カテゴリ:- Other film( 385 )

パディントン2 (Paddington 2)

私のHugh様お気に入り度 ★★★★☆ (85点)

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【あらすじ】 Brown家の一員として、幸せに生活しているクマのPaddinton。もうすぐ100歳になるLucyおばさんへの誕生日プレゼントを探していた彼は、骨董品屋ですてきな絵本を見つける。絵本代を稼ごうと窓ふきのアルバイトを始めるが、洗剤を頭からかぶるなど失敗しては騒動を起こす。そんな中、絵本が盗まれ、一家と共に絵本の行方を追うが、いつしかPaddintonは濡れ衣を着せられ、刑務所へ収監されてしまう。(作品の詳細はこちら


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お子様向け(または安心して鑑賞できるファミリー向け)の映画と思っていたので、前作は観ていないし、この作品も普段なら完全にスル―。ところが、「Hugh Grantがすごい」という話をうっかり耳にしたばっかりに、彼を観たいスイッチが入ってしまったのです。

Hugh扮するPhoenix Buchananは、過去の栄光にすがって生きる落ち目の俳優という役どころで、Hughお得意の自虐的なネタが満載。様々な役を演じながら、Paddintonたちを罠に陥れていく悪役なんだけど、お次は一体どんな被り物で登場?と、彼が出てくるたびにワクワク。本人もノリノリで、楽しんでいるのが分かる。心底悪いヤツになり切れず、そのせいか?いつも詰めが甘くて、計画は失敗に終わる、ちょっと間抜けな悪人。コミカルな悪人ですかね。笑いをとることに優れたHughならではの、面白味がありました。

最大のサプライズは、ラストのミュージカルでした。歌って踊れるHughに、文字通り、エエーッ?ってな感じで驚きを隠せなかった。リズミカル且つしなやかな動きで、歌も踊りもうまい。若さや過去の栄光にいつまでもしがみつかず、自分の持ち味を生かしつつ、上手に脱皮して新境地を開いている。生き生きと楽しく歌って踊るHughを観ていたら、幸せな気持ちに満たされました。彼はシニカルだけど可愛げがあって、さりげなく人の心を掴んで離さない。


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と、Hughを熱く語ってしまいましたが、この作品の主人公はクマのPaddinton。ドジだけど善意の塊で、彼が行く先々で物事が丸くおさまるという、不思議な現象が起きる。Paddintonの無実を晴らそうと奔走するBrown家の様子が、突っ込み所満載で愉快。『ダウントン・アビー』のGrantham伯爵が、就寝前の顔マッサージとか、真っ青なフェイスパックとか、2つの列車に挟まれて180度足の開脚とか、とても庶民的でコミカルなおじさんもピッタリだ。


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余談ですが、Curry 氏を演じるPeter Capaldiを見た瞬間、「えっ?前フェラーリ会長Luca Montezemoloが、カメオ出演?」なんてあり得ないが、それにしても、よく似ている。


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by amore_spacey | 2018-07-15 02:06 | - Other film | Comments(0)

やさしい嘘 (Depuis qu'Otar est parti...)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (83点)

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【あらすじ】 グルジアに暮らすEkaおばあちゃん(Esther Gorintin)の楽しみは、新しい生活を求めてパリへ旅立った息子Otarから届く便り。母Ekaの愛情が、弟Otarにだけ注がれていることに嫉妬する娘Marina(Nino Khomasuridze)。そして堪能なフランス語でOtar叔父の手紙を読み聞かせるのが日課となっている、おばあちゃんっ子の孫娘Ada(Dinara Drukarova)。女だけの3人家族の生活には、ちいさなトラブルはあるものの、平穏な幸せに包まれていた。そんなある日突然、Otarの訃報が届く。(作品の詳細はこちら


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3人でケーキを食べる冒頭のシーン、これがとても印象的だ。台詞はないのに、3人のぎこちない関係が手に取るように分かる。町の喫茶店内でEkaおばあちゃんが選んで持ってきたケーキを、不機嫌な表情をしたEkaの娘がちらっと見て、横から無造作にフォークでつつく。Ekaおばあちゃんは、「何すんの?これ、私のよ!」と言わんばかりに、不快な表情で娘を見据える。ムッとしたMarinaは、フォークを投げ捨てる。テーブルにぶつかるフォークの金属音。一部始終を目の端で見ている孫娘の顔には、「あ~あ、またやってる(苦笑)」 母と娘、祖母と孫娘の距離感や位置関係を、1分足らずのシーンの中で端的に描き出している。ここだけでも、繰り返し観たいくらいだ。


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作品の半ばである事件が起きるものの、歴史に翻弄されつつ生きる1つの家族の物語が、淡々と静かに展開していく。頻繁に起きる停電やそのたびに灯されるロウソク、髪を洗っている途中でシャワーが止まってしまう場面など、馴染みのないグルジアの暮らしの一端だけでなく、3世代が生きてきた社会的な背景のギャップを、分かりやすく描いている。スターリン体制が崩壊して、人々はより自由な社会を夢見ていたのに、現状はヘタすると前より酷い。自分たちが望んだ社会って、こんなもんだったの?という大きな失望や落胆。社会主義体制下で生きた祖母と母、そして自由主義的な教育を受けた孫娘の間に、祖国への思いがズレるのは当然だ。


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そんな社会の中で暮らす彼女たち。弟ばかり愛する母に素直になれない娘、ぎくしゃくした2人の間にいる孫娘と祖母との温かい関係。面と向かって言えない(言ってはいけない)、様々な思いを抱える3人が、Otarの死をきっかけに、互いの辛い心持ちを察するようになり、思いやろうとする気持ちが芽生えていく。その辺りは、『グッバイ・レーニン』に似ているが、本作品の素晴らしさは、その先に待っている予想外のどんでん返しだ。Ekaおばあちゃんのナイス・ショットに、「ばあちゃん、カッコイイ!」 激動の時代を生き抜いてきた彼女だから、ちょっとやそっとの事では動じない精神力や芯の強さがある。そんな彼女の、大地のように包み込む偽りのない家族愛に、娘や孫娘は逆に救われた。愛する孫娘が旅立つラスト・シーンには、悲しみの中にも希望の光がさして、目の奥が熱くなる。Adaやこの家族に、平穏な日々が訪れることを祈って止みません。


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by amore_spacey | 2018-07-10 01:49 | - Other film | Comments(0)

ドクター・ストレンジ (Doctor Strange)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 ニューヨークの病院で働く天才外科医、Stephen Strange(Benedict Cumberbatch)。ある日交通事故に遭った彼は、外科医として致命的な、両手にマヒが残るケガをしてしまう。一瞬にしてその輝かしいキャリアを失った彼は、あらゆる治療法を試し、最後にカトマンズの修行場カマー・タージに辿り着いた。
  そこで神秘の力を操る指導者The Ancient One(Tilda Swinton)と巡り会った彼は、未知なる世界を目の当たりにして衝撃を受け、Oneに弟子入りする。そして過酷な修行の末に、Strangeは魔術師として生まれ変わった。しかしそんな彼の前に、闇の魔術の力で世界を破滅に導こうとする魔術師Kaecilius(Mads Mikkelsen)が現れ、人類の存亡をかけた戦いの渦に巻き込まれていく。(作品の詳細はこちら


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この手(スーパーヒーロー物)の映画はどうも苦手なのですが、Benedict CumberbatchとMads Mikkelsenが対決すると聞いて、スルーできなかった。彼らの存在は、何て偉大なんだろう。けれど鑑賞中は、『ハンソロ』『ローグ・ワン』と同様、どこか居心地の悪さがつきまとい、最後まで作品の中に入っていけなかった。たとえ好きな役者が出演していても、苦手なジャンルを我慢してまで観ることはないな、と思いました。罰ゲームじゃないんだから。


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でも、でも、あの映像は、本当に素晴らしかった。CGを駆使した途方もないスケールの映像美は、『インセプション』から格段に進化し、鳥肌モノでした。そのうえ町が幾何学模様に捻じ曲がったり、折り畳まれたり回転したりする映像に、酔ってしまいました。映画館で観ていたら、真っ直ぐ歩けなかったかも。

Doctor Strangeが習得した、魔法によるバリア・空間跳躍による瞬間移動・飛行能力・催眠術・念動力などの、特殊能力にも目を見張った。現実離れしていて実感できないが、カラフルで華麗でど派手な映像は、見ていて純粋に楽しい。子どもの頃は、こんな特殊能力に憧れたものです。


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観始めて間もなく、私の目を釘付けにしたのは、男とも女ともつかない年齢不詳のTilda Swintonの、他を圧倒する超越っぷり。彼女の導師としての佇まいが見事でとても美しく、この人について行きたいとさえ思った。頭を丸めたTildaは、雰囲気が限りなく東洋的でエキゾチック、しかも今まで以上にカリスマ性を帯び、神々しいオーラを放っていた。こういったジャンルの作品に、Tildaも出るんだァという驚きもありました。Doctor Strangeの1/100でいいから、あんな特殊能力があったらなぁ。


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by amore_spacey | 2018-07-06 01:27 | - Other film | Comments(0)

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (Rogue One: Star Wars Story)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 帝国軍が誇る究極兵器Death Starによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗・暴行・書類偽造などの悪事を重ねてきたJyn(Felicity Jones)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはDeath Starの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。
   彼女を筆頭に、情報将校Cassian(Diego Luna)・盲目の僧侶Chirrut(Donnie Yen)・巨大な銃を駆使するBaze(Wen Jiang)・貨物船の凄腕パイロットBodhi(Riz Ahmed)といったメンバーで、極秘部隊Rogue Oneが結成され、不可能と思われる作戦が始動する。その運命のカギは、天才科学者であり、何年も行方不明になっているJynの父Galen Erso(Mads Mikkelsen)に隠されていた。(作品の詳細はこちら


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スター・ウォーズのスピン・オフ第二弾『ハン・ソロ』を観て、感動に浸っていたところ、「いやいや、ローグ・ワンはもっと面白いですよ」と、耳元で囁く声が聞こえた。しかもMads Mikkelsenが出ているんですって?これはもう、観ない訳にはいかないではありませんか。

恐怖の最強兵器Death Star、その設計図を盗み出すミッションに挑むという、シンプルなストーリーなのに、宇宙へのロマンに溢れ、ワクワク感や躍動感が半端なく、特に後半から終盤にかけては、怒涛のような興奮の渦に巻き込まれました。ならず者だった反乱軍のスパイたちが、戦士のプライドにかけて戦い抜く姿。彼らが極秘部隊Rogue Oneの一員として、火の手が上がる戦場を走り抜け、爆風に吹き飛ばされつつ、味方をカバーしながら敵を撃ち落としていく。その間にも、1人また1人と命を落としていく。名もないRogue Oneの命を懸けた潔い戦いぶりは、まさに英雄に相応しい姿だった。あの戦闘シーンは、きれいにCG処理された宇宙戦争よりはるかに生々しくリアルで、心に深く突き刺さるものがありました。


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Jynの活躍や成長ぶりも素晴らしかった。Death Star建設に、父が荷担していた事実は消えないが、そこには父と娘の見えない宿命の絆があり、彼は一縷の希望を娘に託した。Death Star建設は、彼の本意ではなかった。そのことを娘は分かってくれる、そして必ず娘がDeath Starを破壊してくれる。Jynは父の悲痛の叫びを、確かに聞いたのだと思う。それからのJynは、強さを増しどんどん逞しくなっていった。女戦士の雄雄しい姿に、ゾクゾクしました。Rogue Oneの一員にならなかったら、彼女はタダの犯罪者で人生を終えていたかもしれません。彼女の相棒のCassian AndorやK-2SOの存在も見逃せない。K-2SOはちょっと面白くていいヤツだったから、あんな最期を遂げるなんて酷すぎる(号泣)


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荘厳な大艦隊や宇宙船の離発着の様子、そして無限に広がる宇宙での壮大な戦争。目の前で繰り広げられる大スペクタクルを、食い入るように観た。ここにはきっと過去の作品に繋がるシーンが、幾つも織り込まれていたのでしょう。やはり1977年に公開された、シリーズ最初の作品を鑑賞するべきだと思い、観はじめた。が、間もなく、「あ、これ、私が苦手なタイプだ」と。それでも1時間ほど我慢して観たのですが、ダメでした。全く楽しめないし、頭に入って来ない。こればかりは好みの問題なので、仕方がありません。残念。


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by amore_spacey | 2018-06-24 01:45 | - Other film | Comments(0)

イントゥ・ザ・ストーム (In to the storm)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (60点)

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【あらすじ】 アメリカ中西部シルバートンの町に、地球史上最大規模の超巨大竜巻が襲来。最悪の事態はまだこれからだと専門家たちが予測する中、気まぐれで恐ろしい巨大竜巻を前に、町の人々は為すすべもない。ほとんどの住民はシェルターに避難するが、竜巻を追って観測する研究者=ストーム・チェイサーたちは、生涯に一度の観測のためにあえて竜巻の渦に向かっていく。そんな中、二人の息子が通う高校の教頭(Richard Armitage)は、生徒や家族を守ろうと懸命の努力を続けていた。(作品の詳細はこちら


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Richard Armitageの1人祭りで観ましたが、最後まで到達できませんでした。巨大竜巻の迫力はなかなかのもので、臨場感があった。大スクリーンで観たらもっと緊迫感に包まれ、心臓バクバクだったのかもしれないが、正直言って映画館に行ってまで観るような価値はなかった。ええ、ですから、例のごとく早送りしながら観ました。コレって、ただの竜巻の話。Richardが出ているから、贔屓目にちょっぴり期待(何に期待してたんかな?私)していたんだけど、たいしたストーリーがなく、だったらいっそのこと、巨大竜巻のドキュメンタリーにすればよかったのに。


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by amore_spacey | 2018-06-13 00:33 | - Other film | Comments(0)

ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー (Solo: A Star Wars Story)

ネタばれ少しあり

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (75点)

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【あらすじ】 銀河一の高速船Millennium Falconを操る伝説の運び屋Han Solo(Alden Ehrenreich)は、生涯の相棒であり将来の副操縦士となるChewbacca(Joonas Suotamo)や、のちの盟友悪友Land Calrissian(Donald Glover)との出会いのエピソードなど、若きHan Soloの知られざる過去を描く。(作品の詳細はこちら


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スター・ウォーズど真ん中の世代なのですが、実はシリーズを1つも観たことがありません。と言うと、ビックリされる(引かれる)。当時、映画雑誌を購読していたので、そこそこの内容は知っていたけれど、SF系や宇宙モノがとにかく苦手で、友だちがあんなに盛り上がって、「一緒に観に行こうよ」と誘ってくれたのに、「ごめん」と断った頑固者でした。時代は流れ、スター・ウォーズのスピンオフが公開されるようになり、「1本ぐらい観ておいてもいいかな?」と軽い気持ちで、本作品を観に行った。


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特定の誰かや何かに思い入れがある訳ではないので、大スクリーンの映像を純粋に楽しんだ。Han Solo役のAlden Ehrenreichは、Harrison Fordには全く似ていないが、Harrisonが演じたHan Soloというプレッシャーに潰されることなく、若き日のHan Soloになろうと奮闘したAldenに好感が持てました。似ていればいいってもんじゃないから。大役、お疲れ様でした。仲間思いのChewbaccaが、ペットのように可愛い。2人が操縦するMillennium Falconは、とてつもなくカッコイイではありませんか。3D映像アトラクションのような臨場感に包まれ、光の中に吸い込まれるシーンでは、思わず全身に力が入りました。映画が終わったとき、軽いめまいと頭痛が…。この迫力!これはやはり、映画館で観なくちゃね。


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Qi'ra役のEmilia Clarkeは、可憐で可愛いんだけど、感情を見せず毅然としたDaenerysのイメージが強いので、普通の女の子的な役がピンとこない。と言うか、うーん、彼女の演技はかなり残念なのかも。ロボットの美女型ドロイドL3-37のほうが、色っぽくてウィットに富み、親しみやすいキャラだった。


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トゥルー・ディテクティブ以来、久々に見るWoody Harrelsonは、水面下でよからぬ事を企みそうな容貌だが、実はいいヤツだったりする。3枚目のチャラ男Lando Calrissianや、見るからに邪悪な男Paul Bettanyが、平坦になりがちなストーリーに変化を出してくれた。Paul Bettanyは居るだけで、インパクトがある役者だ。不気味だが、癖になる。

ちらっとHarrison Fordが出てくるかなと期待していたが、影も形もなかったね。スピン・オフとはいえ、何らかの繋がりをみせて欲しかった。なんてったって、初代の大御所ですから。なんて、スター・ウォーズを1本も観ていない私が言うのも、なんですが(苦笑)


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by amore_spacey | 2018-06-05 00:23 | - Other film | Comments(0)

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う (Demolition)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 ウォール街のエリート銀行員として順調に出世し、美しい妻Julia(Heather Lind)と何不自由のない生活をしていたDavis(Jake Gyllenhaal)は、ある日突然、交通事故で妻を失ったのに、悲しい感情が湧かず涙さえ出ない。心を失ってしまったのかと戸惑う彼は、「車の修理も心の修理も同じ。隅々まで点検して、組み立て直すんだ」という義父(Chris Cooper)の言葉をきっかけに、身近なものを壊し始めた。(作品の詳細はこちら


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じわじわ来る作品だ。妻の死と共に自分の感情も消えてしまった。一体自分に何が起こっているのか分からない。そんなDavisの心の状態を思うだけで、重力のない世界に放り込まれたような、とてつもなく不安な気持ちに包まれてしまう。ある時は爆弾のように爆発、またある時には凪(なぎ)のように静まり返る感情を、彼は持て余し制御しきれないでいる。一体何を探しているのか、何がしたいのか、真意がよく分からない。Davis本人も私たち視聴者も、誰にも分からない。


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彼がクレームを送った自販機会社の顧客担当Karen(Naomi Watts)や彼女の息子のChris(Judah Lewis)もまた、思うようにいかない人生の中でもがいていた。この親子とDavisの間には、互いに引き合う見えない糸があって、3人3様のやり方で傷ついた心を互いに癒していく。特別なことなんぞしない。積極的に働きかけるようなこともしない。何でもない言葉をかけて、傍らでそっと見守るだけ。親子を演じたNaomi WattsやJudah少年(この子、タイプだわぁ)が、とっても良いんだなぁ。

果たしてDavisと妻の間に、こんな心の交流があったのだろうか?互いを思う気持ちはあったけれど、それをうまく言葉に出来ない、相手に伝えられないもどかしさが、付きまとっていたに違いない。親子や夫婦の関係って、ホントに微妙で難しいものです。


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どのエピソードもかなり抽象的ではあるけれど、はっきり明言しないもやもやした曖昧さが、却って視聴者の気持ちに漣(さざなみ)を起こしていったように思う。こうして小さく揺り動かされた感情が、幾重にも重なり合っていったその先に振り下ろされた、「愛はありました、でもおろそかにしていました」というDavisの言葉は、痛烈な一撃だった。何と言ったらいいのか、冷静で客観的で曖昧で他人事のようなのに、ビンゴ!胸の奥に堰き止められていた熱い塊が、うわっとほとばしり出た感じ。心が揺さぶられ、エンドロールの後もその余韻に浸っていました。

こんな長ったらしいタイトルつけて、スカスカの内容じゃないの?なんて意地悪なことをちらっと思ったんだけど、スルーしないでこの作品を観て本当によかった。おそろかにしていました、これ、頭の中で何度もリフレインしています。


 
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by amore_spacey | 2018-05-27 04:20 | - Other film | Comments(2)

日の名残り (The Remains of the Day)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 1950年代のイギリス、Oxfordshire。アメリカ人の富豪Jack Lewis(Christopher Reeve)に仕える老執事James Stevens(Anthony Hopkins)は、人手不足に悩んでいた。そこでかつてこの屋敷の主(あるじ)だったDarlington卿(James Fox)の下で、共に働いた有能な女中頭Kenton(Emma Thompson)から手紙を受け取った彼は、彼女に職場復帰を促すため休暇を得て旅に出る。第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間で、淡い恋に揺れ動く執事の哀切を描く。カズオ・イシグロの同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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人生の黄昏時に差し掛かったStevensが回想するのは、Darlington卿に仕えた日々や老いた父親の面影、去り行く時代への懐旧の情や戦争による価値観の転換、そしてKentonとの淡い心の交流。「自分が人生を賭けて大事にしてきたものは、本当に意味があったのだろうか?」と、彼は自問する。執事という仕事に誇りを持ち、天職と信じて疑わなかったStevensの仕事ぶりには、清々しさや神々しいまでの崇高さが漂う。これぞ英国の伝統と思わせる、毅然たる態度や気品ある佇まいに、男の色気やダンディズムを感じました。しかし彼には悔やみ切れない思いが、いつまでも心にわだかまっている。


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屋敷の雑事を取り仕切る上で、執事と女中頭は互いに信頼と緊張を併せ持ちながらも、日々の暮らしの中で好意以上のものが生まれるのは、ごく自然の成り行きでありましょう。しかしStevensは恋愛に関してはひどく奥手で、Kentonを口説くどころか、好意を示す術(すべ)すら知らず、最初の1歩が踏み出せない。とても切なく胸が苦しくなります。安っぽい恋愛小説に、ささやかな心の慰めを得ていたStevens。それをKentonに見つかった時の狼狽ぶりと言ったら、ポルノ雑誌を隠れて見ていた男の子が、母親に見つかったような慌てぶり。仕事中のStevensとは全く別人の、人間味溢れるリアクションに、思わず頬が緩んでしまう。あのシーンのAnthony Hopkinsに、胸きゅんきゅん!萌えました。まさかLecter博士が、いじられキャラになるなんて…。わたし、Anthonyに惚れちまったかも。


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自問自答しながら、Stevensは自分が歩んできた道を真摯に受け止め、過去から身をそっと振りほどき、1人の執事として生きていくことを選ぶ。この潔さに、心が震えました。伝えられなかったKentonへの愛情は色褪せることなく、彼の胸の中で生き続ける。Dartington Hallが最も輝いていた時代に、人生のある部分をKentonと共有できた。それで十分ではないか。

ただ、別れのラストシーンが、あまりにも残念すぎました。土砂降りの雨の中って、あれはないわぁ。手抜きのやっつけ仕事にもほどがある。それまで作品を包んでいた良い雰囲気が、台無し。

 
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by amore_spacey | 2018-05-06 01:27 | - Other film | Comments(0)

禁じられた遊び (Jeux interdits)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 1940年6月、南仏の田舎。ドイツ軍の空爆により両親を目の前で失い、死んだ小犬を抱いたままひとりぼっちになってしまった5歳の少女Paulette(Brigitte Fossey)は、牛を追って来た農家の少年Michel(Georges Poujouly)と出会い、彼の家に連れていってもらう。Pauletteのために死んだ子犬の墓を作るMichelから、死んだものはこうやって葬る事を教わったPauletteはMichelといっしょに次々とお墓造りをしていった。(作品の詳細はこちら


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うわああ、なんて可愛いんだろう。Pauletteが可愛いらしくて、やっぱり何回も観てしまう。彼女の何気ない表情やまなざし、ちょっとした仕草や動きが、愛くるしくてたまらない。ママとお揃いのワンピースに、ママがやってくれた髪の編み込み…。だけどそのママもパパも死んでしまった。可愛がっていた犬も。あの犬を無造作に川に放り投げたおばちゃん、一生許さないわよ!

あれだけたくさんのお墓を作ったのは、死んだ愛犬が寂しい思いをしないようにという優しい気持ちから。十字架だって、最初はその辺の枝を使った手作りだった。でも墓地にあった十字架のほうがもっと綺麗で、欲しくなってしまった。動物のお墓にそれを立てたら立派に見えるし、きっと死んだ動物たちも喜んでくれる。きっかけは軽い気持ち。神や祈りや死が分からない子どもにとって、十字架を集めるのは、綺麗な貝殻やキラキラした石を集めるようなものだ。


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首に名札をぶら下げたPauletteが、「Micheeel!Micheeel!」と呼びながら走り出すラストシーンで、抑えていたものが一気にこみ上げ、涙腺崩壊で顔がぐしゃぐしゃになってしまった。あの瞬間Pauletteは、もう2度とMichelに会えないこと、1人ぽっちになってしまったことを、全身で理解してしまったのだと思う。今度こそ本当に1人ぽっち。このやるせない気持ちや絶望感を、どこにぶつければいい?悶々としている視聴者の前に、間髪入れずFINの3文字。情け容赦なんて、ありゃしませんよ。絶望のどん底に叩きつけられたみたい。こんな小さな女の子が、一体どうやって生きていくんだよぉ?(号泣)


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あの物悲しいギターのメロディは、ヤマハ音楽教室の初めての発表会で、みんなと一緒に演奏した思い出深い曲だ。シンプルなメロディに分散和音の伴奏。みんなお揃いのブラウスとスカートに、ストラップのエナメルシューズで、子どもながらに晴れがましくもどこか面映いような気持ちで、舞台に立ったあの日のことを、このメロディーを聞くたびに懐かしく思い出します。


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by amore_spacey | 2018-04-05 03:37 | - Other film | Comments(2)

オール・ユー・ニード・イズ・キル (Edge of Tomorrow)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (79点)

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【あらすじ】 近未来の地球。侵略者の激しい攻撃に、人類の軍事力ではもはや太刀打ちできなくなっていた。William Cage少佐(Tom Cruise)は決死の任務にあたるが、敵にダメージを負わせることなく戦死する。しかし気付くと、時は出撃前に戻っていた。少佐はタイムループに巻き込まれていた。幾度となく出撃と戦闘、死を繰り返すうちに、特殊部隊の軍人Rita Vrataski(Emily Blunt)が彼と同様にタイムループに巻き込まれていることを知る。戦いを繰り返しながら少佐は戦闘技術を磨いていき、二人はこのタイムループから抜け出す糸口を探る。桜坂洋の同名ライトノベルを映画化したSFアクション。(作品の詳細はこちら


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『バリー・シール アメリカをはめた男』を観て以来、Tom Cruiseへの苦手意識が少し薄れ、「彼って、意外にいいかも?」と思い始めた頃、Tom&日本ファンの友人が、「これは絶対に面白いから」と絶賛したのがこれ。

あれっ、オレ様が世界を救う!オレ様は怖いもの知らず。最強のヒーロー!という、オレ様Tomはどこですか。口は達者だけど、ノミの心臓の広報担当。態度はオレ様だが、戦場から何としても逃れたいのが見え見えで、そのヘタレっぷりや姑息な言い訳がおかしくて笑ってしまう。戦場兵士の訓練ゼロなのに、案の定、彼は前線に送られ、戦地でも何がなんだか訳が分からず、ひたすら逃げる。

そんな腰抜けのへなちょこ野郎が、幾度も戦闘体験を積み、地球の現状を知り、またRitaとの間に愛情が芽生えたことから、彼女を・人類を・地球を救うため侵略者と真っ向から戦う、勇気ある強靭な兵士にレベルアップしていく様子は、カタルシス効果が高く、観ていて爽快でした。ラストに近づくにつれ心身の強靭度は最強に達し、ループ能力は消えてしまっても、怖いもの知らずでズンズン突き進んでいく男になりましたからね。いや、凄い。ってことは、やっぱりオレ様映画ですか?(笑)


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死ぬことによってリセットされる発想は、下手すると死を軽んじていると言われかねない。が、そこで目くじら立てて議論に持ち込んでしまっては、この作品の面白さが失われてしまう。娯楽作品ですから、そこはゆるーく楽しんで観たいですね。死んだらリセット、またはリセットするために死ぬ。うまくいくまでリセットを繰り返して、勝利にたどりつく行程は、まさにゲームの世界そのものです。ここにタイムスリップの要素が加わり、緊迫した戦闘シーンがこれまた臨場感にあふれて素晴らしく、躍動感のある面白い作品だった。

機動スーツを着たEmily Bluntが、なかなかカッコいいんです。喜怒哀楽が殆どなく、ツンデレのようにクールなんだけど、Tomと気心が知れるようになるにつれ、2人の交わす会話がユーモアに富んでいて、クスッと笑わせてくれた。しかしあのエイリアンときたら、巨大なワカメのようなクモのような形状で、不気味過ぎる。


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ループ能力なんてのがあったら、なんて考えてみたが、いやいや、何度も生死を繰り返すのはゴメンです。そんな大層な能力は要らない。でももし自分の過去を少しだけ書き換える能力が与えられたらとか、神様が3つだけ望みを叶えてくれたらとか、SFや童話の世界に逃避してみると、不満たらたらの今の暮らしがほんの少し違って見えてくるかも。ところで、Charlotte Riley(Tom Hardyの奥さん)って、小柄で背が低いのね。『ピーキー・ブラインダーズ』ではヒールにドレスだったせいか?全く気づきませんでした。


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by amore_spacey | 2018-03-29 02:52 | - Other film | Comments(2)