(Sean Harris)とともに残虐非道の限りを尽くし、長女Lucreziaは父や長兄の政治的野心のために何度も政略結婚させられるが、その一方で贅沢を好む浪費家で男にだらしがなく、兄Cesareとは近親相姦に近い関係にある。スキャンダラスで醜聞まみれの父兄妹です。

Cesareに比べやんちゃで政治的手腕に乏しい次男Juan(David Oakes)は、女遊びから梅毒に罹り、兄妹との関係が悪化して、最期はあのザマでした。画策・政略結婚・同盟・裏切り・暗殺・娼婦・男色・毒殺...と言えば、日本の戦国の世も血で血を洗う生き馬の目を抜くような事件が日常茶飯事でした。国を統一するためには、キレイごとばかりでは済まされないこともありましょう。しかし、まぁ、どちらさまも、やりたい放題でアンモラルな方々ばかり、まさに日本語タイトル通り。 

対外的には結束の固いボルジア家も、内部では親から子へ(また子から親へ)の歪んだ愛に苦しむ姿が垣間見られる。親の愛情が得られない子ども、愛情に飢えた子どもは、どこかで道を外してしまう。親だって同じ。同等に子どもたちを愛しているようで、やはり人間だもの、好き嫌いがある。それがどこかに出てしまう。これらが家族の間に苦悩を呼び、軋轢となって、憎悪を引き起こす。ボルジア家の内部は、常に一触即発の危機にさらされているのです。

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腐敗教皇が君臨する堕落しきった世に、一石を投じるSavonarola(Steven Berkoff)のような修道士が現れても、不思議ではありません。いつの世の中も、暴走する指導者にブレーキをかける人物が必要なのです。残念ながらボルジア家には、家長を諌める者が誰もいなかった。贅沢品とみなされた工芸品や美術品を、シニョリーア広場に集めて焼却した「虚栄の焼却」、あれはやり過ぎでした。こうしたSavonarolaの暴走に対して、反対派の不満が高まっていったのも当然の成り行きでしょう。

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Caterina Sforza(Gina McKee)に関する逸話の中でも、息子が人質に取られ脅された時、フォルリ城壁に立ち上がって、スカートを捲り上げると、「まだまだ息子が10人は生めるから、人質など意味がない」と叫んだ、という逸話は有名ですが、どうやら事実ではないらしい。しかしそんなエピソードが語り継がれるほど、近隣の公国に名を馳せる女傑であったようです。

先日観終わった『メディチ家』はフィレンツェ公国が黄金期に入り、フィレンツェ・ルネサンスの最盛期を迎えようとしている時代で、このドラマのボルジア家の時代背景は、Lorenzoから息子Pieroに代替わりした頃です。洋を問わず、時代劇ドラマは面白いですね。さて毒を盛られて悶絶するAlessandro6世の姿で最終話は幕を閉じたが、シーズン3でも彼にお目にかかれるのでしょうか?


by amore_spacey | 2019-12-09 02:32 | - TV series | Comments(4)

メディチ家 シーズン2 全8話 (Medici: The Magnificent Season 2 8 episodes)

ネタばれあり!
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【あらすじ】 あれから20年の月日が経ち、Medici家はCosimoの孫世代になった。Lorenzo(Daniel Sharman)は人妻Lucrezia(Alessandra Mastronardi)と関係を持ちながら、ローマの裕福な貴族の娘Clarice(Synnove Karlsen)と結婚し、Lorenzoの弟Guliano(Bradley James)と親友のSandro Botticelli(Sebastian De Souza)は、人妻Simonetta Vespucci(Matilda Anna Ingrid Lutz)に一目惚れしてしまう。
  一方Medici家の銀行経営の内実は巨額の赤字で、破綻寸前の状態にあった。これに加えてローマ教皇Sixtus IV(Raoul Bova)は、教皇庁の金融を担当していたMedici家の銀行の地位を奪い、ライバルで同じフィレンツェに本拠を置く、Jacopo(Sean Bean)と彼の甥Francesco(Matteo Martari)率いるPazzi家の銀行に委譲、これによりMedici家とPazzi家の関係は悪化していく。
  2つの家の対立が激化する中で、密かに互いを愛するLorenzoの姉Bianca(Francesca Prandi)とFrancescoの弟Guglielmo(Charlie Vickers)は、両家の関係を丸くおさめようとするが、Pazzi家はLorenzoを亡き者にしようと陰謀を巡らせる。(作品の詳細はこちら


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シーズン1のキャストがほぼ入れ替わって、フィレンツェ共和国の新時代が幕を開けた。少々地味なキャスティングかなと思ったのですが、物語が進むにつれてどんどんハマっていきました。魅力的な人物ばかりで、Medici家の当主Lorenzoを中心とした人間模様や、脇役たちのエピソードなども無理なく描かれ、人間関係が複雑な割にはそこそこ分かりやすい展開になっている。

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ふっとした表情がKim Rossiを彷彿させるLorenzo役のDaniel Sharman。妻と愛人の間を行き来しながら、優れた政治・外交能力でイタリア国内の利害を調整していく。が、地方銀行から教皇庁の金融担当にミラクル躍進したことで、水面下では激しい嫉妬や権力争いが勃発し、やがて癒着・献金・根回し・駆け引き・抱き込み・スキャンダル・裏切りという、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』で観たお約束の展開が待っている。しかし聡明な妻や機転のきく愛人や強靭な意志を持つ母に助けられて、Lorenzoは危機を脱出するのです。女性が賢くないと、世の中うまく回っていきませぬ。

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初めの頃はGulianoのチャラくて自分勝手な雰囲気が苦手でしたが、そんな彼にもMedici家の一員としての自覚がちゃんとあり、人妻との恋愛も遊びではなかったことが分かり、最後は切なさでいっぱいになりました。

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このドラマは女性たちの密やかな活躍が見所でもあります。『チューダー朝』に登場したヘンリー8世の6人の妻たちのように、Lorenzoを取り巻く4人の女性たち、母Lucrezia(Sarah Parish)・妻Clarice・愛人Lucrezia・姉Biancaの誰もが個性的でした。中でも敵対するPazzi家の息子との結婚を強引に押し切った姉Biancaに、最初こそハラハラしたものの、一ミリのぶれもない言動や決断には、逆に勇気をもらいました。にしても彼女の夫Guglielmoの不甲斐なさと言ったら…(イライラ)。

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シーズン2はSean Beanを観るのが楽しみでしたが、やはり最終回で退場。これで殺されたのは通算何回目ですかね?殺され方も多彩で、もはや『殺されてなんぼ』が、彼のブランド。甥っ子Francescoを演じたMatteo Martariや、Vespucci卿を演じたAlessio Vassalloは、イケメン帝国!イタリアから私がスカウトしました(笑)


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Lorenzoの父の代からMedici銀行に務めていたLuca Soderini、彼を演じたFilippo Nigroの目じからが凄い。『暗黒街』ではクズ男になり下がっていき、このドラマでは日和見主義と言いますか、自分の保身や利益を最優先したばかりに、あんなことになってしまう。究極の選択・苦渋の決断を迫られる本店総支配人という、彼に相応しい役どころで素晴らしい演技でした。 

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キャスティングの中で残念だったのは、ローマ教皇Sixtus IVに抜擢されたRaoul Bova。卒なくこなしてはいたものの、教皇のイメージがどうもしっくり来ません。因みにPazzi家の陰謀は、教皇もある程度知っていた(黙認していた)ようです。彼を裏で操る側近Francesco Salviatiに扮したJacob Fortune-Lloydの、腹黒さや立ち回りの素早さ・上手さに、腸(はらわた)が煮えくり返りつつも、しれっとした顔での断固たる悪っぷりが光っていた。しかし最終回の彼は因果応報でした。胸のつかえが取れてスッキリしました。


by amore_spacey | 2019-12-05 00:42 | - TV series | Comments(0)

ピーキー・ブラインダーズ シーズン5 全6話 (Peaky Blinders Season 5 6 episodes)

ネタばれあり!!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (76点)

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【あらすじ】 1929年、世界中が株価大暴落に翻弄される中、Shelby家ではArthur(Paul Anderson)とLinda(Kate Phillips)の間に危機が訪れ、アメリカから妻Gina(Anya Taylor-Joy)とともに戻ったMichael(Finn Cole)は、旧態依然としたThomas(Cillian Murphy)のやり方を批判し、挑戦とも言える言葉を叩きつける。そしてそんな息子Michaelと一族の板挟みに苦悩するPolly(Helen McCRory)。一族の間にはじわじわと亀裂が入り、権力争いが始まろうとしていた。
  その頃英国ではファシズムやナショナリズムやポピュラリズムが台頭しつつあり、英国ファシスト同盟のカリスマ的指導者Oswald Mosley(Sam Claflin)が、Thomasに同盟の話を持ちかけてくる。またMosleyの傘下にあるJimmy McCavern(Brian Gleeson)率いるグラスゴー出身のギャングBilly Boysも、Shelby家を脅かす存在だった。(作品の詳細はこちら


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シーズン5も見所が満載で、政治家になったThomas、裏社会の頂点を極めつつあるShelby家の内紛、そして今シーズンの宿敵となるMosleyとの絡みを中心に、ややスローテンポだがメタフィジカルな話が展開していきます。時代の変化を描きながら、今回は苦悩を抱えるThomasの内面に迫る。地位や名声や権力を手に入れたものの、多くの大切な人や物も失った、それに対する後悔や罪悪感。本当にこれで良かったのか?自分が進もうとしている道は、間違っていないのか?Shelby家を守ることが出来るのか?誰にも打ち明けられない迷いや恐れに足を掬われ、悪夢や妄想に囚われる。Grace(Annabelle Wallis)の幻影が頭から離れない。

Thomasは深い孤独の中に居た。最愛の妻Graceなら、この状況をどう考えただろう?これまで前だけを見てがむしゃらに走ってきたが、ふと立ち止まった今、胸に去来するものがあった。リーダーの宿命ですね。シリーズの中で一番人間臭いThomasに、親近感が沸きました。が、煮詰まった彼の悶々とする姿が、しつこく出てくるのには参りました。もう1つ2つ上のレベルに行くためには、どうしても乗り越えなければならない壁、だからそこを強調したいのは分かるですが。苦笑

そこでThomasは、もう一度原点に帰ろうとした。それが解決の糸口になるだろう、と。そうなのだ、Shelby家のルーツはジプシーであり、決してそれを忘れてはならない。ジプシーであることを誇りに思う。その流れでジプシーのAberama Gold(Aidan Gillen)とPollyが、めでたく結ばれたのは本当に嬉しかった。のですが、その幸せも束の間(号泣) Thomasには息子Charlesに加え、Lizzie(Natasha 'Keeffe)との間に出来た娘Ruby、そしてLizzieと守るものが増えました。今後は攻めるだけのやり方ではダメだ。

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ここに絡んでくるのがMosleyです。見るからに邪悪で、触れたら切れちゃいそうですが、、、タイプです。この男はクールと言えば聞こえはいいが、決して感情に屈服しない政治家で、自尊心や自己愛が強く、自己中で誇大妄想ときてるから、ったく始末が悪い。そんな男と表向きは同盟を組むThomasですが…。最終話の後半には、思いもかけないあの方が登場して、エーーッ!お楽しみに。それにしてもThomasと甥っ子Michaelの対決は、Shelby家の将来を暗示しているようで、次シーズンを観るのがコワい。

因みにこのドラマが大~好きなDavid Beckhamが、カメオ出演を強く希望しているそうで、今シリーズは出ていませんが、近い将来Beckhamを観られるかもしれません。そうそう、Brapiもカメオ出演したがってるってよ。英米の役者たちにも大人気のドラマです。


by amore_spacey | 2019-09-28 01:31 | - TV series | Comments(0)

ボディガード 守るべきもの シーズン1 全6話 (Bodyguard Season 1 6 episodes)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 別居中の妻Vicky(Sophie Rundle)や子どもたちとの関係そしてPTSDに悩むロンドン警視庁の巡査部長David(Richard Madden)は、偶然乗り合わせた列車でイスラム教徒による自爆テロを未然に防いだ。この功績により彼は野心的な女性内務大臣Julia Montague(Keeley Hawes)の警護を任命される。その後タカ派のJuliaは、テロ対策として国民のプライバシーを一部侵害する法案を推進したため、暗殺の危機に遭遇した。
 DavidはJuliaの政治姿勢に反発しながらも彼女を守り、やがて2人は親密な関係になっていく。しかし大学での演説中、爆破テロによってJuliaは暗殺された。一連のテロ事件に関連性はあるのか?裏で糸を引いているのは、一体誰なのだ?真実を暴くためDavidは命を懸けて奔走する。(作品の詳細はこちら


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ひっそりとRichard Madden一人祭り。私にとって『ボディガード』と言ったら、主題歌(←音が出ます)♪エンダァァァイヤァアアア ウィル オオォルウェイズ ラアァブ ユウウゥゥアアアァァ…♪ が今や一人歩きしているKevin CostnerとWhitney Houston共演の映画ですが、NetflixのTVドラマでは主演のRichardを堪能させて頂きました。『GOT』でファンになり、Cosimo de' Mediciを演じた『メディチ家』ですっかり彼の虜になったと言いながら、2018年のTVドラマで高視聴率を記録したこのドラマを、何と!未だ観ていなかった。ブロ友さんにも勧められてさっそく観始めたら、第1話冒頭の劇的な展開にハマってしまい、その勢いで一気に全6話を観ました。

列車での自爆テロを未然に防ぐ第1話や、ビル屋上にいるスナイパーの襲撃からJuliaを守るシーンや、犯人グループに着せられた自爆ベストの爆弾を自分で解除しなくちゃならない最終話など、まるでその場にいるような臨場感に溢れ、グイグイ引き込まれました。登場人物の一挙手一投足から目が離せなくなり、始終緊迫した空気に包まれているので、一気に全話を観終わった後の疲労感と言ったら…。

ええ、もうね、評判通り、Richardの演技が素晴らしいんです。巡査部長として職務を全うするクールな顔と、アフガン帰還後のPTSDや妻との関係に悩み酒に溺れる一人の人間の姿。タカ派なJuliaの政治に反感を持ちながらも、私情を捨てて自分の職務を忠実に執行していく。しかしそんな自己矛盾や心の葛藤に耐えられず、ついに切れてしまう時の彼の表情や仕草が、いかにも自然で上手い。Juliaとの情事は話の展開上、必要なかった気もしますが、あれは視聴者へのサービスですね。濡れ場シーンや全裸シーンは眼福モノで、ありがとうございました、ヘヘッ。彼が連呼する「Ma'am!」には不思議な語感があり、ちょっと鼻にかかった彼の声が発音すると、何気に可愛くて胸キュンものでした。


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第4話ごろまでは面白くて純粋に楽しめたのですが、あちこちに張られた伏線(と私が勝手に思っていただけのもあります)が回収されないどころか、単に話を撹乱するための伏線と気づくや、気持が冷め始めた。話が進むにつれて登場人物が全員怪しくみえるし、あちこち謎だらけだし、気がついたらDavidが犯人にされてるし。何か吹っ切れないまま、最終話に突入しました。

ところがこの最終話の、爆弾を自分で解除するシーンが長すぎましてね。爆発しないことぐらい、視聴者は分かっている。なのに、ほーれ、この線切ったら爆発するかも、の思わせぶりな演出や効果音が、ひたすらムダでイライラ。で、あれだけ解除シーンを引っ張っておきながら、後半30分でダダダーッと全てが解決する。しかも苦し紛れのこじ付けで、「あとは知らんからねー」ってなかんじで終了。エーッ、犯人ってこいつらだったの?じゃあ、陰のキーマンっぽかったNadia(Anjli Mohindra)って、内務大臣のアシスタントで解雇されたChanel(Stephanie Hyam)って、保安部のLongcross(Michael Shaeffer)って、彼らがやっていたことって、アレ、何だったの?まあ、でもこれは娯楽ドラマですから、あまり深く突っ込まないで、さらっと観て雰囲気を楽しむのがいいんですよね。

最終話でNadiaが豹変するシーン、あれはお見事でした。「大人しそうな顔して犠牲者ぶってりゃ、男なんてコロッと騙されるんだから、ククッ」って、こりゃDavidも面目丸つぶれですわね。こんな調子でこのドラマでは、男たちがコケにされっぱなし。それにしても政治家ってのは、どうして金や権力や地位に執着するんでしょうか?若い頃のColin FarrellにBraPiを足して2で割ったようなRichardのドラマと今日のご飯と寝るところがあれば、取りあえず幸せな私には、ちょっと分からない世界です。


by amore_spacey | 2019-09-24 00:02 | - TV series | Comments(2)

トラスト 全10話 (Trust 10 episodes)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

ネタばれあり!!!

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【あらすじ】 石油で巨万の富を築き、世界一の富豪となったPaul Getty I(Donald Sutherland)は、同時に世界的に知られたドケチでもある。一方孫のPaul Getty III(Harris Dickinson)は、誰からも愛される優しい性格を持ちながら、ローマでドラッグ漬けの自堕落な日々を送っていた。ドラッグの支払いに困り、祖父から金を引き出そうと狂言誘拐を思い立つが、事態は思わぬ方向に動き、マフィア組織'Ndranghetaが絡む本当の誘拐事件に発展していった。当初犯人は1700万ドル(約50億円)の身代金を要求したが、Getty Iはその支払いを拒否する。
  その一方でGetty Iは元CIAの交渉人Chace(Brendan Fraser)を呼び寄せて孫の奪還作戦を指示し、ローマに暮らす孫の母Gail(Hilary Swank)のもとへ送りこんだ。無駄な金は一銭も払いたくないGetty Iと、何が何でも身代金を手に入れようと画策する'NdranghetaのPrimo(Luca Marinelli)たち、息子の命を何とか救おうと奔走するGail。そんな彼女の一挙手一投足を報道しようとマスコミが付きまとい、事件は世界中を巻き込んで加熱していった。1973年に起きた誘拐事件から着想を得てドラマ化。(作品の詳細はこちら


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Luca Marinelliの一人祭り。ロンドンにあるGetty Iの屋敷とローマの街並み、そしてGetty IIIが誘拐・監禁された南イタリアの町やカラブリアの山村、そこに過去と現在を交差させながら、世界で最も有名な誘拐事件と言われるサスペンスドラマが展開していきます。Getty I卿はもちろんのこと、その背景に潜む人々の裏切や陰謀は、激しく興味をそそります。また何らかの形でGetty家や誘拐事件に拘わった人々にも、それぞれのドラマや人生がある。Getty IIIの父親でドラッグを断ち切れないGetty Jr.(Michael Esper)や彼の元妻Gail、Getty Iの妻や愛人たち、そして屋敷の全てを取り仕切る執事Bullimore(Silas Carson)の人生まで描かれた、とても深い人間ドラマなのです。映画版の『ゲティ家の身代金』よりはるかにドラマチックで楽しめました。それはさておき、Getty家の大邸宅やローマの街並みや南イタリアの山村など、ロケーションが実に素晴らしいのです。

Getty I卿は一代で巨万の富を築き、桁外れの大富豪となった人ですから、やる事成す事も桁外れ。派手な女性関係で、息子たちは全て違う女性との間にできた子どもで、愛人も何人かおり、81歳にして愛人と一戦交えるために、非合法の薬を急所に注射させるというツワモノです。この大富豪の趣味ときたら、戦闘機に乗って敷地の上空から自分の屋敷を攻撃する「ごっこ遊び」。あの歳で整形(リフティング?)も3回なさったようです。が、超ドケチなので、Nixon大統領のお墨付きをもらってすら、身代金要求額の半分しか出さず、残りは孫の父親(自分の息子)に貸し付けて利益を得ようと目論んだり、挙句の果てには身代金を値切るという守銭奴っぷり。

人を愛したり育てたりすることは、からっきし駄目な人間だ。家族愛を知らないまま、大人になったんでしょうか。彼にとって愛情とか幸せって何?「幸せ?ったく、だから凡人は嫌だ」と吐き捨てそうです。ご執心だった美術館の設立は、皮肉な結果になりましたが、自業自得ってもんです。人もどんどん去っていきました。晩年はずいぶん寂しい人生を送ったに違いありません。お金があり過ぎる悲劇と言いましょうか。Donald Sutherlandの怪演は素晴らしかった。究極の鬼畜っぷり!彼以外の役者は考えられません。

ナレーターとしても登場するカウボーイハットの交渉人Chaceは、緊迫した空気を和らげる緩衝材のような存在で、3枚目なキャラクターなんですが、お気楽な人生を送ってきた訳ではなかったようです。離婚した妻と息子の家に向かう彼の後姿は、このテレビドラマを〆るのに相応しいラストシーンでした。


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Getty IIIを演じたHarris Dickinsonは、男性フェロモンが少なくて、ちょっと…ね。彼が影絵遊びをしたり(影絵を教えたのは、祖父なんです)、人質の身であるのも忘れて川遊びをするシーンは、ほのぼのとしました。


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そして舞台が南イタリアに移ると、Lucaがブイブイ言わせてます。映画版では殆ど登場しなかった、誘拐犯人の胡散臭いレストランの経営者(Giuseppe Battiston)やマフィアにもスポットを当て、さらに'Ndranghetaの内情にまで踏み込んでいるのは凄い。マフィア組織にも色んな人間が所属していて、Primoのように凶暴なのもいれば、インテリ青年や日和見派もいる。組織の結束も必ずしも固いとは言い難く、利害関係もさることながら心情的に賛同できないのが原因で、仲間割れがあったり裏切り者が出たりする。巨額の資産をめぐって親族が相続争いをする、Getty家と似たようなもんです。

さて身代金をゲットした'Ndranghetaの一族は、Primoが組長を殺害してボスになり、何と!カラブリアの海岸に巨大な港を作ってしまった。ええ、麻薬を売りさばくためです。カラブリアの貧しい村のチンピラ集団が、港のお陰でイタリア有数のマフィア組織に成り上がったという訳です。


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寡黙でポーカーフェイスで何か企んでいそうな執事のBullimoreは、第1話から気にとめていたキャラで、「1日休みをもらった」と言った時の幸せそうな顔が素敵でした。毒草のリストを、ずっと持っていたんですね。


by amore_spacey | 2019-09-20 00:33 | - TV series | Comments(0)

分別と多感 (Sense & Sensibility) BBCドラマ 全3話

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 19世紀初頭のイギリス、Dashwood家の当主Henry(Simon Williams)は死に際に、先妻との息子John(Mark Gatiss)に現在の妻(Janet McTeer)とElinor(Hattie Morahan)・Marianne(Charity Wakefield)・Margaret(Lucy Boynton)の3人の娘を世話させる代わりに、全財産を与えるとの約束をする。
  だがその遺言はJohnの妻Fanny(Claire Skinner)の反対により反故にされたため、夫人と3人の娘たちはSussexにある広大な屋敷から出て、新しい家を探さねばならなくなった。過酷な運命に翻弄されながらも、ElinorとMarianneが多難な恋を通して成長し、真実の愛を得るまでを描く。Jane Austenの同名小説をドラマ化。(作品の詳細はこちら


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以前書いた『高慢と偏見』のレビューに、「Jane Austenと言えば、橋田壽賀子」というコメントを頂き、なるほどそうだなぁと思いました。ただ2人には明確な違いがあって、いじわるキャラを描かせたらピカイチの橋田は、人間の醜い面をドロドロと生々しく描くが、Austenは主人公が名家の女性ということもあり、剥き出しではなくそっとオブラートに包んで、控え目に慎み深く書いているような気がします。

Austenの小説はキャラクターの宝庫で、今回も個性的な人々が勢揃い。分別(Sense)を象徴する19歳のElinorと、ロマンチックな世界に憧れる多感(Sensibility)な17歳のMarianne、この2人の恋の行方を追いつつ、一筋縄ではいかない人間模様が展開する。ハッピーエンドがお約束の小説なので、一見面白味がなさそうに思える。が、Austenは何気ない日常生活の風景や人物描写が巧みで、読者をぐいぐい引きつけるんです。一癖も二癖もある脇役陣が、主役に意地悪をしたり、彼女たちの恋路を邪魔したりする。大事件こそ起きないが、私たちの暮らしの中にもあるような、取るに足らない幾つもの小さな出来事が、この地味な小説に陰影をつける。橋田もAustenも、人間観察が大好き。だからこんなに生き生きとした作品が描けるんですね。


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実はDan Stevensが目当てで観たんだけど、めちゃくちゃ若くて可愛らしい。まだ世間の荒波に揉まれず、世の中の汚れも知らない、誠実・純粋で優柔不断なおっとりしたお坊ちゃん。イケズな義姉Fanny(Claire Skinner)の弟とは思えない。彼とElinorは相思相愛と思っていたのに何の進展も見られず、Devon州に引っ越した彼女たちを訪ねようともしない。なのに、唐突に現れたと思ったら、真っ白なワイシャツを着たまま、いきなり雨の中で薪割り始める展開には、付いていけなかった。ラスト5分で色々な問題がサクサク解決して、Elinorとハッピーエンドを迎える急展開は、お約束なのでOKです。


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妹のMarianneをそっと見守るBrandon大佐(David Morrissey)。歳の差が18歳とあっては、ロマンチックな恋愛に憧れるMarianneの恋愛対象にならず。そんな彼女の前に現れたのが、若いWilloughby(Dominic Cooper)なんだけど、個人的に物凄く苦手なタイプなので、なぜこんな男がいいのか、さっぱり分からなかった。案の定、とんでもない物件でした。


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彼女たちの母親Dashwood夫人(Janet McTeer)は、奥ゆかしく控え目ですが、お茶目で可愛らしく、またよき相談相手で頼もしい素敵な女性。


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兄のJohn Dashwood(Mark Gatiss)は、シンデレラの義姉のように意地悪な上にケチで強欲な妻Fannyの尻に敷かれっぱなし。彼らの1人息子が、これまた可愛げがない。ブラック・コメディの主役にピッタリな一家。


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娘のFannyに勝るとも劣らない、高慢ちきで感じの悪い母親Ferrars夫人(Jean Marsh)。身内や知り合いには勘弁して欲しいけれど、小説や映画では突っ込み所満載で、必須のキャラ。


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大阪のおばちゃん風なJennings夫人(Linda Bassett)は、大雑把で細かいところには拘らない。悪気はないが、ややお節介が過ぎるのと少々KYなせいで、その場の空気が微妙になったりする。


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頭の悪いお喋りしかできないMiss Steele(Daisy Haggard)とLucy Steele(Anna Madeley)姉妹。何とLucyが、Elinorの恋のライバルになってしまう。


by amore_spacey | 2018-07-02 01:16 | - TV series | Comments(0)

A Very English Scandal 全3話

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタバレあり!

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【あらすじ】 英国自由党の若き党首Jeremy Thorpe(Hugh Grant)は、元恋人Norman Scott(Ben Whishaw)に同性愛者であることを公表すると脅されたため、殺し屋(Blake Harrison)を雇ってScottの殺害を計画。殺害は未遂に終わり、Jeremyは1979年に殺人共謀及び扇動の罪に問われたが、無罪となった。しかしこのスキャンダルにより、政治家としてのキャリアは絶たれた。まだ同性愛が合法化されていなかった1960年代に、実在したゲイの政治家のスキャンダルを描く。John Prestonの同名小説をドラマ化。(作品の詳細はこちら


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「ちょっと、奥さん!聞いて下さいよ。あれはね、英国史上最大のスキャンダルだったんですよ」と言わんばかりの、とても分かりやすいタイトルです。この事件の関係者である元恋人や殺し屋は存命。しかも今回のドラマ制作を機に、一時は再審の可能性まであった。色々と引きずっている事件ですが、そんなことより私は、ラブラブのHugh GrantとBen Whishawをみたいという、超下世話な理由で観ました。

主役から脇役にいたるまで、キャスティングがとにかく素晴らしい。Jeremyを演じたHughが、それは感じ悪くて物凄く嫌なヤツなのだ。でも笑うと顔中シワだらけでクチャクチャになるHughは、愛嬌があってどこか憎めないキャラ。アンチ・エイジングに拘らず、あるがままでいるのも好きだし、年齢にあわせて彼の持ち味をうまくシフトしているのは、さすがだなと思う。

政治家の元恋人Norman Scottを演じるBen Whishawも、ファンの期待を裏切らない。思い込んだら一筋で、果てしなくイッちゃってる感や、やや大袈裟に演じる神経症的な言動も、真実味があって生々しい。ゲイをカミングアウトしてからのBenは、以前より自由奔放で演技の幅が広がってきたかな。純粋で可愛いんだけど、地雷を踏むと、血を見るかも?飼い犬に手を噛まれるような。


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HughとBenというカップルに、今一つピンと来なかったが、あんな濃厚なシーンを観てしまうと、2人の演技の上手さはともかく、彼らはひょっとして私生活でも?なんて勘繰ってしまう。それほど強烈で迫真の演技だった。HughはBenを少女のように扱い、唇や舌を、Benの上半身や首筋に這わせる。上半身を起こした2人は、そっと、しかし、ねっとりした甘いキスを交わす。

こんなに濃密な時間を過ごしたのに、政治家としてのキャリアのほうが何倍も大事なHughは、さっさと妻(彼女は人間の出来た人で、何が起きようがドッシリと構え、彼女がいなかったら彼の人生はどうなっていたことやら)を娶り、それと同時に掌を返したようにBenを突っぱねていく。ひと時のなぐさみに弄び、用が済んだらポイ。


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スキャンダルを恐れたHughは、Benを消すために殺し屋を雇う。これまた物騒なことになってきました。が、このドラマはシリアスな事件を取り扱いながらも、基本的には辛口コメディなので、笑い所も満載だ。この殺し屋(Blake Harrison)というのが、あり得ないほど使えないヤツで、殺し屋のDNAなんか微塵もありゃしない。完全に人選を誤った。あのとき元恋人が殺し屋に消されていたら、事件の様相はどうなっていたんだろう?それはともかく、Benを匿ってくれたパブの肝っ玉ばあちゃんの、溢れるような義理人情や、少々お節介なんだけど、Benをひたすら思う優しさが、今まで愛情に恵まれなかった彼に届いているといいなと思う。


by amore_spacey | 2018-06-16 01:45 | - TV series | Comments(4)

白衣の女 (The Woman in White) BBCテレビドラマ 全5話

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 ロンドンで母と共に慎ましく暮らす青年画家Walter Hartright(Ben Hardy)は、CumberlandにあるLimmeridge家の異母姉妹、Marian Halcombe (Jessie Buckley)とLaura Fairlie(Olivia Vinall)の美術の家庭教師として雇われる。彼はロンドンを出発する前夜、郊外で白い衣を身にまとった奇妙な女を目撃した。彼女の名はAnne Catherick(Olivia Vinall)で、精神病院から脱走してきたという。
  Limmeridge家にやって来たWalterは、Lauraを一目見てAnneにとてもよく似ているのに驚いたが、いつしかL auraに惹かれていく。しかし彼女には、Sir Percival Glyde(Dougray Scott)という婚約者がいた。この婚約者は何か秘密をかかえており、Lauraは恐ろしい陰謀に巻き込まれていく。Wilkie Collins'の同名小説をドラマ化。(作品の詳細はこちら


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このドラマにRiccardo Scamarcioが出ている、それだけの理由で観ました。オープニングの音楽や映像からして、つかみどころのない危険を孕んだ物語であることを予感させ、早くも期待が高まってきます。しかも第1話で、容貌も着ている服も瓜二つなAnneとLauraを登場させ、さっそく謎解きが始まる。てっきり二重人格になったLaura(Olivia Vinallが1人2役で演じていたこともあり)だと思っていたが、私の予想は大外れ。

この2人が双子のように似ているのを利用して、夫Sir Percival Glydeと彼の友人Fosco伯爵(Riccardo Scamarcio)が、Lauraの膨大な財産を騙し取ろうと、陰謀を企てる。しかし秘密のニオイを鋭く嗅ぎ取った異母姉Marianと美術教師Walterが、法律に詳しい公証人のErasmus Nash(Art Malik)とともに、この陰謀に立ち向かい、邪悪な2人には天罰が下る、そしてWalterとLauraは晴れて結ばれ、Marianはかねての夢であった世界放浪の旅に出る。これらを現在と過去の2つの時間軸で描いている。WalterとLauraの恋物語でもあるはずなんだけど、決定的なものがなくインパクトにも欠けていたから、私のテンションはそれほど上がらず。けれど毎回ちょっとした謎や伏線を張りながら、無理なく回収していくので、ほど良いスリルに浸りながら、謎解きを楽しみました。


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かなり辛口ですが、WalterやLauraやSir Percivalの演技は学芸会レベルで、残念ながらほとんど印象に残っていません。脇役のFosco伯爵に扮したRiccardoは、ブルーの瞳を不気味に光らせ、なかなか情熱的な悪役だった。デビュー当時のチャラ男より謎めいた悪役のほうが、断然彼の魅力を引き出してくれる。ところで英米のTVドラマに登場するイタリア人は、得てしてマフィア絡みであることが多い。イタリア=ピッツァ、日本=寿司のような、ステレオタイプな捉え方は、分かり易く手っ取り早いとは言え、何だかなァ。


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人間的な魅力という点では、公証人のErasmus Nashが一押しでした。初めて画面に登場した時には、警察?誰の味方?主要登場人物とはどういう関係にある?様々な疑問が頭に浮んだ。その後の展開でも、彼は私情を挟まず、やや高圧的な雰囲気をまといながら、淡々と仕事をこなしていく。しかし公証人という肩書きを取り払った1人の人間の、親としての葛藤を見せた最終話をみて、多くの人が彼に寄り添いたくなったはず。この事件を通して彼の中で何かが変わった。だから娘に会いに行くのでしょう。


by amore_spacey | 2018-05-31 00:23 | - TV series | Comments(2)