カテゴリ:- Other film( 378 )

日の名残り (The Remains of the Day)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 1950年代のイギリス、Oxfordshire。アメリカ人の富豪Jack Lewis(Christopher Reeve)に仕える老執事James Stevens(Anthony Hopkins)は、人手不足に悩んでいた。そこでかつてこの屋敷の主(あるじ)だったDarlington卿(James Fox)の下で、共に働いた有能な女中頭Kenton(Emma Thompson)から手紙を受け取った彼は、彼女に職場復帰を促すため休暇を得て旅に出る。第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間で、淡い恋に揺れ動く執事の哀切を描く。カズオ・イシグロの同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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人生の黄昏時に差し掛かったStevensが回想するのは、Darlington卿に仕えた日々や老いた父親の面影、去り行く時代への懐旧の情や戦争による価値観の転換、そしてKentonとの淡い心の交流。「自分が人生を賭けて大事にしてきたものは、本当に意味があったのだろうか?」と、彼は自問する。執事という仕事に誇りを持ち、天職と信じて疑わなかったStevensの仕事ぶりには、清々しさや神々しいまでの崇高さが漂う。これぞ英国の伝統と思わせる、毅然たる態度や気品ある佇まいに、男の色気やダンディズムを感じました。しかし彼には悔やみ切れない思いが、いつまでも心にわだかまっている。


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屋敷の雑事を取り仕切る上で、執事と女中頭は互いに信頼と緊張を併せ持ちながらも、日々の暮らしの中で好意以上のものが生まれるのは、ごく自然の成り行きでありましょう。しかしStevensは恋愛に関してはひどく奥手で、Kentonを口説くどころか、好意を示す術(すべ)すら知らず、最初の1歩が踏み出せない。とても切なく胸が苦しくなります。安っぽい恋愛小説に、ささやかな心の慰めを得ていたStevens。それをKentonに見つかった時の狼狽ぶりと言ったら、ポルノ雑誌を隠れて見ていた男の子が、母親に見つかったような慌てぶり。仕事中のStevensとは全く別人の、人間味溢れるリアクションに、思わず頬が緩んでしまう。あのシーンのAnthony Hopkinsに、胸きゅんきゅん!萌えました。まさかLecter博士が、いじられキャラになるなんて…。わたし、Anthonyに惚れちまったかも。


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自問自答しながら、Stevensは自分が歩んできた道を真摯に受け止め、過去から身をそっと振りほどき、1人の執事として生きていくことを選ぶ。この潔さに、心が震えました。伝えられなかったKentonへの愛情は色褪せることなく、彼の胸の中で生き続ける。Dartington Hallが最も輝いていた時代に、人生のある部分をKentonと共有できた。それで十分ではないか。

ただ、別れのラストシーンが、あまりにも残念すぎました。土砂降りの雨の中って、あれはないわぁ。手抜きのやっつけ仕事にもほどがある。それまで作品を包んでいた良い雰囲気が、台無し。

 
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by amore_spacey | 2018-05-06 01:27 | - Other film | Comments(0)

禁じられた遊び (Jeux interdits)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 1940年6月、南仏の田舎。ドイツ軍の空爆により両親を目の前で失い、死んだ小犬を抱いたままひとりぼっちになってしまった5歳の少女Paulette(Brigitte Fossey)は、牛を追って来た農家の少年Michel(Georges Poujouly)と出会い、彼の家に連れていってもらう。Pauletteのために死んだ子犬の墓を作るMichelから、死んだものはこうやって葬る事を教わったPauletteはMichelといっしょに次々とお墓造りをしていった。(作品の詳細はこちら


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うわああ、なんて可愛いんだろう。Pauletteが可愛いらしくて、やっぱり何回も観てしまう。彼女の何気ない表情やまなざし、ちょっとした仕草や動きが、愛くるしくてたまらない。ママとお揃いのワンピースに、ママがやってくれた髪の編み込み…。だけどそのママもパパも死んでしまった。可愛がっていた犬も。あの犬を無造作に川に放り投げたおばちゃん、一生許さないわよ!

あれだけたくさんのお墓を作ったのは、死んだ愛犬が寂しい思いをしないようにという優しい気持ちから。十字架だって、最初はその辺の枝を使った手作りだった。でも墓地にあった十字架のほうがもっと綺麗で、欲しくなってしまった。動物のお墓にそれを立てたら立派に見えるし、きっと死んだ動物たちも喜んでくれる。きっかけは軽い気持ち。神や祈りや死が分からない子どもにとって、十字架を集めるのは、綺麗な貝殻やキラキラした石を集めるようなものだ。


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首に名札をぶら下げたPauletteが、「Micheeel!Micheeel!」と呼びながら走り出すラストシーンで、抑えていたものが一気にこみ上げ、涙腺崩壊で顔がぐしゃぐしゃになってしまった。あの瞬間Pauletteは、もう2度とMichelに会えないこと、1人ぽっちになってしまったことを、全身で理解してしまったのだと思う。今度こそ本当に1人ぽっち。このやるせない気持ちや絶望感を、どこにぶつければいい?悶々としている視聴者の前に、間髪入れずFINの3文字。情け容赦なんて、ありゃしませんよ。絶望のどん底に叩きつけられたみたい。こんな小さな女の子が、一体どうやって生きていくんだよぉ?(号泣)


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あの物悲しいギターのメロディは、ヤマハ音楽教室の初めての発表会で、みんなと一緒に演奏した思い出深い曲だ。シンプルなメロディに分散和音の伴奏。みんなお揃いのブラウスとスカートに、ストラップのエナメルシューズで、子どもながらに晴れがましくもどこか面映いような気持ちで、舞台に立ったあの日のことを、このメロディーを聞くたびに懐かしく思い出します。


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by amore_spacey | 2018-04-05 03:37 | - Other film | Comments(2)

オール・ユー・ニード・イズ・キル (Edge of Tomorrow)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (79点)

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【あらすじ】 近未来の地球。侵略者の激しい攻撃に、人類の軍事力ではもはや太刀打ちできなくなっていた。William Cage少佐(Tom Cruise)は決死の任務にあたるが、敵にダメージを負わせることなく戦死する。しかし気付くと、時は出撃前に戻っていた。少佐はタイムループに巻き込まれていた。幾度となく出撃と戦闘、死を繰り返すうちに、特殊部隊の軍人Rita Vrataski(Emily Blunt)が彼と同様にタイムループに巻き込まれていることを知る。戦いを繰り返しながら少佐は戦闘技術を磨いていき、二人はこのタイムループから抜け出す糸口を探る。桜坂洋の同名ライトノベルを映画化したSFアクション。(作品の詳細はこちら


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『バリー・シール アメリカをはめた男』を観て以来、Tom Cruiseへの苦手意識が少し薄れ、「彼って、意外にいいかも?」と思い始めた頃、Tom&日本ファンの友人が、「これは絶対に面白いから」と絶賛したのがこれ。

あれっ、オレ様が世界を救う!オレ様は怖いもの知らず。最強のヒーロー!という、オレ様Tomはどこですか。口は達者だけど、ノミの心臓の広報担当。態度はオレ様だが、戦場から何としても逃れたいのが見え見えで、そのヘタレっぷりや姑息な言い訳がおかしくて笑ってしまう。戦場兵士の訓練ゼロなのに、案の定、彼は前線に送られ、戦地でも何がなんだか訳が分からず、ひたすら逃げる。

そんな腰抜けのへなちょこ野郎が、幾度も戦闘体験を積み、地球の現状を知り、またRitaとの間に愛情が芽生えたことから、彼女を・人類を・地球を救うため侵略者と真っ向から戦う、勇気ある強靭な兵士にレベルアップしていく様子は、カタルシス効果が高く、観ていて爽快でした。ラストに近づくにつれ心身の強靭度は最強に達し、ループ能力は消えてしまっても、怖いもの知らずでズンズン突き進んでいく男になりましたからね。いや、凄い。ってことは、やっぱりオレ様映画ですか?(笑)


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死ぬことによってリセットされる発想は、下手すると死を軽んじていると言われかねない。が、そこで目くじら立てて議論に持ち込んでしまっては、この作品の面白さが失われてしまう。娯楽作品ですから、そこはゆるーく楽しんで観たいですね。死んだらリセット、またはリセットするために死ぬ。うまくいくまでリセットを繰り返して、勝利にたどりつく行程は、まさにゲームの世界そのものです。ここにタイムスリップの要素が加わり、緊迫した戦闘シーンがこれまた臨場感にあふれて素晴らしく、躍動感のある面白い作品だった。

機動スーツを着たEmily Bluntが、なかなかカッコいいんです。喜怒哀楽が殆どなく、ツンデレのようにクールなんだけど、Tomと気心が知れるようになるにつれ、2人の交わす会話がユーモアに富んでいて、クスッと笑わせてくれた。しかしあのエイリアンときたら、巨大なワカメのようなクモのような形状で、不気味過ぎる。


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ループ能力なんてのがあったら、なんて考えてみたが、いやいや、何度も生死を繰り返すのはゴメンです。そんな大層な能力は要らない。でももし自分の過去を少しだけ書き換える能力が与えられたらとか、神様が3つだけ望みを叶えてくれたらとか、SFや童話の世界に逃避してみると、不満たらたらの今の暮らしがほんの少し違って見えてくるかも。ところで、Charlotte Riley(Tom Hardyの奥さん)って、小柄で背が低いのね。『ピーキー・ブラインダーズ』ではヒールにドレスだったせいか?全く気づきませんでした。


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by amore_spacey | 2018-03-29 02:52 | - Other film | Comments(2)

聖なる鹿殺し (The killing of a sacred deer)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 心臓外科医のSteven(Colin Farrell)は、有能で美しい眼科医の妻Anna(Nicole Kidman)と二人の子供たちKim(Raffey Cassidy)・Bob(Sunny Suljic)と、郊外の豪邸に住んでいる。しかし16歳の少年Martin(Barry Keoghan)を家に招いたことをきっかけに、子供たちが突然歩けなくなり、目から赤い血を流すなど、異変が起こり始めた。家族を救うためStevenは、究極の選択を強いられることになる。Euripidesによるギリシャ悲劇『Iphigenia in Aulis』(神の聖なる鹿を殺してしまった父の罪を償うため娘が犠牲になる話)を基にしている。第70回(2017年)カンヌ国際映画祭で、脚本賞と70周年記念名誉賞(Nicole Kidman)を受賞。(作品の詳細はこちら


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真っ暗闇の中に突然、ドクドク脈打つ心臓。まるで一匹の生き物のように、開胸された中で激しく鼓動する。すぐにそれは手術のシーンと分かるが、「エッ、何これ?」 誰もがぎょっと身構える、衝撃的なオープニング。不吉で嫌ぁ~な気持ちになる。ヤバいことが起こりそうな不安を常に孕んでいて、気が抜けない。目に見えない危険が、そっと忍び寄ってくる。心理的な恐怖をじわじわ与え続け、ざらざらした感情を引き起こす。これがラストまで容赦なく続くから、観終わったあとの吐き気や激しい疲労感といったらなかった。心身ともに磨り減った、そんな疲れ方でした。


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性に繋がる会話や描写(Nicole Kidman、ナイス・バディ!)が端々に出てきて、艶かしくドロドロした生臭さも感じる。誰もが羨むような、非の打ちどころのない幸せな家庭。のはずなのに、みんながどこか他人行儀で、愛情やぬくもりが感じられない。性的に何だかズレている夫婦。子どもたちも、不自然で子どもらしくない。夫(=少年Martinの父)亡きあと、息子(=Martin)を求めるようになったり、夫を手術したStevenに淡い恋心を抱き、再会した彼の美しい指を舐めるMartinの母親。地下室に監禁したMartinの前に跪いて、足にキスするStevenの妻。みんな、一体どうしたんだ?登場人物の誰もが、変で気味が悪い。


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薄汚れた妖しいエロスや儀式めいた描写が、中盤あたりから加わり、気味の悪さは更にエスカレートして、皆(Bobだけがマトモだったかも)が狂っていく。「父を殺した代償」というMartinの呪いが、心臓外科医の家庭をじりじりと追い詰め、崩壊に導いていくのだ。呪いのような超自然的な力が、今やこの一家を支配し、誰にも止められない。登場人物もストーリーも音楽(『ハンニバル』を彷彿させるが、煽り立て方が鬱陶しい)も気持ちが悪い。この作品には情けや赦しや希望が微塵もなく、人生投げ出したくなる。

Martinを演じたBarry Keoghanくん、1度見たら忘れない顔だ。コイツ、何か良からぬことを企んでいる、そう思わせるに十分な容貌でした。冬彦さんのようにキモくて不気味。25歳、恐ろしい子。

太い垂れ眉毛で困った顔がキュートなColinが、今回は窮地に追い込まれて、本当に困ってしまった。少年の不吉な暗示にかかって、エリート外科医がじわじわと狂っていく過程が、凄まじく生々しいほどリアルで、狂気に満ちたあんな汚れ役をよく引き受けたもんです、Colin。でも素晴らしかった。駄々っ子Colinなんて、もう誰にも言わせないから。


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by amore_spacey | 2018-03-17 01:23 | - Other film | Comments(2)

心の陽だまり (Tous les soleils) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (75点)

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【あらすじ】 大学でイタリアバロック音楽を教えるかたわら、病院を訪ねて朗読のボランティアをしているイタリア人Alessandro(Stefano Accorsi)は、15歳の娘Irina(Lisa Cipriani)とアナーキストの兄Luigi(Neri Marcorè)とストラスブールで暮らしている。娘が生まれて間もなく妻を亡くしたAlessandroは、男手一つで娘を育ててきたが、思春期を迎え恋する年頃になったIrinaを、いつまでたっても子ども扱いする。それが彼女には鬱陶しくてたまらず、2人は些細なことでよく衝突した。そんな折Alessandroは、彼を慕っていた入院患者Agathe(Anouk Aimée)の葬儀で、彼女の娘Florence(Clotilde Courau)に出会う。(作品の詳細はこちら


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L'ArpeggiataのLuna Lunedda(←音が出ます)に合わせて、Alessandroが乗る電動自転車が、ストラスブールの街中をスイスイ軽快に駆け抜けていく。一緒に踊りたくなるような、とても素敵なオープニング。音楽が鳴り終わっても、あのリズムが頭の片隅でリフレインしている。大学では好きなイタリアバロック音楽を教え、家に帰れば、反抗期真っ只中の娘や風変わりな絵描きの兄(ベルルスコーニ政権に反抗して、自分を政治亡命者だと主張する)たちとの、喜怒哀楽や思いやりに満ちた暮らしがある。末期患者のために病室で本を朗読するボランティアしたり、アマチュア合唱団で歌ったり、友人たちにも恵まれている。


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毎日スケジュールぎっしりだから、独り身の寂しさを感じない。そうすることで、心の奥底に封印している深い悲しみや喪失感を、他人に悟らせない。人を癒したり幸福にする心優しい存在なのに、彼自身は他人に気持ちをオープンに出来ない。亡き妻との思い出に囚われて、そこから出られない。たとえ恋をしたとしても、娘や亡き妻を裏切るようで、良心の呵責に耐えられそうにない。Alessandroは古風な人間なのだろう。


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そんな彼がFlorenceに出会い、少しずつ心が潤っていくのを感じる。張り詰めていた自分の内側が、柔らかく優しくなっていく。Agathe(彼女を演じたAnouk Aiméeの存在感!)への想いを通して、AlessandroとFlorenceは互いに心を寄せ合うが、そこでも亡き妻の存在が彼を引き留める。末期患者に愛を朗読し、アマチュア合唱団でも愛を歌う。愛が一番必要なのは、彼なのに。何ためらっているの!今でしょ!


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シャイな彼は自分の気持ちを、歌に託した。愛を詠った中世のシチリア民謡Silenzio D'Amuri(←音!)を独唱するAlessandroが、とても切なく愛おしい。「好きだ」の一言より、遥かにロマンチックで洒落ている。郷愁に包まれた清らかで純朴な歌に、胸を打たれた。アルザス地方の古い町並み、そこに暮らすイタリア人、様々な愛の形、中世のシチリア民謡。これらがほどよく溶け合い、遠い過去と現在が見えない線で、ふっと繋がる。小さな、けれど新鮮な感動だ。またストラスブールに行きたくなってきたなぁ。

ただね、イタリア語のタイトルNon ci posso credereが・・・。Alessandroの口癖からとったものと思われるが、やっつけ仕事で残念すぎる。次回はフランス語のオリジナル版を観たい。


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by amore_spacey | 2018-03-15 00:53 | - Other film | Comments(0)

ドケチ!(Radin!)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 ヴァイオリニストのFrançois Gautier(Dany Boon)は、近所でも悪名高いドケチな男で、使うお金は1日10ユーロ、月曜日から金曜日までは50ユーロと決めている。週末は残り物を食べ、電気はつけない。他人への施しは一切しないが、自分が得するおいしい話には乗る。しかしそんな彼が、新しく入団してきたチェリストのValérie(Laurence Arné)に恋をし、存在すら知らなかった娘Laura(Noémie Schmidt)が突然訪ねて来たから、さあ大変。彼のドケチ生活はどうなる?(作品の詳細はこちら


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あることをきっかけに主人公が良い方向に変わっていくストーリーは、『神様の思し召し』に似ているが、今回の主人公は稀に見るドケチ人間。Françoisのドケチっぷりが、いちいちツボにハマった。Valérieと行ったお洒落なレストランで、メニューの値段に心臓バクバク。一刻も早く帰宅するため、ヴィヴァルディの『四季』を12分で完奏。ぐるぐるまわる電気メーターに目が点…。


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Françoisほど重症ではないが、ケチなイタリア人を何人か知っている。節約と紙一重だったりすることもあるが、Françoisの場合は人間関係に破綻をきたすレベルだ。でもそうした環境で育った本人は、当たり前のことをしているだけで、人に迷惑をかけているなどとは、これっぽちも思っていない。ましてやその行為が、まさか人を笑わせ(冷笑され)ているなんて、想像もつかないだろう。本人が必死になればなるほど、可笑しくて仕方がない。同居は絶対にムリだけど、友だちや知人なら、話のネタに事欠かないな。


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映画が終わろうとするところで、娘の'ある事情'を出してきたのは、とってつけたようであざといが、この手の作品にはありがち...か。チェリストのValérieも、なかなかエキセントリックな女性だ。銀行員の友人やその妻、子沢山の隣人や、近所のじいちゃんたちなど、脇役にもユニークなキャラクターが揃っている。 


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by amore_spacey | 2018-03-12 01:11 | - Other film | Comments(2)

オリエント急行殺人事件 (Murder on the Orient Express)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 トルコ発フランス行きの豪華寝台列車オリエント急行で、アメリカ人富豪のEdward Ratchett(Johnny Deppが刺殺体で発見される。偶然列車に乗り合わせていた探偵Hercule Poirot(Kenneth Branagh)が、鉄道会社に頼まれ密室殺人事件の解明に挑む。乗客のGerhard Hardman教授(Willem Dafoe)やDragomiroff公爵夫人(Judi Dench)、宣教師のPilar Estravados(Penélope Cruz)、Caroline Hubbard(Michelle Pfeiffer)らに聞き取りを行うPoirotだが…。(作品の詳細はこちら


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無難にまとめられてさらっと楽しめたが、ミステリー作品としてはどうなんだろう。伏線はすぐに分かってしまうし、中途半端でもやもやする。かすかに記憶に残っている前作に比べると、列車から降りた屋外のシーンが多く、密室独特の緊迫感が薄れてしまった。前作を多分に意識して、ピストルや殴り合いや最後の晩餐を彷彿させるようなテーブル配置など、意図的に入れたものと思われるが、何か不自然で却って落ち着かない。ピーンと張り詰めた空気の中で、Poirotが密室殺人の真相に、じわじわ迫っていくのを期待していたので、肩透かしを食らっちゃったな。


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CGなどを駆使した映像は、素晴らしかった。雪深い風景の中を走るオリエント急行や、列車の豪華な内装、女性陣の衣装。谷底に吸い込まれるような高架橋の橋桁、そこに立ち往生した列車。そのダイナミックなアングルは、臨場感がありすぎて、取調べを受ける乗客らが、足を踏み外して奈落の底に落ちるんじゃないかヒヤヒヤ、高所恐怖症の私はあのシーンに悪酔いしてしまいました。ジョニデがスリムになって、スクリーンに戻って来たのが、ちょっとしたサプライズでした。


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by amore_spacey | 2018-03-05 02:47 | - Other film | Comments(2)

サイコ・リバース (Peacock)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタばれあり!!!

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【あらすじ】 ネブラスカ州の小さな町ピーコックで、銀行員として働くJohn Skillpa(Cillian Murphy)は、几帳面だが人間関係が苦手で、つい挙動不審な行動をとってしまう。家と職場を往復する以外は、特に趣味や友達もなく、ひっそりと暮らしている。そんな彼には、女装して家事をこなすEmmaという、もう1つの人格があった。ある日自宅の裏庭に列車が突っ込む事故が起きたことから、EmmaがJohnの妻として世間の注目を浴びることになる。(作品の詳細はこちら


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Cillian1人祭りはとりあえずこれで終わり。この作品は冒頭でJohnとEmmaが同一人物であることを明かしているので、私たち視聴者の関心は、「Johnには女装癖があるのか?」という疑いから、主人公が多重人格者だと分かると、「彼の二重生活が、破綻しやしないか?」に移り、ハラハラする場面が増えていく。しかし最後までバレることはなく、私たちの期待はあっさり裏切られる。みんな顔見知りの小さな田舎町で、誰も気づかないなんて、絶対にあり得ないよなぁ、など突っ込み所は満載だが、そこはさ、娯楽映画ですから。

Cillianが演じるJohnとEmmaがとても魅力的で、ぐいぐい引き込まれた。多重人格者の暮らしを淡々と眺めてはいますが、抑えようのない負のエネルギーが時々爆発しては、また静かな水面に戻るといった、適度な緩急を持たせたのも良かった。とにかくCillianが新しい役を演じるたびに、その役が彼に乗り移ったのかと思ってしまう。それくらい現実味や説得力があり、ストーリーよりも彼の演技から、目が離せなくなった。恐ろしい子。悪魔だわ、彼。


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社会的には銀行員のJohnと認識されているが、それ以外の彼の私生活など、町の人は誰も知らないし関心もない。でも私たちは知っている。これと言った趣味はないけれど、あの池に行って石を投げたり(投げたとき足が奇妙な動きをしたり)、木の枝にくくりつけたタイヤのブランコが好きで、そこに座っているだけで彼は癒される。夜になるとEmma(母親)に見つからないように叱られないように、こっそり家の外の階段に座って、大好きなチョコバーをかじる、ささやかな楽しみ。至福の瞬間だ。そんな彼を観ると胸がしめつけられる。Kittenと同じように、Johnもぎゅっとハグしてあげたい。彼の隣に並んで座って、一緒にチョコバーを食べたい。


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Emmaを演じるCillianが、女性以上に女性らしくて、これまた凄いのだ。私なんか太刀打ちできませんよ。細やかな表情や、肩や首や手や手首の動き、歩き方や身体のあずけ方など、どうやったらあそこまで女性になり切れるものなのか、本気でCillianにプライベート・レッスンを申し込みたいものです。

ここまでは良かったんだけど、列車事故のせいで、Johnの平穏な暮らしは一変する。彼自身はもちろんのこと、Maggie(Ellen Page)親子や他の町の人々も、JohnやEmmaに翻弄される。しかもMaggieの子の父親がJohnと知ってから、2つの人格争いはエスカレートしていき、Emmaとして生きる時間が長くなる。そしてついには死んだ母親、幼いJohnを虐待した母親の人格が、Emmaを占領していく。既にJohnという人格は、この世から消えてしまったのかも。窓辺に座ったまま誰にも知られることなく、Johnは自己崩壊の道を辿るしかないのか?でもそれでは余りにも哀れで、悲しすぎるじゃありませんか。邦題は、久々の「何だ、こりゃ?」


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by amore_spacey | 2018-02-26 01:08 | - Other film | Comments(0)

バリー・シール アメリカをはめた男 (American Made)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 TWA の俊英パイロットBarry Seal(Tom Cruise)は、CIAのエイジェントMonty Schafer'(Domhnall Gleeson)にスカウトされ、CIA偵察機のパイロットとなった。極秘作戦の過程で麻薬組織と接触し、麻薬の運び屋としても才能を発揮する。政府の命令に従う一方で、違法な密輸ビジネスで荒稼ぎするBarryだったが…。(作品の詳細はこちら


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機内上映第4弾。オレ様Tom Cruiseが昔からすごく苦手で、彼が出ているというだけでパスした作品は数知れない。けれど本作品は結構面白いと聞いたので、騙されたと思って機内上映で観てみたら、、、これが軽妙で本当に面白かった。Tomがあんなにコミカルで砕けた役を演じるなんて(生お尻見せちゃうし)、、、驚いた。頭の中に銭の花が咲いちゃった能天気な男の人生が、アップテンポでスリリングに展開していくが、その本質はコミカルどころか、アメリカの情報機密機関が関わる深刻なものだった。結末は何となく分かるのだが、それでもBarryが欲張って、麻薬の密輸や武器の横流しにまで手を出すようになる辺りから、大丈夫なのか?と心配になって来る。


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日本語のタイトルは、アメリカをはめた男だが、はめられ利用された男はBarryなのだ。だから彼に罪はないとは言わないけれど、この悪党野郎め!という印象を受けないのは、アメリカという国が何食わぬ顔して、一民間人に汚い仕事やらせた。国防という大義名分で、ヘタをすれば命を落としかねない仕事を押し付ける、そのやり方が極めてあざとくて汚い。Barryはそんな連中に、骨の髄まで利用されたんだよ、という同情的な見方ができるからかもしれない。エンターテインメントとして笑って観ていたけれど、これって史実なんだ。いやいや、笑ってる場合じゃありません。


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by amore_spacey | 2018-02-18 03:41 | - Other film | Comments(0)

ブレードランナー 2049 (Blade Runner 2049)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 舞台は2049年のカリフォルニア。人間社会に紛れ込んでいる、労働用の人造人間レプリカントを処分する役目の捜査官K(Ryan Gosling)は、ある重大な秘密に辿り着き、その真相を知るため元捜査官Rick Deckard(Harrison Ford)の行方を追っている。レプリカントを製造する科学者&実業家Wallace(Jared Leto)は、「彼が鍵を握っている」と言うが、彼とは誰か?そしてDekardの居場所をつきとめたKは、過去に何があったのかを彼に問う。(作品の詳細はこちら


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機内上映第3弾。久々にやっちまいました、途中で早送り…。疲労のせいで長時間の作品に集中できず。Jared Leto扮するWallaceの儀式のようなシーンとか、サクサク飛ばしました。

前作『ブレードランナー』は、雨が降るネオンの陰鬱な街角を飛ぶ近未来な車や、Vangelisの音楽など、ストーリーよりも映像やメロディーの美しさに圧倒された。そして本作品は砂嵐の中の廃墟に、Hans Zimmerの郷愁を帯びた音楽。前作のRutger Hauerの存在感が揺るぎないものだったので、Ryan Goslingで大丈夫なのかしら?と思ったが、それは余計な心配だった。クールで無表情な、自分の内面を見せないRyan扮するKにとって、任務を遂行することは、同時に自分探しの旅になっていたとも言える。「俺は一体、何者なのだ?」が、常につきまとう。孤独に押し潰されそうになるKを支えるのが、とってもキュートで健気なJoi(Ana de Armas)。あんな可憐な子がそばにいたら、癒されますぅぅ。


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無菌室で暮らす娘Ana(Carla Juri)とDekardを再会させる、その大役を果たすのもK。結局彼は、2人を引き合わせる道具に過ぎなかった、と言えなくもない。が、そこには人間らしい愛が、確かにあった。雪が舞い落ちるラストシーンのKに、目頭が熱くなりました。

2つの作品に共通するのは、たとえ人造人間やロボットであっても、生きる者として高次元の精神活動が可能であり、慈愛の心を手に入れることができるという願いだと思う。ですが、2020年の東京オリンピックにも大量導入されるというロボットや、原発周辺の危険区域の撮影や介護などの現場で既に活躍する産業ロボットを、人間に近い存在として捉えるのは・・・うーん、やっぱりムリがあるな。


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by amore_spacey | 2018-02-16 01:29 | - Other film | Comments(2)