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バレッツ (L'immortel/22 Bullets)

私のお気に入り度 ★★★★☆(86点)

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【あらすじ】 マルセイユ。ギャングの世界から足を洗って、妻(Fani Kolarova)と2人の子どもに囲まれた堅気の暮らしを送るCharly Matteï(Jean Reno)。しかしある日ギャング団に襲われ、22発の銃弾を身体に受けたCharlyは、瀕死の重傷を負いながらも奇跡の生還を果たす。彼は復讐のために、再び闇の世界に舞い戻ることを決意した。



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これぞ21世紀のフイルム・ノワール!Jean Renoが渋い。口数が少なければ少ないほど、魅力増大。そんな彼のぽろっとこぼすギャグが、おかしい。復讐モノだけど、『ボルサリーノ』『ボルサリーノ2』とは、テンポも緊迫感も全く違う。主役は見映えのしないくたびれた男だし、銃弾を受ければスクリーンは血の海になる。美しいシーンは殆どない。それが冷酷非情なギャングの世界というものなのでしょう。それにしてもKad Meradというのは、何て狡猾で嫌な奴なんだ!『プチ・ニコラ』『シュティの国へようこそ』の好々爺なキャラクターを観て、【彼はいいおじさん】と私の中にインプットされていただけに、騙まし討ちに遭った気分だわぁ。おとぼけ人間から凶悪犯まで、演技キャパが無限にありそうで凄い。こんな人が隣人だったら、うっかり騙されちゃいそう。



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女刑事を演じたMarina Foïsが、カッコイイ。乃南アサの作品に出てくる、音道貴子のフランス版ってとこかしら?納得いかない上司に平手打ちを食わせるなんて、見ていて溜飲下がりましたわよ。

製作国:France
初公開年:2010年
監督:Richard Berry
キャスト:Jean Reno, Kad Merad, Marina Foïs, Jean-Pierre Darroussin, Gabriella Wright, Richard Berry, Fani Kolarova, Joséphine Berry ...


# by amore_spacey | 2010-10-08 00:12 | - Other film | Comments(0)

我らの生活 (La nostra vita)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

ネタばれあり。

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【あらすじ】 ローマ近郊で働く30代の建設作業員Claudio(Elio Germano)は、妻Elena (Isabella Ragonese)と2人の子どもと幸せに暮していた。しかし3番目の子を出産中に妻が死亡し、残された3人の子を前にClaudioは途方に暮れてしまう。そんな彼を、母親のような存在の姉Liliana(Stefania Montorsi)や内気で不器用な兄Piero(Raoul Bova)や il pusher怪しげな仕事をするアパートの隣人Ari(Luca Zingaretti)が、有形無形の援助をしてくれるが、彼は誤った方向に走り始める。Claudioを演じたElio Germanoは、2010年カンヌ映画祭とNastro d'Argentoで主演男優賞を受賞。



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Claudioを取り巻く状況を淡々と描く中で、世の中金が全て!という末期的症状を見せる消費社会や片親家庭や移民事情など、イタリアが抱える深刻な問題を静かに提起している。絶望や悲しみを抱え悶々と苦悩葛藤し、妻の告別式で思わず慟哭するClaudio。そんな彼もまた金の亡者になってしまう。手っ取り早く自分のこの悲しみや喪失感を埋めてくれるのは、金だ。金さえあれば幸せになれる。しかし間もなく彼は壁にぶち当たって目が覚める。損得を抜きにした、救いの手を差し伸べてくれる家族や友人たちの存在に気づくのである。傷ついた心は金では埋められない。そんなClaudioを等身大で演じたElio Germanoに拍手です。

Luca Zingarettiには驚いた。ロンゲで登場されちゃ、あなた、誰?それがまた全然似合ってないのね(苦笑) Raoul Bovaは軽い恋愛モノや深刻な社会問題がテーマの作品の主役より、肩の力を抜いた脇役のほうがいい。

製作国:Italy
初公開年:2010年
監督:Daniele Luchetti
キャスト:Elio Germano, Isabella Ragonese, Raoul Bova, Stefania Montorsi, Luca Zingaretti, Giorgio Colangeli ...


# by amore_spacey | 2010-10-06 01:16 | - Italian film | Comments(0)

ボルサリーノ2 (Borsalino and Co.)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

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【あらすじ】 小雨が降る晩秋の肌寒い朝、François Capella(Jean-Paul Belmondo)の葬儀がマルセイユ郊外の墓地でひっそり執り行われた。僚友を失ったRoch Siffredi(Alain Delon)は、そこである硬い決意を誓ったのだった。3ヵ月後。Françoisの復讐をとげるつもりのRochをFanti警部(Daniel Ivernel)が訪ねて来て、François殺害の黒幕はマフィアのVolpone兄弟の弟Giovanni(Riccardo Cucciolla)だと告げた。



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やられたら10倍にして返す、それがギャングスターやマフィアの世界。3枚目なBelmondoがいなくなってAlain Delon1人になると、彼が持つダークで非情な一匹狼的キャラが際立ちます。アル中で廃人同様にされた彼が、敵対するマフィアの組員に1杯の酒を乞うなんて、とても痛々しい姿でした。しかしその後の立ち直りは凄かった!現実には有り得ない状況だが、Alain Delonだからあれでいいの。蒸気機関車の炉に突っ込まれちゃ、マフィアのボスもお終いですねっ。

製作国:France, Italy
初公開年:1974年
監督:Jacques Deray
キャスト:Alain Delon, Riccardo Cucciolla, Daniel Ivernel, Reinhard Kolldehoff, André Falcon, Lionel Vitrant, Adolfo Lastretti ...


# by amore_spacey | 2010-10-04 01:37 | Alain Delon | Comments(0)

重なり合う時 (La doppia ora)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

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【あらすじ】 ホテルで清掃係として働くスロベニア移民のSonia(Kseniya Rappoport)と、元警察官で今はある金持ちの別荘のガードマンを務めるGuido(Filippo Timi)は、カップリング・パーティーで知り合った。ある日Guidoは仕事場の別荘にSoniaを誘うが、そこで2人は武装強盗団に襲われてしまう。Soniaを演じたKseniya Rappoportが、2009年ヴェネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞。



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先が読めない展開や静謐で透明感のある映像が印象的で、そこにスリラー的な要素が盛り込まれている。だから観ている私たちも、あれは現実?それともSoniaの妄想?とキツネにつままれる。それでも何となくある予感を抱きながらエンディングに達するのだ。一貫して静寂な流れの中で、突然聞こえるバタン!という衝撃音は、ったく心臓に悪い。Soniaと一緒に私もいちいちビビリました。重なりあう時とは、例えば23時23分のように、時間と分が同じ数字になる時のことを指している。その数字が幸運を呼ぶと言ったGuidoの言葉を、折に触れて思い出すSonia。彼が幸運と見なす時間を彼女は何度か時計で見るが、それは本当に幸運を呼んだのだろうか?



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『題名のない子守唄』のKseniya Rappoportが、難しい役を演じてくれた。恐れや葛藤や混乱などSoniaの心の状態が、手にとるように伝わってくる。きれいだけれど寂しげな顔立ちだけに、彼女が笑うと本当に可愛らしくほっとする。髪の色をブロンドにして、幾らか表情が軽やかになった気がします。

製作国:Italy
初公開年:2009年
監督:Giuseppe Capotondi
キャスト:Filippo Timi, Kseniya Rappoport, Antonia Truppo, Gaetano Bruno, Fausto Russo Alesi ...


# by amore_spacey | 2010-10-02 00:12 | - Italian film | Comments(0)

シュティの国へようこそ (Bienvenue chez les ch'tis )

私のお気に入り度 ★★★★☆(84点)

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【あらすじ】 Philippe Ambrams(Kad Merad)は、南仏プロヴァンスの郵便局の局長である。しかし鬱病気味のJulie (Zoé Félix)のために、気候のよいコート・ダジュールの郵便局に配置転換して貰えるよう裏の手を使ったことがばれて、フランス人の誰もが行きたがらない北の果ての街に飛ばされてしまう。
 フランス南部に暮す人々にとって北のこの街は、荒涼として北極のように寒く、そこに暮す人々も野暮&粗雑な上に文化の香りはゼロ。とても住めた街ではないのだ。妻が引越しを拒否したので、妻と息子を置いてPhilippeの単身赴任の生活が始まる。部下で郵便配達のAntoine(Dany Boon)やアシスタントのAnnabelle(Anne Marivin)から独特の方言やしきたりを覚え、彼は徐々に街の生活に馴染んでいくのであった。



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お腹を抱えて笑いました。北の街に住む人々の方言を、イタ語の吹き替えではボローニャ訛りで喋らせているが、言葉遊びなどの訳出が実にお見事。Kad Meradがこれまた人間味のある夫&局長を演じて、本作を盛り上げてくれる。ちびまる子ちゃんのおじいちゃんのような里芋顔の彼って、存在自体が愉快で可笑しいんです。表情豊かで笑いとペーソスに満ち溢れて、ぐいぐい引き込まれていく。どこの国にもステレオタイプな偏見や思い込みはありますね。

イタリア版のリメイク"Benvenuti al sud"が10月に公開される。こちらは北部に暮す男が、南部の街へ単身赴任する。アメリカ版リメイクもロードショーになるようです。本作が持つ面白味や辛口ジョークが、世界共通のものだということなんでしょう。

製作国:France
初公開年:2008年
監督:Dany Boon
キャスト:Kad Merad, Zoé Félix, Dany Boon, Lorenzo Ausilia-Foret, Anne Marivin, Philippe Duquesne ...


# by amore_spacey | 2010-09-30 00:24 | - Other film | Comments(6)