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ピーキー・ブラインダーズ シーズン5 全6話 (Peaky Blinders Season 5 6 episodes)

ネタばれあり!!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (76点)

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【あらすじ】 1929年、世界中が株価大暴落に翻弄される中、Shelby家ではArthur(Paul Anderson)とLinda(Kate Phillips)の間に危機が訪れ、アメリカから妻Gina(Anya Taylor-Joy)とともに戻ったMichael(Finn Cole)は、旧態依然としたThomas(Cillian Murphy)のやり方を批判し、挑戦とも言える言葉を叩きつける。そしてそんな息子Michaelと一族の板挟みに苦悩するPolly(Helen McCRory)。一族の間にはじわじわと亀裂が入り、権力争いが始まろうとしていた。
  その頃英国ではファシズムやナショナリズムやポピュラリズムが台頭しつつあり、英国ファシスト同盟のカリスマ的指導者Oswald Mosley(Sam Claflin)が、Thomasに同盟の話を持ちかけてくる。またMosleyの傘下にあるJimmy McCavern(Brian Gleeson)率いるグラスゴー出身のギャングBilly Boysも、Shelby家を脅かす存在だった。(作品の詳細はこちら


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シーズン5も見所が満載で、政治家になったThomas、裏社会の頂点を極めつつあるShelby家の内紛、そして今シーズンの宿敵となるMosleyとの絡みを中心に、ややスローテンポだがメタフィジカルな話が展開していきます。時代の変化を描きながら、今回は苦悩を抱えるThomasの内面に迫る。地位や名声や権力を手に入れたものの、多くの大切な人や物も失った、それに対する後悔や罪悪感。本当にこれで良かったのか?自分が進もうとしている道は、間違っていないのか?Shelby家を守ることが出来るのか?誰にも打ち明けられない迷いや恐れに足を掬われ、悪夢や妄想に囚われる。Grace(Annabelle Wallis)の幻影が頭から離れない。

Thomasは深い孤独の中に居た。最愛の妻Graceなら、この状況をどう考えただろう?これまで前だけを見てがむしゃらに走ってきたが、ふと立ち止まった今、胸に去来するものがあった。リーダーの宿命ですね。シリーズの中で一番人間臭いThomasに、親近感が沸きました。が、煮詰まった彼の悶々とする姿が、しつこく出てくるのには参りました。もう1つ2つ上のレベルに行くためには、どうしても乗り越えなければならない壁、だからそこを強調したいのは分かるですが。苦笑

そこでThomasは、もう一度原点に帰ろうとした。それが解決の糸口になるだろう、と。そうなのだ、Shelby家のルーツはジプシーであり、決してそれを忘れてはならない。ジプシーであることを誇りに思う。その流れでジプシーのAberama Gold(Aidan Gillen)とPollyが、めでたく結ばれたのは本当に嬉しかった。のですが、その幸せも束の間(号泣) Thomasには息子Charlesに加え、Lizzie(Natasha 'Keeffe)との間に出来た娘Ruby、そしてLizzieと守るものが増えました。今後は攻めるだけのやり方ではダメだ。

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ここに絡んでくるのがMosleyです。見るからに邪悪で、触れたら切れちゃいそうですが、、、タイプです。この男はクールと言えば聞こえはいいが、決して感情に屈服しない政治家で、自尊心や自己愛が強く、自己中で誇大妄想ときてるから、ったく始末が悪い。そんな男と表向きは同盟を組むThomasですが…。最終話の後半には、思いもかけないあの方が登場して、エーーッ!お楽しみに。それにしてもThomasと甥っ子Michaelの対決は、Shelby家の将来を暗示しているようで、次シーズンを観るのがコワい。

因みにこのドラマが大~好きなDavid Beckhamが、カメオ出演を強く希望しているそうで、今シリーズは出ていませんが、近い将来Beckhamを観られるかもしれません。そうそう、Brapiもカメオ出演したがってるってよ。英米の役者たちにも大人気のドラマです。


by amore_spacey | 2019-09-28 01:31 | - TV series | Comments(0)

幸せな感じ (Euforia)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (81点)

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【あらすじ】 Matteo(Riccardo Scamarcio)は新進気鋭の企業家として成功し、優雅な生活を手に入れて自由な人生を謳歌している。しかし実家にはあまり帰らなかった。彼の実家には中学校の教師で内向的で実直な兄Ettore(Valerio Mastandrea)が、母親と暮らしている。見た目や性格から暮らしぶりに至るまで、まるで対照的なMatteoとEttoreは、決して仲が良かったとは言えない兄弟だが、Ettoreの病気をきっかけに、知らなかったお互いの事を知る。そして2人の関係は徐々に変わり、家族の絆を取り戻していく。(作品の詳細はこちら


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Valeria Golinoの監督2作目。脳腫瘍で余命幾ばくもない兄と、それを隠し続ける弟の関係を中心に、兄弟や家族の愛情を描いている。シリアスな中にユーモアが(チョイチョイ際どい笑いなども)いい感じに織り込まれ、素晴らしいキャスティングにも恵まれて、ともすれば重くてお涙頂戴に陥りがちな題材を、さらりと扱った。この作品にはイタリアの日常生活を切り取ったようなところがあり、映画を観ているという感じがホントになかった。こんな雰囲気の中によく居るからかもしれません。特別な日でもないのに、マンマの家に家族や友人が集まって一緒に過ごす。部屋(必ずしも同じ部屋に集合ではなく、応接間やキッチンやベランダなど、バラバラに別れていることもある)のあちこちに2~3人の小さな島が出来、勝手気ままな話題で盛り上がったり、突然けたたましい笑いが聞こえてきたりする。話が途切れて静まり返っても、不思議と気まずい思いをしない。その静けさに気づいて、一斉に爆笑することだってある。どっしり構えた家の主(=マンマ)は、テキパキとその場を仕切る。ざわざわした中に他人も勝手にわさわさと出入りするが、そこには心地良いカオスがあるんです。

イタリア人は思ったことをはっきり言う印象を持っていたが、嫁いで来てどうやらそうでもないことを、色々な状況の中から感じる。もちろんズケズケと遠慮なく言う輩もいますが、言っても後腐れがそれほどない。もともと人間って不器用なもんだから、兄弟姉妹や夫婦や家族や友人や同僚など、人との関係にはどうしても曖昧な感情が生じやすい。そこで白黒はっきりつけるのか(以前の私がコレ)、曖昧なまま良い意味で流されていくのか。この曖昧でちょっぴり気まずい空気が、作品の中によく登場する。家族と大喧嘩して疎遠になったのではなく、ゲイである自分が実家に顔を出せば、きっと家族に迷惑をかけてしまう、だから実家にはあまり顔を出さないほうが良いだろうと思っている弟Matteo。が、これは彼の取り越し苦労だった。息子の恋愛話になり、「あの時はこの子(=Matteo)、まだゲイじゃなかったのよ」とマンマが笑い飛ばしているからだ。マンマの本当の気持ちはどうなの?息子がゲイでいい?ううん、やっぱり女性と結婚して孫の顔を見せて欲しい、でも本人がゲイとして幸せならそれでいい、の間で揺れ動いているのかもしれない。

『おっさんずラブ』で、「時間の積み重ねが恋になっていく」と書いたように、MatteoとEttoreの兄弟も、一緒に過ごす時間を積み重ねることによって、今まで知らなかったお互いの色々な事を知り(兄弟姉妹って血はつながっていても、意外とお互いのことを知らない)、そこで初めて一人の人間として相手を認識し尊重するようになる。その過程は仲良しごっこではなく、喜怒哀楽に満ちた人間味に溢れている。いい年した大人がケンカしたり子犬のようにじゃれ合ったり、かと思えば、ホテルに男を連れ込んだMatteoが、「30分だけ、そこで待っててよ」と言って、Ettoreに毛布と枕を持たせてベランダに放置する。自己中なMatteoとお人よし(気が弱くて嫌と言えない?)のEttore。一緒に泣いたり怒ったり、何でもないことに笑ったり昔を懐かしんだりしながら、目の前にいる人を丸ごと受けとめようとする、少なくとも様々な違いに目くじら立てたり、コトを必要以上に荒立てたりしない。まさに大人の関係だ。

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内側から滲み出てくるValerioの静かなオーラと、茶目っ気たっぷりで子犬のように愛らしいRiccardoの笑顔が、ぶつかり合うことなく自然に溶け合っていくのは、ベテラン役者の成せる業(わざ)でしょう。それにしてもRiccardoのエメラルド色の瞳の美しいこと!宝石よりも深い輝きを放っています。11年続いたValeriaとRiccardoの関係は破局を迎えたが、その後もプロとして互いに尊敬し合える、とてもいい友情を育んでいると言う。まぁ、なんて羨ましいんでしょう。


by amore_spacey | 2019-09-27 00:10 | - Italian film | Comments(0)

おっさんずラブ シーズン1 全7話 

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 天空不動産の東京第二営業所に勤務する営業部員で、まったくモテない33歳の春田創一(田中圭)は、会社の上司である黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と後輩の牧凌太(林遣都)の2人の同性に告白された。一方、突然夫の黒澤から離婚を切り出された妻の蝶子(大塚寧々)は、不倫を疑い、浮気相手を探すため春田に協力を頼む。そんな困った状況の中で、困惑しながらもピュアな恋心を持つ男たちの存在が、いつしか春田の心を大きく揺さぶることになる。(作品の詳細はこちら


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単発(2016年)とドラマ(2018年)の両方を観ましたが、今回は連ドラのレビューです。評判通り期待を裏切らない面白さで、見事にハマりました。こりゃ、社会現象になったのも当然です。キャストがみんな可愛らしくて、それぞれのキャラが魅力ですもん。少女漫画のようにキュンキュンしながら、みんなの恋の行方を見守りました。時間の積み重ねが恋になっていく、その過程が視聴者も経験したような恋愛に重なるので、激しく感情移入します。ギャグもてんこ盛りで、腹を抱えて大笑いしました。BL物ですが生々しい描写がなく、さらっと安心して観られるのがよかったかな。と言いつつ、「巨乳じゃなくて、巨根じゃダメですか?」の台詞が頭の中でリフレイン中。

このドラマの主役は、はるたん演じる田中圭ですが、あれは吉田鋼太郎の独断場でしょう。彼の魅力が満載。かっこ可愛くて子供っぽい乙女なおっさんなのに、包容力や指導力溢れる大人にもなれる。硬派⇔軟派のふれ幅や変身のタイミングが絶妙で、ベテランの余裕だ。こんな男前な上司なんか、どこ探してもおらへんよ。牧くんの健気さには、ホントに泣けました。林遣都くんはどちらかと言うと苦手なタイプなのに、回が進むにつれ彼にどんどん感情移入しちゃって、辛くなったこともありました。11月1日生まれ、蠍座、A型か。惜しいな。私は11月2日生まれ、蠍座、A型。はるたん演じた田中圭は、顔芸が激しすぎて、、、疲れました。

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で、私のイチオシは、マロこと栗林歌麻呂(金子大地)くん。すっかり彼の虜になってしまいました。宇宙人のようなウザカワ新入社員で、口を開けばはるたん以上の天然アホ。しかも呆れるくらい態度がデカい。最初は性格悪いヤツに見えましたが、ちずや蝶子の前では、結構いいヤツじゃないですか。見かけと内面のギャップに、やられました。脇役だから出番が少な過ぎて、物足りなかったな。21歳かぁ、若っけェ。こちらは、彼のフォトギャラリーです。

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お次は、営業部主任の武川政宗(眞島秀和)。切れ長な一重に理知的な顔立ち、クールでスタイリッシュ。しかし蓋を開けてみれば、一癖も二癖もあるおぢさん。そしてあの、足ドン必殺技。彼の顔がチベットスナギツネに似ていると聞いて、ググってみました。

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アハハッ。

劇場版も観たかったのですが、公開初日が何と!イタリアに帰る日という不運に見舞われ、ダメでした。もう暫くしたらDLできるので、それを楽しみにしています。マロの出番、増えたかな?


by amore_spacey | 2019-09-26 00:46 | - Japanese film | Comments(2)

やさしい本泥棒 (The Book Thief)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 1938年、第2次世界大戦前夜。ユダヤ人や共産主義者の排斥が激化し、ナチスからの迫害を恐れた共産党員の母親は、娘Liesel(Sophie Nélisse)をミュンヘン近郊の田舎で暮らすHans(Geoffrey Rush)とRosa(Emily Watson)夫妻のもとに里子に出す。その道中で幼い弟を亡くしたLieselは、『墓掘人の手引き』という本を大事に持っていたが、その内容が少女向けでなかったため、彼女が読み書き出来ないのをHansは悟った。Lieselは養父から文字を教わり、やがて言葉や本に魅せられていく。(作品の詳細はこちら


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子どものころ、気が向けば絵本を眺めたりしたが、本はトンと読まなかった。妹は授業中でも教科書の下に本を隠しては読み、先生に注意されていたらしい。「続きが知りたくて…」という妹の言い訳が、当時の私にはちょっと何を言ってるのか分かりませんでした。高校生になっても本を読まなかったなぁ。それなのに何となく英文科に行ってしまい、そこで大量の原書と向き合う環境に置かれて、初めて読むことに集中する習慣がついた気がする。そして30代後半になったある日、突然、読書熱に火がついた。本を読むのが、楽しくて仕方がない。私ったら今まで何していたの?それからは寝食忘れて、日・英・伊の本に没頭しました。子どもの時に養父HansやLieselに会っていたら、もっと早い時期に本を好きになっていたかもしれません。
        
この作品で一番心に残っているのは、当時12歳のSophie Nélisseの、何とも言えない可愛らしい瞳や豊かな表情や子どもらしい好奇心。それが人間の世界を俯瞰して見ていた死神の目にも留まったのでしょう。10歳~16歳までの多感な少女期を演じたSophie、彼女の演技は人を惹き付け本当に上手かった。Lieselはどんどん成長して綺麗なティーンになっていくのに、世情は悪化の一途を辿るばかり。映画は少女の半生を描くことによって、ナチス政権下にあったドイツの庶民の暮らしぶりに迫ります。自由で豊かな日常からは程遠く、国民の誰もがHitlerを敬愛したり戦争に賛同していたわけはなく、反ユダヤだったわけでもない。思想統制のため焚書も行われたが、言葉の持つ力を侮るなかれ。人の心まで力でねじ伏せることは出来ないのです。

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両親と別れて里子に出され、幼い弟も亡くしたLieselは失意のどん底で、家族愛に飢えていた。でも何かが邪魔して泣けない、この感情を表現したり解放する術(すべ)も知らない。抜け殻のような彼女を助けたのが、養父でした。彼が気づかなかったら、一体どうなっていたことか。

養父母の暮らしは貧しく、Rosaは夫を、「甲斐性なし」と口汚くののしり、Lieselにも冷たい。誰に対してもぶっきら棒で、不器用な愛情表現しか出来ない。でも夫の命の恩人の息子でユダヤ人のMaxを、全力で匿ってやろうとする。ナチスの狂気が吹き荒れる中で、なかなか出来ることではない。Rosaが初めて見せた愛情や、地下室の雪遊びに加わった彼女の無邪気な表情には、こみ上げるものがありました。

心優しく面倒見のよい養父は、Lieselが大事に持っていた『墓掘人の手引き』を読んで聞かせ、書くことも教えた。聡明なLieselはあっと言う間に言葉や本の魅力に開眼し、枯渇した心が少しずつ潤っていった。そんな彼女だから、寒い地下室で高熱に苦しむユダヤ人のMax(Ben Schnetzer)を元気づけたくて、町長の書斎から無断で拝借した本を読み聞かせるのです。彼女の健気な姿に心を揺さぶられたMaxは、一家との別れの日、Lieselに1冊のノートをプレゼントした。それは全てのページを白いペンキで塗った、彼の大切な愛読書でした。「きみが僕を生かしてくれた。そのことを忘れないで」「書き続けて欲しい。僕はいつも君が紡ぐ言葉の中にいる」と。Lieselは90歳まで生き、作家として多くの言葉を紡いだそうだ、という死神のナレーションで、この作品は終わります。


by amore_spacey | 2019-09-25 00:45 | - Other film | Comments(2)

ボディガード 守るべきもの シーズン1 全6話 (Bodyguard Season 1 6 episodes)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 別居中の妻Vicky(Sophie Rundle)や子どもたちとの関係そしてPTSDに悩むロンドン警視庁の巡査部長David(Richard Madden)は、偶然乗り合わせた列車でイスラム教徒による自爆テロを未然に防いだ。この功績により彼は野心的な女性内務大臣Julia Montague(Keeley Hawes)の警護を任命される。その後タカ派のJuliaは、テロ対策として国民のプライバシーを一部侵害する法案を推進したため、暗殺の危機に遭遇した。
 DavidはJuliaの政治姿勢に反発しながらも彼女を守り、やがて2人は親密な関係になっていく。しかし大学での演説中、爆破テロによってJuliaは暗殺された。一連のテロ事件に関連性はあるのか?裏で糸を引いているのは、一体誰なのだ?真実を暴くためDavidは命を懸けて奔走する。(作品の詳細はこちら


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ひっそりとRichard Madden一人祭り。私にとって『ボディガード』と言ったら、主題歌(←音が出ます)♪エンダァァァイヤァアアア ウィル オオォルウェイズ ラアァブ ユウウゥゥアアアァァ…♪ が今や一人歩きしているKevin CostnerとWhitney Houston共演の映画ですが、NetflixのTVドラマでは主演のRichardを堪能させて頂きました。『GOT』でファンになり、Cosimo de' Mediciを演じた『メディチ家』ですっかり彼の虜になったと言いながら、2018年のTVドラマで高視聴率を記録したこのドラマを、何と!未だ観ていなかった。ブロ友さんにも勧められてさっそく観始めたら、第1話冒頭の劇的な展開にハマってしまい、その勢いで一気に全6話を観ました。

列車での自爆テロを未然に防ぐ第1話や、ビル屋上にいるスナイパーの襲撃からJuliaを守るシーンや、犯人グループに着せられた自爆ベストの爆弾を自分で解除しなくちゃならない最終話など、まるでその場にいるような臨場感に溢れ、グイグイ引き込まれました。登場人物の一挙手一投足から目が離せなくなり、始終緊迫した空気に包まれているので、一気に全話を観終わった後の疲労感と言ったら…。

ええ、もうね、評判通り、Richardの演技が素晴らしいんです。巡査部長として職務を全うするクールな顔と、アフガン帰還後のPTSDや妻との関係に悩み酒に溺れる一人の人間の姿。タカ派なJuliaの政治に反感を持ちながらも、私情を捨てて自分の職務を忠実に執行していく。しかしそんな自己矛盾や心の葛藤に耐えられず、ついに切れてしまう時の彼の表情や仕草が、いかにも自然で上手い。Juliaとの情事は話の展開上、必要なかった気もしますが、あれは視聴者へのサービスですね。濡れ場シーンや全裸シーンは眼福モノで、ありがとうございました、ヘヘッ。彼が連呼する「Ma'am!」には不思議な語感があり、ちょっと鼻にかかった彼の声が発音すると、何気に可愛くて胸キュンものでした。


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第4話ごろまでは面白くて純粋に楽しめたのですが、あちこちに張られた伏線(と私が勝手に思っていただけのもあります)が回収されないどころか、単に話を撹乱するための伏線と気づくや、気持が冷め始めた。話が進むにつれて登場人物が全員怪しくみえるし、あちこち謎だらけだし、気がついたらDavidが犯人にされてるし。何か吹っ切れないまま、最終話に突入しました。

ところがこの最終話の、爆弾を自分で解除するシーンが長すぎましてね。爆発しないことぐらい、視聴者は分かっている。なのに、ほーれ、この線切ったら爆発するかも、の思わせぶりな演出や効果音が、ひたすらムダでイライラ。で、あれだけ解除シーンを引っ張っておきながら、後半30分でダダダーッと全てが解決する。しかも苦し紛れのこじ付けで、「あとは知らんからねー」ってなかんじで終了。エーッ、犯人ってこいつらだったの?じゃあ、陰のキーマンっぽかったNadia(Anjli Mohindra)って、内務大臣のアシスタントで解雇されたChanel(Stephanie Hyam)って、保安部のLongcross(Michael Shaeffer)って、彼らがやっていたことって、アレ、何だったの?まあ、でもこれは娯楽ドラマですから、あまり深く突っ込まないで、さらっと観て雰囲気を楽しむのがいいんですよね。

最終話でNadiaが豹変するシーン、あれはお見事でした。「大人しそうな顔して犠牲者ぶってりゃ、男なんてコロッと騙されるんだから、ククッ」って、こりゃDavidも面目丸つぶれですわね。こんな調子でこのドラマでは、男たちがコケにされっぱなし。それにしても政治家ってのは、どうして金や権力や地位に執着するんでしょうか?若い頃のColin FarrellにBraPiを足して2で割ったようなRichardのドラマと今日のご飯と寝るところがあれば、取りあえず幸せな私には、ちょっと分からない世界です。


by amore_spacey | 2019-09-24 00:02 | - TV series | Comments(2)

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス (Maudie)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 カナダ東部の田舎町で叔母と暮らし、絵を描くことが生きがいのMaud(Sally Hawkins)は、町の店で家政婦募集の広告を見つけた。さっそく彼女はその男Everett(Ethan Hawke)を訪ね、半ば強引に住み込みの家政婦として働き始める。彼が魚の行商に出かけて留守の間は、家事をすませ好きな絵を描く。
 幼少期にリウマチを患い一族から厄介者扱いされてきたMaudと、養護施設で育ち大した学もなく、生きるのに精一杯だったEverettは、次第に互いを認め合い、やがて夫婦になった。カナダの画家Maud Lewisの伝記ドラマ。(作品の詳細はこちら


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町はずれにあるEverettの家が秘密の隠れ家のようで、現実逃避したくなったらここに篭(こも)って気ままに過ごしたい、なんて妄想をしてしまいました。荒れ果てた殺風景な室内がMorandiの世界を彷彿させ、落ち着いた雰囲気に包まれているから。このモノトーンの部屋が、Maudのカラフルな絵によって、次第に埋め尽くされていく。2人の距離が徐々に縮まり心を通わせていくにつれ、色使いはより鮮やかに、Maudも綺麗になっていくのです。

長らく独りで生きてくると、容易には譲れない物事や、簡単には崩れない心の壁が出来てしまう。他人と打ち解けあう交流なんぞ、もう諦めているから期待もしないし、感情の扉は閉ざされている。だからベッドをともにしても互いに求め合うような事態にならない。固く閉ざした殻の中にいるそんな2人が、最初はチグハグして噛み合わないけれど、不器用ながらも共同生活を積み重ねていくうちに、互いの境界が少しずつ交わるようになり、素朴な愛情が芽生えていった。彼らはとてもピュアなところで、つながっているのでしょう。Maudのチャーミングな笑顔は、ホッと安心させてくれます。

Maudを演じたSally Hawkinsは、メルヘンに満ちたお菓子のような家で育ち、児童小説家でイラストレーターの両親のスタジオは、たくさんのぬいぐるみや海賊船や怪獣たちで埋め尽くされていたそうです。Sallyがちょっぴり現実離れしたオーラを放っているのは、育った環境によるものかもしれません。

ぶっきら棒でヘンなプライドがあって短気だけれど、他人を思いやる優しさがあるEverett、パッと見は薄幸で弱々しくKYっぽくてちょっと捻くれ者だけど、内に秘める強さや自由奔放な自分らしさのあるMaud。彼らを演じたEthanとSallyは息の合ったカップルで、互いがそっと寄り添って、新しい人生を静かに生きていこうとする姿には、実生活での夫婦のような空気がありました。それにしても、あのタイミングで求人メモを出してくるなんて、ったく、泣かせるじゃありませんか。2人を引き合わせたEverettの手書き求人メモ。『家政婦募集 掃除道具を持参すること』


by amore_spacey | 2019-09-22 00:11 | - Other film | Comments(2)

トラスト 全10話 (Trust 10 episodes)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

ネタばれあり!!!

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【あらすじ】 石油で巨万の富を築き、世界一の富豪となったPaul Getty I(Donald Sutherland)は、同時に世界的に知られたドケチでもある。一方孫のPaul Getty III(Harris Dickinson)は、誰からも愛される優しい性格を持ちながら、ローマでドラッグ漬けの自堕落な日々を送っていた。ドラッグの支払いに困り、祖父から金を引き出そうと狂言誘拐を思い立つが、事態は思わぬ方向に動き、マフィア組織'Ndranghetaが絡む本当の誘拐事件に発展していった。当初犯人は1700万ドル(約50億円)の身代金を要求したが、Getty Iはその支払いを拒否する。
  その一方でGetty Iは元CIAの交渉人Chace(Brendan Fraser)を呼び寄せて孫の奪還作戦を指示し、ローマに暮らす孫の母Gail(Hilary Swank)のもとへ送りこんだ。無駄な金は一銭も払いたくないGetty Iと、何が何でも身代金を手に入れようと画策する'NdranghetaのPrimo(Luca Marinelli)たち、息子の命を何とか救おうと奔走するGail。そんな彼女の一挙手一投足を報道しようとマスコミが付きまとい、事件は世界中を巻き込んで加熱していった。1973年に起きた誘拐事件から着想を得てドラマ化。(作品の詳細はこちら


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Luca Marinelliの一人祭り。ロンドンにあるGetty Iの屋敷とローマの街並み、そしてGetty IIIが誘拐・監禁された南イタリアの町やカラブリアの山村、そこに過去と現在を交差させながら、世界で最も有名な誘拐事件と言われるサスペンスドラマが展開していきます。Getty I卿はもちろんのこと、その背景に潜む人々の裏切や陰謀は、激しく興味をそそります。また何らかの形でGetty家や誘拐事件に拘わった人々にも、それぞれのドラマや人生がある。Getty IIIの父親でドラッグを断ち切れないGetty Jr.(Michael Esper)や彼の元妻Gail、Getty Iの妻や愛人たち、そして屋敷の全てを取り仕切る執事Bullimore(Silas Carson)の人生まで描かれた、とても深い人間ドラマなのです。映画版の『ゲティ家の身代金』よりはるかにドラマチックで楽しめました。それはさておき、Getty家の大邸宅やローマの街並みや南イタリアの山村など、ロケーションが実に素晴らしいのです。

Getty I卿は一代で巨万の富を築き、桁外れの大富豪となった人ですから、やる事成す事も桁外れ。派手な女性関係で、息子たちは全て違う女性との間にできた子どもで、愛人も何人かおり、81歳にして愛人と一戦交えるために、非合法の薬を急所に注射させるというツワモノです。この大富豪の趣味ときたら、戦闘機に乗って敷地の上空から自分の屋敷を攻撃する「ごっこ遊び」。あの歳で整形(リフティング?)も3回なさったようです。が、超ドケチなので、Nixon大統領のお墨付きをもらってすら、身代金要求額の半分しか出さず、残りは孫の父親(自分の息子)に貸し付けて利益を得ようと目論んだり、挙句の果てには身代金を値切るという守銭奴っぷり。

人を愛したり育てたりすることは、からっきし駄目な人間だ。家族愛を知らないまま、大人になったんでしょうか。彼にとって愛情とか幸せって何?「幸せ?ったく、だから凡人は嫌だ」と吐き捨てそうです。ご執心だった美術館の設立は、皮肉な結果になりましたが、自業自得ってもんです。人もどんどん去っていきました。晩年はずいぶん寂しい人生を送ったに違いありません。お金があり過ぎる悲劇と言いましょうか。Donald Sutherlandの怪演は素晴らしかった。究極の鬼畜っぷり!彼以外の役者は考えられません。

ナレーターとしても登場するカウボーイハットの交渉人Chaceは、緊迫した空気を和らげる緩衝材のような存在で、3枚目なキャラクターなんですが、お気楽な人生を送ってきた訳ではなかったようです。離婚した妻と息子の家に向かう彼の後姿は、このテレビドラマを〆るのに相応しいラストシーンでした。


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Getty IIIを演じたHarris Dickinsonは、男性フェロモンが少なくて、ちょっと…ね。彼が影絵遊びをしたり(影絵を教えたのは、祖父なんです)、人質の身であるのも忘れて川遊びをするシーンは、ほのぼのとしました。


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そして舞台が南イタリアに移ると、Lucaがブイブイ言わせてます。映画版では殆ど登場しなかった、誘拐犯人の胡散臭いレストランの経営者(Giuseppe Battiston)やマフィアにもスポットを当て、さらに'Ndranghetaの内情にまで踏み込んでいるのは凄い。マフィア組織にも色んな人間が所属していて、Primoのように凶暴なのもいれば、インテリ青年や日和見派もいる。組織の結束も必ずしも固いとは言い難く、利害関係もさることながら心情的に賛同できないのが原因で、仲間割れがあったり裏切り者が出たりする。巨額の資産をめぐって親族が相続争いをする、Getty家と似たようなもんです。

さて身代金をゲットした'Ndranghetaの一族は、Primoが組長を殺害してボスになり、何と!カラブリアの海岸に巨大な港を作ってしまった。ええ、麻薬を売りさばくためです。カラブリアの貧しい村のチンピラ集団が、港のお陰でイタリア有数のマフィア組織に成り上がったという訳です。


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寡黙でポーカーフェイスで何か企んでいそうな執事のBullimoreは、第1話から気にとめていたキャラで、「1日休みをもらった」と言った時の幸せそうな顔が素敵でした。毒草のリストを、ずっと持っていたんですね。


by amore_spacey | 2019-09-20 00:33 | - TV series | Comments(0)

ルカ・マリネッリ、おめでとう!(Luca Marinelli)

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第76回ヴェネツィア国際映画祭の授賞式が9月7日に行われ、金獅子賞にTodd Philips監督のJoker、女優賞にAriane Ascaride(Gloria Mundi)、男優賞にLuca Marinelli(Martin Eden)が輝きました。


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Lucaが主演したMartin Edenは、20世紀のナポリを舞台に、ブルジョア階級の女性Elenaと出会い恋におちた、一介の船乗りMartin Edenが文学に目覚め、彼女に相応しい人間になるために、文化人としての教養を独学で身につけ、作家として成功するまでの苦闘を描いた作品で、Jack Londonの同名小説をもとに、Pietro Marcello監督が映画化したものです。


by amore_spacey | 2019-09-18 03:56 | My talk | Comments(4)

セレニティー 平穏の海 (Serenity)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (78点)

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【あらすじ】 カリブ海の島で釣り船の船長をして穏やかに暮らすBaker Dill(Matthew McConaughey)の前に、突然美しい元妻Karen(Anne Hathaway)が現れ、暴力的な今の夫Frank(Jason Clarke)を釣りに行くと見せかけ、沖に連れ出して殺して欲しいと依頼された。驚愕の依頼に動揺するBaker、企みの末に巻き起こる衝撃の結末とは?(作品の詳細はこちら


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機内上映その5。MatthewとAnneのピンとこない共演ですが、Matthewがいるので何となく見始めたのですが、あまりにも突飛な結末に、観終わったあと呆気にとられてしまいました。魚釣りに出かける冒頭のシーンに、「Matthewって、やさぐれた漁師も似合うな」と寝ぼけたことを思ったり、眩しい金髪のAnneが殺人依頼をする辺りで、なーんだ、これ、チープなB級サスペンスかと落胆したのですが、「いや、待て。Matthewが出てるんだから、きっと何かあるはず」と。中盤あたりからサスペンス色を帯び始め、と同時に彼らの住む世界が、何だかおかしいことに気づく。それはともかく、Matthewのきゅっと引き締まったお尻やベッドシーン…幾つになっても彼はエロかっこいいです。サービス・シーンもあり、眼福モノでした。

実はこの映画は釣りの話なんかじゃなくて、Patrick少年(Rafael Sayegh)の苦悩や葛藤を描いた、ものすごく切ない物語だったんです。虐待を受けていたPCオタクの少年は、自分が作ったゲームの世界に現実逃避して、そこに登場する主役をJohnと呼んだ。Johnと名づけられたBakerと少年は、父息子という設定になっている。初めは単なる娯楽目的の釣りのゲームだったようだけれど、少年が義父の虐待から逃れるため、Johnに義父を殺してもらうゲームに設定変更したと思われます。どこからがゲームの世界なのか?(最初から最後まで?)BakerがJohnの記憶を持っていたのか、少年とBakerの関係がどうなのはよく分かりませんが、ゲームの世界の父親が現実に生きる息子を救うことに成功したのかなと解釈しています。水中で2人がふっと出会うシーンには、胸が熱くなり、うるうる。

うーん、私の上等でない脳ミソで咀嚼するには、展開があまりにも唐突で分かりにくかった。そういうオチだったんですかぁと、今になって納得するも、説得力が今一つなんです。Bakerにつきまとう釣り具メーカーの営業マンReid Miller(Jeremy Strong)の存在も、未だに謎。何のために登場させたの?未消化の部分があちこちに残っている作品です。


by amore_spacey | 2019-09-09 01:11 | - Other film | Comments(0)

七つの会議

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 都内の中堅メーカー、東京建電の営業一課で係長を務めている八角民夫(野村萬斎)。最低限のノルマしかこなさず、会議も出席するだけという姿勢を、トップセールスマンの課長・坂戸宣彦(片岡愛之助)から責められるが、意に介することなく気ままに過ごしていた。営業部長・北川誠(香川照之)による厳格な結果主義のもとで部員たちが疲弊する中、突如として八角が坂戸をパワハラで訴え、彼に異動処分が下される。そして常に2番手だった原島万二(及川光博)が、新課長に着任した。(作品の詳細はこちら


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機内上映その4。不正を暴く勧善懲悪モノの社会派ドラマが大好きです。起承転結がはっきりしているので分かりやすいし、観終わったあとスカッとする。今回は下町の中小企業の社長が大奮闘する『下町ロケット』のスタッフが再結集しましたが、企業の不正を暴くサラリーマンを描いたこの映画は、『半沢直樹』の続編と言ってよいでしょう。池井戸潤の小説を映画化したドラマや映画には、三谷監督の作品のように主役・准主役級の役者が大勢出てくるが、池井戸の作品はストーリー展開もさることながら、役者たちの競演ぶりがとても楽しみです。

キャストに野村萬斎の名前を見つけたとき、一瞬、観るのを止めようかと。それは『のぼうの城』に出ていた野村萬斎の、あまりにも癖のあるキャラに激しい拒否反応を起こして、良い印象がなかったから。ところがこの作品を観て驚きました。飄々として何を考えているのか分からない。世捨て人のようでもあれば、何か企んでいるようにもみえる。謎に満ちたつかみどころのない八角を演じるのは、彼しかいない、と断言できるほどハマっていたから。彼の鋭い眼差しにグイグイ引き込まれる。彼の強さや弱さや優しさに、いちいち気持が揺れ動く。いやはや、まったくお見事でした。話は二転三転して先が読めず、「どうして?」という局面が次々と出てきますが、終盤の見所は言うまでもなく、野村萬斎と香川照之の対決でしょう。クールな野村 vs 濃い香川、今回は野村が圧勝したと思っています。

ちょっとヘタレなミッチー&朝倉あきのコミカルな演技が、映画の雰囲気を明るくしてくれた。不正はなかったとする会社の経営陣を演じる役者も、このシリーズでは常連の方。いつも終盤にちらっと出て来るだけなのに、物凄い存在感と威圧感があり、視聴者の憎悪を一手に引き受ける憎まれ役に徹して、さっさと退場する。何て潔いんだ。

物語はここで終わらず、エンドロールに続く。「不正がなぜ起きたと思いますか?」「どうすれば不正は無くせると思いますか?」の問いに、八角はきっぱり答える。「不正は無くならないと思いますよ。」 不正が無くならない理由が意外だった。藩のために忠を尽くす。そういう侍魂が、日本人の中に脈々と受け継がれているからだと。お国のために自らを捧げることを、崇高な精神であると評価してきた日本社会の体質が変わらない限り、不正は生き続けると。それに加えて人間も世の中も、清濁合わせて存在するもの。だからそう簡単に不正や戦争はなくならないと思うのです。


by amore_spacey | 2019-09-08 00:18 | - Japanese film | Comments(0)