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そして、デブノーの森へ (Sotto falso nome)

ネタばれ少しあり!
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【あらすじ】 Danielのペンネームで書いたデビュー作がベストセラーとなり、その後も本名を隠して作家活動を続ける人気作家Serge Novak(Daniel Auteuil)は、義理の息子の結婚式に出席するため、カプリ島へ向かった。そのフェリーの中で、Mila(Anna Mouglalis)という美しい女性に出会い、誘われるまま一夜を共にする。
  ところが結婚式に花嫁として現れたのは、何とMilaだった。その後もMilaは執拗にDanielを誘惑し、2人は許されぬ情事にのめりこんでゆく。しかし関係が深まれば深まるほど、Milaの存在は謎に包まれ、逆にSerge Novakとしての存在が、さらけ出されることになっていった。(作品の詳細はこちら


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ヨーロッパの優雅な上流階級を舞台に、ミステリアスで官能的なサスペンスが描かれる。前半だけ観ると、息子の嫁に手を出し愛欲に溺れた『ダメージ』を彷彿させるが、単なる中年の色恋モノに終わらず、DanielやMilaの過去が明らかになるにつれ、事実の下に秘められた人間の業について考えさせられる。覆面作家が墓まで持って行きたかった秘密、それを暴こうとする甘い罠。二人の行方は?最初から最後まで適度な緊迫感があり、二転三転して先の見えない物語にドキドキします。湿り気を帯びたデブノーの森やウッドハウス、官能的なベッドシーンの美しい映像、そこに流れる心地よい音楽が、ミステリアスな雰囲気を盛り上げてくれる。

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Danielはそれが罠だと分かっても引き返さない、引き返せない。そうと分かっていても、Milaと一緒に落ちてゆく。彼が最後にとったあの行動は、友人や家族やMilaへの償いだったのか?それとも究極の愛の形?Milaの存在とは無関係に、最初から決行するつもりだったのか。一連の謎が解けて真実が明らかになっても、Danielの本意は誰にも分からず、一件落着どころか、残ったのは静かな悲しみだけだ。

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Milaは思惑通りに事が運び、目的を果たしたつもりが、実はそうではなかった。愛憎混じった複雑な思いに困惑し、表情を曇らせるのだ。男を愛してしまった女の哀しさ故に。Milaを演じたAnna Mouglalisの、官能的でゴージャスな存在感、その裸体の際立った美しさには、圧倒されっぱなしでした。彼女の醸し出すミステリアスな雰囲気や官能美に、さり気ないファッションは、それだけでも観る価値があるくらい、魅力的で素晴らしい。復讐と愛の間で揺れ動くMilaの女の情念や、何ともし難い恋の終焉があまりにも切なくて、胸に込み上げてくるものがありました。


 
by amore_spacey | 2020-02-18 00:16 | - Other film | Comments(0)

ずっとあなたを愛してる (Il y a longtemps que je t'aime)

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【あらすじ】 幼いわが子を殺害した理由を語ることなく、15年の刑期を終えたJuliette(Kristin Scott Thomas)は、身元引受人となった歳の離れた妹Léa(Elsa Zylberstein)の家に身を寄せる。しかし長い空白期間を経て再会した姉妹はぎこちなく、彼女はLéaの夫や娘たちとも距離を置いた。孤独の中に閉じこもるJulietteだったが、献身的な妹や無邪気な姪と過ごすうちに、自分の居場所を見いだしていくのだった。(作品の詳細はこちら


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ショートカットの女性が息を切らせて走る、もどかしげに階段を駆け上がる。一方誰もいない駅の待合室で、1人の女が固い表情のまま煙草を吸っている。この待合室に辿り着いた冒頭の女性は、女の横に立って、「Juliette!」 その呼び声にもう1人が、ゆっくりと振り向く。オープニングに登場する、JulietteとLéaの15年ぶりの再会のシーン。Kristin Scott Thomasの存在感と言ったら!心の微妙な揺れを1つ1つ丁寧に掬い取るような、静謐で繊細な演技にうちのめされました。

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久しぶりの再会に妹は嬉しくてしょうがないのだが、魂が抜けたようなJulietteは虚ろで何も語らず、機械的に息をして黙々と日常生活をこなすだけ。現実味の薄い宙に浮いたような日々。しかし突然現れた姉の存在に、人々は好奇の目や興味を降り注ぎ、きわどい質問を投げかけてくる。Léaの上の娘(養女)もその1人。Julietteを警戒するLéaの夫も、心から打ち解けようとはしない。予想はしていたgs、やはり世間の目は冷たいものだ。そんな中で彼女は、幼い息子の命をこの手で奪った罪の重さに1人で耐え、誰にも苦しみを訴えず救いも求めず、心を閉ざしてしまっていた。

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けれども家族や周囲と否応なく関わっていくうちに、凍りついた心が少しずつ解きほぐされていくのです。Léaの娘や夫や同僚、彼女の保護観察担当の刑事(カフェのシーンは印象的で好きです)、Léaのもの言わぬ義父、施設にいる母など、愛すべき人々たちとの交流を通して、Julietteは一人一人の生き方や考え方や温かさに触れ、本来の姿を少しずつ取り戻していく。薄いベールを一枚一枚、用心深く剥がしていくように。渡る世間は鬼ばかりではないんです。

中でも献身的に支え絶対的な信頼を寄せていた妹は、Julietteにとってかけがえのない存在で、ありのままを受け入れ、何があっても味方でいてくれる。自分を分かってくれる、認めてくれる、自分の居場所がある。それらが彼女を絶望の淵から救い出し、心の扉をそっと開き、人は人と寄り添い合うことで生きていける、という希望をもたらしてくれるのでした。


by amore_spacey | 2020-02-14 00:20 | - Other film | Comments(0)

8人の女たち (8 femmes)

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【あらすじ】 1950年代のフランス。クリスマスを祝うため、雪に閉ざされたMarcel(Dominique Lamure)とGaby(Catherine Deneuve)夫婦の屋敷に家族が集まる。ちょうどその日の朝、メイドのLouise(Emmanuelle Béart)がMarcelの部屋へ朝食を持っていくと、彼は何とナイフで背中を刺され死んでいた。外から何者かが侵入した形跡はない。電話線は切られて外部との連絡を完全に絶たれ、警察を呼ぶこともできない。祝祭気分は一転、8人の女たちは疑心暗鬼を募らせていく。やがて互いの詮索が始まり、次々と彼女たちの思惑や秘密が暴露されていく。(作品の詳細はこちら


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フランスを代表する8人の女優が一堂に会す夢の競演作で、歌って踊るミュージカル仕立てになっており、様々な年代の個性的な女優たちや50年代の衣装、内装やインテリア、加熱していく室内と外の白い雪景色のコントラスト、音楽のチョイスや振り付けなど、どれも素晴らしく眼福ものでした。オープニング・クレジットがお洒落で、8人の女優の名前が、それぞれ一輪の花をバックに流れる。女優の役どころや雰囲気をイメージした花なのですが、Isabelle Huppertだけシュールな花だったような。そうそう、Romy Schneiderが意外なシーンに出ているんです。

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さて事件発生と当時に犯人探しが始まるのですが、8人それぞれのアリバイを検証していくにつれ、知られざる秘密や本性が暴かれていく、その過程がとても面白くて思わず引きまれていきます。着飾って気取った女たちも、蓋を開けてみれば、あら、まぁ、出るわ出るわ、仰天の事実が次々と。

一皮剥けばドロドロした人間関係や女の怖さも、絶妙のタイミングで入るミュージカルが、うまく中和してくれる。しかもこの歌や踊りは、ブロードウェイのそれとは若干異なって、台詞の延長上にある独白に近い歌というのか、遊び心のある粋なミュージカルなので、クスッと笑ったりしんみりさせられたり。大御所のCatherine Deneuveが、貫禄のあるからだをぷるぷるさせながら歌って踊る姿は、可愛らしかった。メンドリのように口やかましい干物女を演じたIsabelle Huppertのピアノの弾き語り(←音が出ます)には、思わず聞き入ってしまいました。

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それぞれの秘密をあばき出し、憎しみ罵り合って、洗いざらい心の内をぶちまけた8人。このまま一気に家族崩壊かと思いきや、同じ男を愛した女たちに、同士としての仲間意識のようなものが芽生え、心の中で傷を癒し罪を赦し合う。人間って女ってホントに不可解、、、だけど、愛すべき生き物ですね。結末を知った上でもう一度観たら、違った視点でまた楽しめそうです。


by amore_spacey | 2020-02-05 01:57 | - Other film | Comments(0)

イブラヒムおじさんとコーランの花たち (Monsieur Ibrahim et les fleurs du Coran)

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【あらすじ】 1960年代初頭、パリの貧しい地域に父親(Gilbert Melki)と暮らす13歳のユダヤ人少年Moses 'Momo' Schmitt(Pierre Boulanger)は、向かい通りの食料品店へおつかいに行くうちに、イスラム教のトルコ移民の店主Ibrahim Deneji(Omar Sharif)と心を通わせるようになった。そんなある日、父親は解雇されたショックから、Momoを一人置いて家を出て行ってしまう。Eric-Emmanuel Schmittの小説を映画化。2003年のヴェネチア映画祭で、特別功労賞(Omar Sharif)を受賞。(作品の詳細はこちら


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この映画で印象的だったのは、少年の家の窓からみたパリの下町の猥雑な雰囲気が、直(じか)に伝わってくるような、生きの良いカメラワークでした。階段をのぼっていくと、そこは石畳の狭い通り。車や人々が行き交いするその通りには、客引きの娼婦たちがあちこちに立っていて、道を渡ったところにIbrahimおじさんの小さな食料品店がある。町のにおいやゴミや汚れや喧騒をあるがまま撮って、この界隈に生きる人々の姿を生き生きと映し出している。この路地裏をちょっと散歩してみたくなるような、どこか懐かしくて馴染みのある風景に誘われ、気がついたら作品の中にいた…という訳で、監督やカメラマンの手腕がお見事なのです。

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少年Momoがいつも家の窓辺から見ている娼婦たち。彼はありったけの貯金をはたいて、彼女たちに声をかけ童貞喪失するところから、話は始まります。娼婦の気さくなお姉さん・おばちゃんやIbrahimおじさんが、少年の両親や先生の代わりになって、生きていくのに必要なことを教えてくれる。彼女との淡い恋愛関係は、大人の入り口に立った少年を揺り動かす出来事でした。物事の善悪や倫理、世の中の本音とか建前とか、それらの1つ1つが実地体験だから、Momoは身体に刻み込むように覚えていく。

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少年の父親は読書家で知識は豊富だったかもしれないが、愛情表現がとても不器用で、理想ばかり追い求めて、ちっとも現実に目を向けようとしない。その結果、彼自身が人生に行き詰ってしまう。心の糧となる読書も大切だけど、書を捨てて(父親の大量の愛蔵書を売り飛ばしたMomo、あっぱれじゃ!)町へ出よう。可愛い子には旅をさせよう。これがIbrahimおじさんたちの教えでした。

おじさんの背景にあるイスラムの世界や、生まれ故郷のトルコには、かつてイスラム教とロシア正教とカトリックが共存していたことなども、旅の道中に少年の目で確かめさせた。そこで見たことや感じたことが、Momoの自我形勢や人生観や宗教観に繋がっていくのだ。教科書では決して学べない、これこそ本当の社会見学です。ところでおじさんの店に、ペットボトルの水を買いに来た女優って、Isabelle Adjaniだったのねェ。お元気そうで何よりです。


by amore_spacey | 2020-02-03 00:35 | - Other film | Comments(2)

男と女 (Un homme et une femme)

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【あらすじ】 フランスのドーヴィルにある学校の寄宿舎に娘Françoiseを預けて、パリで一人暮らしをしているAnne(Anouk Aimée)。一方カーレーサーのJean-Louis(Jean-Louis Trintignant)もまた同じ寄宿舎に息子Antoineを預けていた。子どもを通して知り合った二人には、それぞれ夫と妻を亡くしたという共通の過去があった。やがて二人は、互いへの思いと辛い過去の間で揺れ動く。(作品の詳細はこちら) 


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子どもの頃に初めて観たような気がするが、Francis Laiの♪ダ~バ~ダ シャバダバダ シャバダバダ♪が面白すぎて、それしか覚えていない。学生時代には、シャープな顔立ちのAnouk Aiméeの佇まい、口角がきゅっと上がった笑顔、笑った目元、髪を何度もかきあげる仕草、ムートンコートとブーツに身を包んだ立ち姿に、「うわぁ、なんて素敵な女性なんだろう」と、うっとり。別世界の人だった。

今回久しぶりに観ると、、、あら、まぁ、奥さん!強面で仏頂面のTrintignantが、楽しそうに笑ってハシャいで、走り回っているじゃありませんか!衝撃でした。彼ってこんな表情で笑うんだ。失礼ながら、この人も笑うんだァと。わが子へのまなざしも、柔和で優しい。逢瀬を重ねるにつれ主役の二人は、父親母親から男と女の顔になっていく。

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車に乗った男と女、フロントガラスに降りそそぐ雨、光と暗闇、誰もいない季節はずれの海辺。幻想的で美しいモノクロ映像に、突然、カラーのフラッシュバックが乱入。そしてまた静けさを取り戻し、シャバダバダ… が物憂げに続く。少し気だるくて夢見心地の雰囲気が、二人の揺れる心象と重なり、観終わったあともその余韻に浸っていた。フランスのお洒落で物憂げな雰囲気に、世界中の人々が虜になったのも分かる。男と女の心の底まで深く踏み込まず、あくまでも映像や雰囲気を味わう作品なんでしょう。

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でも気になることが幾つかあって...。男の妻があの状況でどうして自殺したのか?それから亡くなった夫を忘れられないまま男に抱かれる女が、その瞬間の不毛な心情から、「夫のせいよ」と言い、「もう死んだんだろ?」と答える男の心境が、分からない。ちょっとアンタ、何言うてるの?いやいや、死んだら終わり、じゃありませんって。愛は盲目と言いますが、この乱暴な台詞には呆れるばかり。

これに続くラストシーンのAnneも不可解。破局をにおわせながら、彼女はプラットホームで再会したJean-Louisに抱きついて、熱い抱擁を交わす。気持ちは分からなくもないが、う~ん、たぶん私はそうはならないなぁ。列車に乗っていた時間が冷却期間だとしても、気持ちが180度変わるには、あまりにも短か過ぎる。それがあの時のAnneの気持ちだったと言われれば、「ああ、そうか」と思うしかないのですが、もやもや...。


by amore_spacey | 2020-01-30 01:35 | - Other film | Comments(0)

エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語 (The Art of Racing in the Rain)

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【あらすじ】 カーレースのプロドライバーDenny Swift(Milo Ventimiglia)の愛犬Enzo(声Kevin Costner)は、最期の時を迎えようとしていたが、その心境はとても穏やかなものだった。「経験を十分に積んだ犬は来世で人間に生まれ変わることができる」という信念を持っていたからだ。そんな老犬Enzoの回想という形を取りながら、彼とSwift家の10年間を描いていく。Garth Steinの同名小説をベースに映画化。(作品の詳細はこちら


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Kevin Costnerが声を担当しているのと、真赤なフェラーリでサーキットを疾走するワンちゃんのポスターに惹かれて、この作品を観ました。レーサーを演じるMilo Ventimigliaがとてもクールで淡々としているせいなのかか、「ここ、もっと気持ちが搔き乱される場面ですよねェ?」なのに、さらっと行ってしまった感があり、置いてきぼりを食らいました。他の役者たちも、概ねさっぱりとした演技でしたね。感動の押しつけがなかったのは、幸いでしたが。

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動物の語りで物語が進んでいく作品は、実はかなり苦手で、映画が始まった瞬間、後悔した。観るのをやめようかな、とも。でもEnzoを演じたワンちゃんの表情、特に眉毛や目の動きに心を掴まれて、表情豊かな彼から目が離せなくなってしまったのです。動物の語りが嫌なら、音声を消して観れば良かったのかも。Enzoを演じたワンちゃんが芸達者なんだから(訓練士さん、すごい)、全ての台詞を逐一喋らせてしまうなんて、あまりにも芸がなさすぎる。

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と、色々言っていますが、最後まで観ました。ムジェッロ・サーキットのラストシーンは、ありきたりだけど良かった。犬を飼っている人や犬が好きな人、動物好きにはたまらない映画だと思います。Kevin Costnerの声は、若い頃より今のほうが断然いい。


by amore_spacey | 2020-01-28 00:44 | - Other film | Comments(2)

アジャストメント (The Adjustment Bureau)

ネタばれあり!
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【あらすじ】 スラム出身で新進気鋭の議員David Norris(Matt Damon)は、上院議員候補として選挙に出馬していたが、過去のスキャンダルにより落選。敗北宣言の内容を考えている最中に、ダンサーのElise(Emily Blunt)と出会い、たちまち互いに惹かれ合う。彼女の助言に従い予定とは異なるスピーチをして、民衆の好感を更に高めた。
  3年後、Davidはかつて選挙参謀だったCharlie(Michael Kelly)の会社役員として迎えられる。そしてEliseと偶然再会するが、黒ずくめ男たちに拉致されてしまった。 彼らは世界の時空と人の運命を自在に操作・調節して、世の中の調和とバランスを監視する運命調整局のエージェントだった。DavidはEliseを追い求めるが、エージェントたちは本来の運命を進行させるため、2人を引き離そうと画策する。SF作家Philip K. Dickの短編Adjustment Teamをもとに映画化。(作品の詳細はこちら


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Matt DamonとEmily Bluntの共演や、自分の運命がもし何者かによって調整されていたとしたら…という斬新な着想に、好奇心をそそられました。SF色が強いのを期待して観始めたら、サスペンス仕立てのラブロマンスのようで、ちょっぴり肩透かしを食らった感はありましたが、前半はなかなか面白かったです。

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謎の組織である運命調整局は、運命を設計する議長Thompson(Terence Stamp)、その右腕でエージェントに指示を出すRichardson(John Slattery)、この指示に従って動くエージェントたちで構成されており、設計図通りに運命が進んでくれないと色々な不都合が生じるので、これを避ける=運命のズレを調整するため、エージェントたちは必死に走り回るのです。が、任務を完璧に果たすのかと思いきや、雑な仕事ならイタリア人に任せろ的な、残念なエージェントも居る。しかしミスをしても上層部からのお咎めはなく、解雇されたり抹殺されたりすることもない。世界の時空と人類の運命を操作している割には、かなりゆるいルールの組織なんでしょうか(笑)

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さて1人のエージェントHarry Mitchell(Anthony Mackie)がうっかりしていたために、Davidは二度と会うはずのなかったEliseと再会し、そこから彼の運命は意図しない方向にどんどん転がっていく。自分の運命が何者かに操られていると気づいた彼は、Eliseと結ばれるためには神が設計した運命と対峙しなければならず、しかし大きな力に阻まれて、彼女とは別々の道を歩むような選択を何度も迫られるのだ。ああ、DavidにJason Bourneのような能力があったら、こんな組織など屁でもなかったのに。

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う~ん、話の展開に無理矛盾があるなぁと思いつつ、中盤まではそこそこ楽しめたのですが、脚本が大雑把なので、突っ込み所が満載なんです。SFとしての枠組みが首尾一貫していない上に、無理矢理ハッピーエンド(愛の力は全てを圧倒する)に持っていこうとするから、「あれっ、運命調整局や議長たちの本来の役割や目的って、一体何だったの?」な疑問が否めず、後半は時間稼ぎのためか?みんながムダに走り回っていた。

それはともかく、「自分で運命を選択しているつもりでも、全ては予め決められている」という発想を逆手にとれば、実生活で失敗したり行き詰まったりしても、「これってさ、もう決められていたことだから、私にはどうしようもないんだもーん」って、一瞬だけでも堂々と開き直ること現実逃避ができるわね。どこでもドアは、、、あったらいいなぁ。あったら、絶対に欲しい。


by amore_spacey | 2020-01-24 00:40 | - Other film | Comments(0)

サンローラン (Saint Laurent)

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【あらすじ】 1960年代後半にYves Saint Laurent(Gaspard Ulliel)は、斬新なコレクションを次々と発表し、モードの帝王としてファッション業界に衝撃を与えた。そんな彼が世界的にブレイクを果たした、1967年から1976年までの10年間を描く。(作品の詳細はこちら


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つい最近観た『たかが世界の終わり』で、強烈な印象を持ったGaspard UllielがYves Saint Laurentを演じており、さらに『悲しみの青春』で共演したDominique SandaとHelmut Bergerが出ていると知って、訳もなくテンションが上がったのです。が、Dominique Sandaの登場って、あんだけ?全編に渡って息子Yvesとの絡みがあるかと期待していたので、心底ガッカリ。神秘的で謎めいた美しさこそ失ったものの、66歳の素敵なマダムでした。

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Yves Saint Laurentについては全く知らなかったが、天才と呼ばれるような人は破滅スレスレの道を辿る事が多いように思う。若くして世界的な名声や富を手にしたYvesも、常人では理解出来ない重圧やアイデアの枯渇・限界に悩み、煙草・アルコール・ドラッグに溺れ、公私のパートナーに心の拠り所を求めるなど、彼の過激な生き様は衝撃だった。

そんなYvesをGaspard Ullielが、文字通り体当たりの演技(フルヌードとかキスとか濡れ場とか)で、頑張っていました。アンニュイな表情や静かな佇まいや歩き方など、随分研究したのでしょう。憂いのある視線や、鼻の下から上唇にかけてのラインが、もう官能的でエロすぎ!肉食男Jacques de Bascher(Louis Garrel)との赤裸々なエピソードは、正直どうでもよかったが...。ファッション業界を扱った『ファントム・スレッド』も、カリスマ・デザイナーの静かな狂気を描いていますが、全体を包む落ち着いた雰囲気や色合いが、私にはしっくりきました。

延々と続く退廃的で自堕落なストーリーの中に、心温まるエピソードもあり、それが救いだった。地味な顧客Duzer夫人(Valeria Bruni Tedeschi)にマニッシュなスーツを着せて、アップにしていた髪をおろさせ、ゴールドのネックレスやベルトでアクセントをつけて、彼女に部屋を歩いてもらう。見違えるようにグレードアップ。その瞬間の嬉しそうなDuzer夫人や飛びっきり満足そうなYvesの表情に、思わず顏がほころんだ。

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世界に君臨できたのは、Yvesはもちろんですが、チームの才能や協力あってのこと。中でも愛人&パトロンであったPierre Bergé(Jérémie Renier)は、研ぎ澄まされた感性や繊細で壊れやすい心を持ったYvesを、忍耐と渾身の力で支え続けてきた。こんな有能な右腕がいながら、Yves はJacques de Bascher(Louis Garrel)に手を出して破滅に向かっていく。幸い広い見識の持ち主で実業家としてもやり手だったPierreが、死の淵まで行ったYvesを見事に立ち直らせた。彼の存在は絶大です。

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終盤になって53歳のYvesに扮するHelmut Bergerが登場。70歳の彼が53歳のYvesを演じるのは、かなり無理がありますが、腐っても鯛と言いますか、訥々と過去を語る姿は味わい深いものでした。椅子に座った彼が感慨深げに観ているのは、かつて愛し愛されたVisconti監督の作品で、画面には全盛期の美しいHelmutが映っている。Bertrand Bonello監督の粋な計らいに、胸が熱くなりました。このシーンを撮っている時、Helmutにはどんな思いが去来していたのでしょう。


by amore_spacey | 2020-01-22 02:14 | - Other film | Comments(0)

砂漠でサーモン・フィッシング (Salmon Fishing in the Yemen)

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【あらすじ】 英国の水産学者Jones博士(Ewan McGregor)のもとに、砂漠の国イエメンの大富豪Sheikh Muhammed(Amr Waked)から、「鮭釣りがしたいので、イエメンに鮭を泳がせてほしい」という依頼をもちこまれた。そんなことは不可能とJonesは一蹴したが、中東との関係修復のためにと外務省が支援を決め、首相まで巻き込んだ荒唐無稽な国家プロジェクトに発展してしまう。Jonesはイエメンの大富豪の代理人Harriet(Emily Blunt)らと共に、この無謀な計画に着手する。(作品の詳細はこちら


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イエメンの大富豪の「イエメンでサケを釣りたい」という無理難題に応えるため、国家プロジェクトにまで発展してしまうという奇想天外な物語に、Jones夫妻とHarriet&彼Robert(Tom Mison)各々のパートナーとの問題や、Jones博士とHarrietの淡いロマンスを絡ませて、クライマックスに向かいます。

うーん、何かちょっと中途半端で物足りなかったかな。Harrietが究極の?選択(それにしては、あっさりと決めたもんです)をするラストシーンは、いかにもやっつけ仕事感満載で、ないほうがよかった。何はともあれ、俳優陣や映画全体の雰囲気が良かったので、さらっと楽しむことができました。

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朴訥としたJones役のEwan McGregorが、説明するために描いた絵。これがお茶目でキュートなの。彼、イラストの才能もありそう。

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黒の夜会服に身を包んだEmily Bluntの、素敵なこと!惚れ惚れ。メンタルやられてグダグダになった彼女も、かわいいのです。

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私好みのイケメンAmr Wakedは、1972年エジプト生まれ。気品のある大富豪がハマリ役で、「私にはたくさん妻がいるから、女性の気持ちがわかる」なんて台詞を、さらっと言う。

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あれれっ、頭の被り物がないと、近所の魚屋の兄ちゃんぽい。笑顔がさわやか。

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横暴で打算的な広報官Patricia Maxwellを演じたKristin Scott Thomasが、この作品に程良いメリハリをつけてくれました。職場ではデキる女だけど、三人の男の子のママで、反抗期の息子にてこずる姿が微笑ましい。首相とのメールのやり取りは、もう可笑しくって。

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Bernard Sugden役のConleth Hillは、GOTの宦官Varys公。うわっ、髪の毛ふっさふさ。


by amore_spacey | 2020-01-18 02:00 | - Other film | Comments(0)

たかが世界の終わり (Juste la fin du monde)

ネタばれあり!
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【あらすじ】 劇作家として成功したLouis(Gaspard Ulliel)は、自分の死が近いことを家族に伝えるため、12年ぶりに里帰りした。母(Nathalie Baye)は彼の好物をテーブルに並べ、幼い頃に会ったきりで兄の顔が思い出せない妹Suzanne(Léa Seydoux)もソワソワしながら、さらに兄Antoine(Vincent Cassel)と兄嫁のCatherine(Marion Cotillard)も待っていた。しかし家族と他愛のない会話を交わすうちに、Louisは告白するタイミングを失ってしまう。(作品の詳細はこちら


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インパクトのあるタイトルが目にとまり、『マイ・マザー』に続いてまたXavier Dolan監督の作品を観ました。観終わった直後は、始終怒鳴り散らしている兄があまりにも強烈で、これじゃ12年ぶりに帰って来た弟のLouisが、可哀相じゃないかと思ったのです。が、よくよく考えてみたら、Louisって随分身勝手で自己中心的なヤツじゃないかと。12年も実家に帰らなかったのに、自分の死期が近いことを伝えるために帰ってくるって、何よ、それ?結局何も言わないまま実家を立ち去るのですが、久しぶりに会う家族に自分の病気や余命を話すことで、居場所を確認したかったのでしょうか?

5人の会話が延々と続きますが、話は噛み合わないし、ちょっとした一言が炎上して修羅場になってしまう。常に一触即発の空気を孕んでいるので、緊張を強いられ疲労感が半端ない。ああ嫌だ、もう居たたまれなくて、ここから逃げ出したくなります。見ての通り兄や妹はとても攻撃的ですが、実は不器用で臆病で傷つきやすく、本音を素直に話すことができず、すれ違って分かり合えない。それはこの家族の姿でもあるのです。

たかが世界の終わり (Juste la fin du monde)_e0059574_2104367.jpg
兄にしてみれば、長男で家長としてこの家を守るために、かなり自分を犠牲にしてやってきたのに、誰も評価してくれない。ところが弟ときたら家を出て作家として成功し、自由気ままに暮らしている。兄が激しいやっかみや憎悪や、鬱屈した思いを抱くのも無理はない。「今さらどのツラ下げて、帰って来た?」「勝手に出て行ったんだから、お前の問題に、オレたちを巻き込むな」 もうお前はうちの家族なんかじゃないと言わんばかりに突っかかるが、子どもの頃に仲良く遊んだ思い出が脳裏をかすめ、その狭間で自己嫌悪やジレンマに陥ってしまう。完全な悪者にもなりきれない。

どこか他人行儀でぎこちないものの、静かに話を聞いてくれる兄嫁は、Louisにとって唯一心を許せる存在だ。そして彼のもう1つの心のオアシスは、カレとの思い出のある以前の家。彼がホッとできる場所は、この家にはもうどこにもないんだ。壊れた鳩時計に、Louisや彼の家族がダブって見える。映像がハッとするほど美しいだけに、切なく虚しい思いが増幅され、胸が痛くなります。「この家に、愛はないんか?」


by amore_spacey | 2020-01-17 02:36 | - Other film | Comments(0)