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パディントン2 (Paddington 2)

私のHugh様お気に入り度 ★★★★☆ (85点)

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【あらすじ】 Brown家の一員として、幸せに生活しているクマのPaddinton。もうすぐ100歳になるLucyおばさんへの誕生日プレゼントを探していた彼は、骨董品屋ですてきな絵本を見つける。絵本代を稼ごうと窓ふきのアルバイトを始めるが、洗剤を頭からかぶるなど失敗しては騒動を起こす。そんな中、絵本が盗まれ、一家と共に絵本の行方を追うが、いつしかPaddintonは濡れ衣を着せられ、刑務所へ収監されてしまう。(作品の詳細はこちら


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お子様向け(または安心して鑑賞できるファミリー向け)の映画と思っていたので、前作は観ていないし、この作品も普段なら完全にスル―。ところが、「Hugh Grantがすごい」という話をうっかり耳にしたばっかりに、彼を観たいスイッチが入ってしまったのです。

Hugh扮するPhoenix Buchananは、過去の栄光にすがって生きる落ち目の俳優という役どころで、Hughお得意の自虐的なネタが満載。様々な役を演じながら、Paddintonたちを罠に陥れていく悪役なんだけど、お次は一体どんな被り物で登場?と、彼が出てくるたびにワクワク。本人もノリノリで、楽しんでいるのが分かる。心底悪いヤツになり切れず、そのせいか?いつも詰めが甘くて、計画は失敗に終わる、ちょっと間抜けな悪人。コミカルな悪人ですかね。笑いをとることに優れたHughならではの、面白味がありました。

最大のサプライズは、ラストのミュージカルでした。歌って踊れるHughに、文字通り、エエーッ?ってな感じで驚きを隠せなかった。リズミカル且つしなやかな動きで、歌も踊りもうまい。若さや過去の栄光にいつまでもしがみつかず、自分の持ち味を生かしつつ、上手に脱皮して新境地を開いている。生き生きと楽しく歌って踊るHughを観ていたら、幸せな気持ちに満たされました。彼はシニカルだけど可愛げがあって、さりげなく人の心を掴んで離さない。


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と、Hughを熱く語ってしまいましたが、この作品の主人公はクマのPaddinton。ドジだけど善意の塊で、彼が行く先々で物事が丸くおさまるという、不思議な現象が起きる。Paddintonの無実を晴らそうと奔走するBrown家の様子が、突っ込み所満載で愉快。『ダウントン・アビー』のGrantham伯爵が、就寝前の顔マッサージとか、真っ青なフェイスパックとか、2つの列車に挟まれて180度足の開脚とか、とても庶民的でコミカルなおじさんもピッタリだ。


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余談ですが、Curry 氏を演じるPeter Capaldiを見た瞬間、「えっ?前フェラーリ会長Luca Montezemoloが、カメオ出演?」なんてあり得ないが、それにしても、よく似ている。


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by amore_spacey | 2018-07-15 02:06 | - Other film | Comments(0)

やさしい嘘 (Depuis qu'Otar est parti...)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (83点)

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【あらすじ】 グルジアに暮らすEkaおばあちゃん(Esther Gorintin)の楽しみは、新しい生活を求めてパリへ旅立った息子Otarから届く便り。母Ekaの愛情が、弟Otarにだけ注がれていることに嫉妬する娘Marina(Nino Khomasuridze)。そして堪能なフランス語でOtar叔父の手紙を読み聞かせるのが日課となっている、おばあちゃんっ子の孫娘Ada(Dinara Drukarova)。女だけの3人家族の生活には、ちいさなトラブルはあるものの、平穏な幸せに包まれていた。そんなある日突然、Otarの訃報が届く。(作品の詳細はこちら


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3人でケーキを食べる冒頭のシーン、これがとても印象的だ。台詞はないのに、3人のぎこちない関係が手に取るように分かる。町の喫茶店内でEkaおばあちゃんが選んで持ってきたケーキを、不機嫌な表情をしたEkaの娘がちらっと見て、横から無造作にフォークでつつく。Ekaおばあちゃんは、「何すんの?これ、私のよ!」と言わんばかりに、不快な表情で娘を見据える。ムッとしたMarinaは、フォークを投げ捨てる。テーブルにぶつかるフォークの金属音。一部始終を目の端で見ている孫娘の顔には、「あ~あ、またやってる(苦笑)」 母と娘、祖母と孫娘の距離感や位置関係を、1分足らずのシーンの中で端的に描き出している。ここだけでも、繰り返し観たいくらいだ。


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作品の半ばである事件が起きるものの、歴史に翻弄されつつ生きる1つの家族の物語が、淡々と静かに展開していく。頻繁に起きる停電やそのたびに灯されるロウソク、髪を洗っている途中でシャワーが止まってしまう場面など、馴染みのないグルジアの暮らしの一端だけでなく、3世代が生きてきた社会的な背景のギャップを、分かりやすく描いている。スターリン体制が崩壊して、人々はより自由な社会を夢見ていたのに、現状はヘタすると前より酷い。自分たちが望んだ社会って、こんなもんだったの?という大きな失望や落胆。社会主義体制下で生きた祖母と母、そして自由主義的な教育を受けた孫娘の間に、祖国への思いがズレるのは当然でしょう。


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そんな社会の中で暮らす彼女たち。弟ばかり愛する母に素直になれない娘、ぎくしゃくした2人の間にいる孫娘と祖母との温かい関係。面と向かって言えない(言ってはいけない)、様々な思いを抱える3人が、Otarの死をきっかけに、互いの辛い心持ちを察するようになり、思いやろうとする気持ちが芽生えていく。その辺りは、『グッバイ・レーニン』に似ているが、本作品の素晴らしさは、その先に待っている予想外のどんでん返しだ。Ekaおばあちゃんのナイス・ショットに、「ばあちゃん、カッコイイ!」 激動の時代を生き抜いてきた彼女だから、ちょっとやそっとの事では動じない精神力や芯の強さがある。そんな彼女の、大地のように包み込む偽りのない家族愛に、娘や孫娘は逆に救われた。愛する孫娘が旅立つラスト・シーンには、悲しみの中にも希望の光がさして、目の奥が熱くなる。Adaやこの家族に、平穏な日々が訪れることを祈って止みません。


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by amore_spacey | 2018-07-10 01:49 | - Other film | Comments(0)

ドクター・ストレンジ (Doctor Strange)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 ニューヨークの病院で働く天才外科医、Stephen Strange(Benedict Cumberbatch)。ある日交通事故に遭った彼は、外科医として致命的な、両手にマヒが残るケガをしてしまう。一瞬にしてその輝かしいキャリアを失った彼は、あらゆる治療法を試し、最後にカトマンズの修行場カマー・タージに辿り着いた。
  そこで神秘の力を操る指導者The Ancient One(Tilda Swinton)と巡り会った彼は、未知なる世界を目の当たりにして衝撃を受け、Oneに弟子入りする。そして過酷な修行の末に、Strangeは魔術師として生まれ変わった。しかしそんな彼の前に、闇の魔術の力で世界を破滅に導こうとする魔術師Kaecilius(Mads Mikkelsen)が現れ、人類の存亡をかけた戦いの渦に巻き込まれていく。(作品の詳細はこちら


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この手(スーパーヒーロー物)の映画はどうも苦手なのですが、Benedict CumberbatchとMads Mikkelsenが対決すると聞いて、スルーできなかった。彼らの存在は、何て偉大なんだろう。けれど鑑賞中は、『ハンソロ』『ローグ・ワン』と同様、どこか居心地の悪さがつきまとい、最後まで作品の中に入っていけなかった。たとえ好きな役者が出演していても、苦手なジャンルを我慢してまで観ることはないな、と思いました。罰ゲームじゃないんだから。


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でも、でも、あの映像は、本当に素晴らしかった。CGを駆使した途方もないスケールの映像美は、『インセプション』から格段に進化し、鳥肌モノでした。そのうえ町が幾何学模様に捻じ曲がったり、折り畳まれたり回転したりする映像に、酔ってしまいました。映画館で観ていたら、真っ直ぐ歩けなかったかも。

Doctor Strangeが習得した、魔法によるバリア・空間跳躍による瞬間移動・飛行能力・催眠術・念動力などの、特殊能力にも目を見張った。現実離れしていて実感できないが、カラフルで華麗でど派手な映像は、見ていて純粋に楽しい。子どもの頃は、こんな特殊能力に憧れたものです。


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観始めて間もなく、私の目を釘付けにしたのは、男とも女ともつかない年齢不詳のTilda Swintonの、他を圧倒する超越っぷり。彼女の導師としての佇まいが見事でとても美しく、この人について行きたいとさえ思った。頭を丸めたTildaは、雰囲気が限りなく東洋的でエキゾチック、しかも今まで以上にカリスマ性を帯び、神々しいオーラを放っていた。こういったジャンルの作品に、Tildaも出るんだァという驚きもありました。Doctor Strangeの1/100でいいから、あんな特殊能力があったらなぁ。


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by amore_spacey | 2018-07-06 01:27 | - Other film | Comments(0)

分別と多感 (Sense & Sensibility) BBCドラマ 全3話

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 19世紀初頭のイギリス、Dashwood家の当主Henry(Simon Williams)は死に際に、先妻との息子John(Mark Gatiss)に現在の妻(Janet McTeer)とElinor(Hattie Morahan)・Marianne(Charity Wakefield)・Margaret(Lucy Boynton)の3人の娘を世話させる代わりに、全財産を与えるとの約束をする。
   だがその遺言はJohnの妻Fanny(Claire Skinner)の反対により反故にされたため、夫人と3人の娘たちはSussexにある広大な屋敷から出て、新しい家を探さねばならなくなった。過酷な運命に翻弄されながらも、ElinorとMarianneが多難な恋を通して成長し、真実の愛を得るまでを描く。Jane Austenの同名小説をドラマ化。(作品の詳細はこちら


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以前書いた『高慢と偏見』のレビューに、「Jane Austenと言えば、橋田壽賀子」というコメントを頂きました。言われてみればその通りかも。2人の違いといえば、橋田(いじわるキャラを描かせたらピカイチ)は人間の醜い面を、ドロドロ生々しく描くが、Austenは主人公が名家の女性ということもあり、剥き出しではなくそっとオブラートに包まれ、少し控え目に慎み深く書いてることかな。

Austenの小説はキャラクターの宝庫で、今回も個性的な人々が勢揃い。分別(Sense)を象徴する19歳のElinorと、ロマンチックな世界に憧れる多感(Sensibility)な17歳のMarianne、この2人の恋の行方を追いつつ、一筋縄ではいかない人間模様が展開する。ハッピーエンドがお約束の小説なので、一見面白味がなさそうに思える。が、Austenは何気ない日常生活の風景や人物描写がそれはそれは巧みで、読者をぐいぐい引きつける。一癖も二癖もある脇役陣が、主役に意地悪をしたり、彼女たちの恋路を邪魔したりする。大事件こそ起きないが、私たちの暮らしの中にもあるような、取るに足らない幾つもの小さな出来事が、この地味な小説に陰影をつける。橋田もAustenも、人間観察が大好き。だからこんなに生き生きとした作品が描けるのだ。


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Dan Stevensが目当てで観たんだけど、めちゃくちゃ若い。まだ世間の荒波に揉まれず、世の中の汚れも知らない、誠実・純粋で優柔不断なおっとりしたお坊ちゃん。イケズな義姉Fanny(Claire Skinner)の弟とは思えない。彼とElinorは相思相愛と思っていたのに、何の進展も見られず、Devon州に引っ越した彼女たちを訪ねない。で、唐突に現れたと思ったら、真っ白なワイシャツを着たまま、雨の中で薪割り始めちゃうって、何それ?煮詰まってたのかしら?ラスト5分で色々な問題がサクサク解決して、Elinorとハッピーエンドを迎える急展開は、お約束なのでOKです。


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妹のMarianneをそっと見守Brandon大佐(David Morrissey)。歳の差が18歳とあっては、ロマンチックな恋愛に憧れるMarianneの恋愛対象にならず。そんな彼女の前に現れたのが、若いWilloughby(Dominic Cooper)なんだけど、個人的に物凄く苦手なタイプなので、なぜこんな男がいいのか、さっぱり分からなかった。が、案の定、とんでもない欠陥商品でした。


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彼女たちの母親Dashwood夫人(Janet McTeer)は、奥ゆかしく控え目。だけどお茶目で可愛らしく、よき相談相手で頼もしい素敵な女性。


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兄のJohn Dashwood(Mark Gatiss)は、シンデレラの義姉のように意地悪な上にケチで強欲な妻Fannyの尻に敷かれっぱなし。彼らの1人息子が、これまた可愛げがない。ブラック・コメディの主役にピッタリな一家。


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娘のFannyに勝るとも劣らない、高慢ちきで感じの悪い母親Ferrars夫人(Jean Marsh)。身内や知り合いには勘弁して欲しいけれど、小説や映画には突っ込み所満載で、必須のキャラ。


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大阪のおばちゃん風なJennings夫人(Linda Bassett)は、大雑把で細かいところには拘らない。悪気はないが、ややお節介が過ぎるのと少々KYなところがあって、その場の空気が微妙になったりする。


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頭の悪いお喋りしかできないMiss Steele(Daisy Haggard)とLucy Steele(Anna Madeley)姉妹。何とLucyがElinorの恋のライバルに。


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by amore_spacey | 2018-07-02 01:16 | - TV series | Comments(0)