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世界の果ての出会い (Encounters at the End of the World)

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あらすじ】 南極の過酷な環境で科学の大義を推進するために、人生を捧げてきた風変わりな人々に出会う。Werner Herzog 監督による南極ドキュメンタリー。(作品の詳細


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年明けからSNSによく流れてくるニヒリストペンギン(←音が出ます)が、2007年に制作されたドキュメンタリーからの切り取りと知り、全編を観ました。南極で活躍する様々な分野の研究者の話、中でもホワイトアウトでの移動訓練や、氷の下でのアザラシの鳴き声、そしてペンギンのエピソードは、非常に面白く興味深いものでした。

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ホワイトアウトでの移動訓練は、簡単そうで意外に難しい。快晴のもと四角い白ポリバケツを頭に被り、視界ゼロのシミュレーションで、ホワイトアウト状態を生き延びる方法を学ぶ。訓練するメンバーは命綱のロープを腰に結わえて、数人一緒に移動する。

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真っすぐ歩いているつもりでも、すぐ横に逸(そ)れてしまう。そうすると後ろに続く人々も、どんどん逸れていく。気づいて軌道修正しても、正しいと思った方向が間違っているので、ますます別の方角に進み、泥沼にハマる状態になる。と教官が説明する。

晴天の日にゲーム感覚(スイカ割りのノリ)で面白がっているうちはいいが、探検に出て激しい吹雪や地吹雪に巻き込まれ、白一色の視界の中、地形の起伏やまわりの景色や地平線が全く見えなくなったら、そしてこれが夜だったら、、、と想像するだけで背筋が凍りつく。

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南極大陸の内陸部は、2000mの厚い氷で覆われてる。この分厚い氷が割れる音や軋(きし)む音に混じって聞こえてくる、氷の下のアザラシの鳴き声は、ピンク・フロイドの音楽に似ており、水中録音したアザラシの鳴き声は、まるで電子音楽のような不思議な世界だ。

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最後にあのニヒルなペンギン。ペンギンの群れが海に向かっていく中、そのうちの1羽が南極大陸の内陸にある山に向かって駆けていく。それはほぼ死を意味する。山には食べるものがないから。ドキュメンタリーを撮影した Herzog 監督は、このペンギンの不可解な行動や、ペンギンの同性愛や狂気に疑問を抱いた。

ペンギン研究者は答える。原因はよく分かっていない。しかしこの1羽のペンギンは、自分が死ぬ運命にあることを知っており、例え誰かが正しい方向(=海)に向かわせようと方向転換させても、やはり山に向かって行ってしまう。この子は群れを離れて、山で死ぬことを選んだのだと。


# by amore_spacey | 2026-03-05 16:44 | Other film | Comments(0)

ファンファーレ!ふたつの音 (En fanfare)

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 世界中を飛び回る著名な指揮者 Thibaut(Benjamin Lavernhe)は、ある日、白血病と診断され、骨髄移植のドナーを探す中で、自分が養子であること、そして生き別れた弟 Jimmy(Pierre Lottin)がいることを知る。
 Jimmy はかつて炭鉱で栄えた寂れた町の食堂で働きながら、仲間と結成した吹奏楽団を、唯一の楽しみに暮らしていた。2人は育った環境も性格もまったく異なが、Thibaut は Jimmy に類まれな音楽の才能を見いだす。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。Thibautはその不公平を正そうと、弟の Jimmy を何がなんでも応援することを決意する。(作品の詳細


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音楽がベースになった映画はいいですね。ドラマチックでありながら、ほろ苦さやぬくもりがあり、笑いもたっぷり。リアルで深い人間味あふれ、誠実で心のこもった物語でした。兄弟は全く違う人生を送りながらも、音楽への共通の愛は、40年ぶりに再会する2人の間に、揺るぎない絆を生み出す。音楽は人を隔てる壁をいとも簡単に取り払って、人々を結びつけてくれるのだから。

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音楽に関する深い話ができる相手が、地元にはなかなかいなかった。だから弟にとって兄との会話は、空白の時間を埋めるだけでなく、とにかく嬉しかった。

Thibaut が様々な音楽の説明をしながら、ピアノを弾いていると、隣に座った Jimmy が演奏に加わる。2人がピアノを連弾するシーンも印象的でした。兄の横で、照れたような表情で指揮する弟が、可愛い。無骨だけど気弱な Jimmy を支える Sabrina(Sarah Suco)も、愛情に溢れた懐の深い女性だ。

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音楽のジャンルやスタイルが異なっていても、それが人々の心に深く響き、人生において重要な役割を果たしているのを見るのは、感動的でした。数々の場面で音楽(←音が出ます)が重要な役割を担っている。クラシックはもちろん、ジャズやシャンソンなど幅広い。Boléro にのせた壮大なフィナーレに、胸が熱くなりました。

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1. Valse pour Thibaut
2. Egmont, op. 84, Ouverture (extrait)
3. Les Hébrides, Op.26 (extrait)
4. Quadrature I
5. Concerto pour piano no 23 en la majeur, K.488, 2ème mvt
6. Valse pour Thibaut (version piano)
7. Quadrature II
8. Aïda, Marche triomphale (extrait) 
9. When the Saints Sing
10. Valse pour Thibaut (version orchestre d’harmonie)
11. Boléro


# by amore_spacey | 2026-03-03 01:49 | Other film | Comments(2)

白い巨塔 1966映画版

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 貧しい母子家庭に生まれた黒川五郎(田宮二郎)は、人一倍野心家で名誉欲が強く、苦学して医学部を卒業した。その後、裕福な開業医財前又一(石山健二郎)の婿養子となり、その財力を利用して、浪速大学医学部付属病院第一外科助教授の地位を手にする。
 天才的技術を持つ財前五郎は、義父の財力と工作で、さらに次期教授の座を固めつつあった。一方、第一内科助教授の里見(田村高廣)は冷静な診断で、財前の誤診を指摘するが、財前は出世のために隠蔽する。山崎豊子の同名小説をもとに映画化。(作品の詳細


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田宮二郎の1人祭り。あれっ、モノクロ?私が子どもの頃に観たのは、カラーだったから、あれはドラマ版だったんだ。ということで、田宮@財前の映画版を初めて観ました。が、いきなり手術シーンから始まる、衝撃のオープニング。モノクロでもなかなかの迫力で迫ってきます。

ギラギラした欲望にとりつかれ、患者より野心を優先する財前。どんどん悪人ヅラになっていく様子が、当時31歳の田宮の、鬼気迫る演技とモノクロ映像により、脳裏に焼き付けられる。財前役には田宮です。彼を取り巻く脇役陣にも、主役級の関西勢が揃っている。

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財前とは対照的な里見助教授。医師としての良心と使命を体現し、財前の才能を認めつつも、おごり高ぶる彼を諭し諫める。これこそ真の友情です。やがて財前は第一外科教授になり、第一審で勝訴、真実を証言した里見は、転任という名の左遷に遭い、浪速病院を去っていく。

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若い頃の田村高廣を観ることが出来たのは嬉しい。大河内教授役の加藤嘉や、第二外科の今津教授を演じた下條正巳にも、若い時代があったんだなぁ。枯れた老人役のイメージしかなかったから。

第一外科教授の1人娘を演じた藤村志保が、フィギュアスケートの坂本詩織ちゃんにそっくり。小川真由美が小気味のよい存在で、財前に遠慮なく言えるのは彼女だけ。ホステスというよりも、やり手の女社長の雰囲気だったな。

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医療は格段に進歩して、医療現場には隔世の感があるが、私利私欲にまみれた人間は、いつの世にもいます。「真実を言った人間が左遷され、誤診をした人間が大学に残る」田舎の母親を想う優しさが、財前にもあった。その優しさや思いやりを、医療の場に活かすことができたなら…。

【関連記事】
白い巨塔(1978-79年 田宮二郎のドラマ版)
白い巨塔(2003年 唐沢寿明のドラマ版)


# by amore_spacey | 2026-03-01 20:38 | Japanese film | Comments(6)

三つ子ですか?

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Hunter Doohan(1994)

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Nicholas Galitzine(1994)

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Björn Mosten(1997)

こうして並べると三人三様だが、別々にみると目元や口元がそっくりの三つ子。世の中には自分に似た他人が2人いるというけれど、まさにそれですかね。


# by amore_spacey | 2026-02-28 17:22 | My talk | Comments(0)

栗色のマッドレー (Madly)

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 パリ郊外の古色蒼然とした古城に住む、骨董品商の Julien(Alain Delon)と妻 Agathe(Mireille Darc)は、互いに愛情深く安定した関係を築いている。その暮らしに不満はないが、何か物足りなかった。
 ある日2人は、パリのナイトクラブで意気投合した Madly(Maddly Bamy)という名の黒人女性を、古城に招いた。Julien は妻を愛しながらも、次第に Madly に強く惹かれていく。Agathe が予想したとおり、Madly は2人の間に堂々と入り込んできたのだ。
 初めは Agathe もこの関係を楽しんでいたが、この三角関係に耐えきれず、家出してしまう。残った Julien とMadly の2人の破綻は早かった。(作品の詳細


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Alain Delon の1人祭り。当時35歳の Alain の類まれなる美しさや、パリ郊外の田舎の風景、Francis Lai の甘く切なく美しい音楽(←音が出ます)が堪能できます。ツッコミ所も満載で…。

原案を書いたのが Mireille Darc、その後3人の脚本家が物語を完成した。当時 Alain と夫婦同然の生活をしていた Mireille、こんな話が浮かんでくるなんて、頭の中がお花畑だったのか、マンネリ化した暮らしに、刺激が欲しかったのか?

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Agathe は Julien の露骨な浮気癖を全く気にかけず、それどころか浮気をすすめるのだ。どんな女と遊んでも、最後には必ず、彼が自分のところに戻ってくると信じていたから。彼女は、無敵の自称サバサバ系。

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Agathe と Julien の2人や、途中から Madly が加わった3人が、子犬のようにはしゃぎ回り、じゃれ合っているだけの話で、当事者以外は、「知らんがな。アホくさ~」Alain のドタバタした独特の走り方や(苦笑)、Mireille の顔黒メイクには思わずププッ。

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3人の共同生活が始まったものの、間もなく破綻。しかしまた Agathe と Madly が戻り、再び彼らは固い絆で結ばれる。それ、嘘松よ。互いの傷を優しく労わりながら、輝く太陽の下、彼ら3人は……。えっ、大人3人が馬に?かわいそうなお馬さん(T^T)

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因みに『太陽がいっぱい』で Freddy Miles を演じた Billy Kearns が、ちらっと顔を出す。当時18歳の Maria Schneider が、売り子か何かの役で出ているそうですが、見つけられなかった。で、邦題。Madly の何が栗色なんでしょうか。髪?肌?瞳?それとも…。


# by amore_spacey | 2026-02-27 01:10 | ┗ Alain Delon | Comments(4)