地下室のメロディー (Mélodie en sous-sol)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 5年の刑期を終え出所した老ギャングのCharles(Jean Gabin)。彼はまだ親のスネをかじっているムショ仲間の青年Francis(Alain Delon)とFrancisの義兄で自動車修理工のLouis(Maurice Biraud)と組んで、再びカジノの現金を強奪する計画を立てる。標的は南仏カンヌのリゾート・ホテルのカジノにある10億フラン。周到に立てた計画通り事は運び、大金強奪は成功したかに見えたが…。(作品の詳細はこちら


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ノワールの大御所Jean Gabin(コアラに似てる)と美貌に恵まれた若いAlain Delonの共演。本当の父親と息子のような愛情と尊敬に満ちた2人の間には、女の入る余地など全くない男同士の連帯感に満ち溢れて、もうね、羨ましいのなんのって。Alainの右肩の隅っこでいいから乗せてもらいたい。いえいえ、邪魔にならないように耳の中で体育座りさせて頂くだけで本望です。この作品がこんなブラック・コメディだったなんて、全く記憶になかったから、初めて観るような新鮮な感覚でした。ただBGMが大袈裟で煩すぎた。


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真面目なサラリーマンをやらせればピカイチの中井貴一、定職に就かずブラブラしている困った30過ぎをやらせると下卑た魅力が光るAlain(この2人が共演したら面白いかも)。中井貴一のように地道に真面目に働けば、そこそこの暮らしができるのに、凝りもせずコアラおじさんとイケメン青年の2人は、また一発当ててやろうと良からぬ事を企む。頭がお花畑の大バカ野郎たちなのか、現実味のない夢見るお坊ちゃまたちなのか。とにかくコツコツとか地道にとかいう言葉とは縁遠い、親子ほども歳の違う2人がタッグを組んで、とんでもないことをやってくれます。


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後半に入ると、「この計画、ホントに大丈夫なのか?」と何度も不安になったり、緊迫感に満ちた場面が出てくる。でもコアラおじさんが何とかしてくれる、彼がいるから大丈夫という、根拠のない確信があったので、あのラストシーンには、心からぶったまげました。苦肉の策でプールに沈めた鞄の蓋が水圧で開いてしまい、10億フラン分のお札が1枚また1枚と浮かび上がって、広いプールの表面に拡がっていく。あちゃーっ!華麗に散ってゆく10億フラン。ヴィジュアル的にとても美しく、印象的なシーンだ。ここまで派手にやってくれると、大失策にもかかわらず、天晴(あっぱ)れ!と拍手したくなる。

プールサイドで一部始終を見ていたコアラおじさんは、憮然として臍(ほぞ)を噛むばかり。ああぁ、ったくFrancisは、何やってんだ。これがビートたけしの任侠映画だったら、その場でAlainの頭をぶち抜いただろう。コアラおじさんだって、はらわた煮えくり返っているんだけど、ほとぼりが冷めたらまた2人つるんで何かやらかすに違いない。Jean Gabinの老練の演技と存在感と、非のうちどころのない美貌に恵まれたAlain DelonのJeanへの敬意の念。親の愛に飢えていたAlainにとって、Jeanは育ての父親のような存在だったのではないかしら。


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# by amore_spacey | 2018-10-26 00:28 | Alain Delon | Comments(4)

戦場のアリア (Joyeux Noël)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 第1次世界大戦下、フランス北部の最前線デルソーで、敵対するフランス・スコットランド連合軍とドイツ軍兵士たちは、クリスマスを迎えることになった。そんな中、ソプラノ歌手Anna Sörensen(Diane Kruger)と彼女の夫でドイツ軍兵士のテノール歌手Nikolaus Sprink(Benno Fürmann)は、塹壕で聖歌を披露するのだが…。実話に基づき映画化。(作品の詳細はこちら


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ひっそりと続けているDaniel Brühlの1人祭り。日本語タイトルは分かりやすいが、オリジナル・タイトルからはまさかこんなストーリーが展開するなどとは、思ってもみなかった。第1次世界大戦下の塹壕戦のさなかに起きた、「クリスマス休戦」の事実をもとに作られた作品で、まさしくクリスマスの奇跡である。派手なアクションなどはない代わりに、戦地に生きる各軍の指揮官たちや兵士たち、そして彼らの思いを、丁寧にすくいとって描き出している。

残念だったのは、最後にAnnaとNikolausのとった行動で、あれは夫が戦場に残り、妻は一人で帰る展開のほうが良かったな。まぁ、本を正せばこのクリスマス・コンサートも、Annaが前線にいる夫に会いたい一心から思いついた企画で、戦場の兵士たちを慰問しようという純粋な気持ち(もあったとは思うが)からではなかったし、女一人が戦地に赴くという無謀な企画が実現したのも、皇太子がAnnaの熱烈なファンだったからで、彼女にとっては幸運の連鎖が生み出した結果なのだ。やり方がズルいよね、あの皇太子なら絶対にOK出してくれるって確信していたに決まってるから。


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さてドイツ軍に届いた何本ものクリスマス・ツリーに、スコットランド軍が奏でるバグパイプの美しい音色、そしてドイツの歌手が歌うアリア。Nikolausの美しいテノールにつられて、つい口ずさんで歌っていた両軍の兵士たちは、不思議なもので次々に塹壕の外に出ていった。音楽は人の心に潤いをもたらし、ささくれた気持ちを癒してくれると信じて疑わない私にとって、このシーンは感動的でとても嬉しかった。猫のエピソードにも目頭が熱くなりました。各軍の現地指揮官たちは互いに酒を酌み交わし、兵士たちもフランスのシャンパンで敵味方なく乾杯して、イヴの夜を迎える。

ところがこのクリスマス・イヴの奇跡は美談として終わったのかと思いきや、感動的な夜のあとには、過酷な現実が待ち受けていた。戦地から遠く離れた安全圏内で無謀な指示を出す国や軍の上層部、軍隊教育を受け現地に配置された指揮官たち(中間管理職の苦悩をDaniel Brühlが好演していた)、そして兵士として戦場に駆り出され敵兵を殺す、肉屋のおやじ・菓子屋や八百屋や呉服屋の主人・農夫・木こり・漁師…などの一般市民。戦争がどれほど愚かで悲惨な行為なのか、戦場に出なくては分からない。とか言ってるうちに、今年もあと2ヶ月余りでクリスマスです(驚愕)


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# by amore_spacey | 2018-10-23 00:52 | - Other film | Comments(0)

リスボン特急 (Un flic)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 表向きはパリのナイトクラブの経営者だが、実はギャングという裏の顔を持つSimon(Richard Crenna)は、仲間の3人と銀行を襲撃し大金を強奪した。一方、パリ警視庁のEdouard Coleman刑事(Alain Delon)は、ある組織が税関とグルになって、麻薬をリスボン行きの特急で運び出すという情報をキャッチする。Simonら3人はヘリコプター作戦で、その麻薬を横取りした。捜査するうちに主犯がSimonであるとにらんだ。仲間を次々と検挙した刑事は、ついにSimonと対決する。だが2人はかつて、堅い友情で結ばれた戦友同士だった。(作品の詳細はこちら


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Alanが寡黙で渋い。彼だけでなく、誰も彼もが殆ど喋らず、目配せのみ。オープニングから15分近くセリフがないので、音声故障かと一瞬不安になった。海岸の道路、灰色の空の下に荒れ狂う海、まるで爆撃のような波の音。銀行を襲う一団。彼ら4人が乗る車に打ちつける雨。事件が起きる前の情景がとても印象的で、映画にぐいぐい引き込まれる。ブルーを基調としたドライでクールな映像が、ノワールの世界を引き立てる。


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犯罪者をやらせると魅力炸裂のAlanが、今回は警察署長を演じている。悩殺レベルの格好良さだ。かつての戦友Simonも、Alanに負けず劣らず渋くてダンディなのだ。この2人の間に登場するのが、美しいCatherineである。Simonの妻、そしてSimonと旧友の警察署長と不倫関係にある。綱渡り的な危ういポジションなのに、Cahterineの美しさだけが前面に出てしまい、何となく場違いな感じすらする。看護師に成りすました時の彼女は、まさにとってつけたようで笑えました。結局彼女が全てを破滅させてしまうのだが、重要なキーパーソンにもかかわらず、踏み込みがもう1つ足りないというか、この時期の彼女は、女優としてはまだまだ…という気がしないでもない。


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Simonら4人の強盗グループが列車とヘリコプターに分乗し、ヘリコプターからワイヤーロープを使って、疾走中のリスボン行きの特急列車に忍びこみ、麻薬を盗み出すシーンは、1つ1つが驚くほど詳細に描かれ、臨場感溢れていた。が、ミニチュア模型の列車とヘリコプターが、撮影に使われているのは一目瞭然で、これは興醒めでした。

しかし全体に流れる暗いムードはまさに仏ノワールの世界で、理屈を捏ね繰り回しながらではなく、雰囲気や感覚で観る映画でしょう。結末もノワールらしい物悲しさが漂い、割り切れない苦い思いが残る。


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# by amore_spacey | 2018-10-18 00:52 | Alain Delon | Comments(0)

イケメン帝国!イタリア

先日立ち寄った独逸イケメン帝国! に触発されて、イタリアヴァージョンをやってみました。有望な30代のイタリア人役者7名です。北欧・南西アジア・中南米ヴァージョンも面白そうだなぁ。

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Alessandro Borghi…1986生まれの32歳。イタリア映画で活躍、昨年はヴェネチア国際映画祭でパドリーノを務めた。シャープでクールで気さくなイケメン。私の一押し。


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Luca Marinelli…1984生まれの34歳。『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』のセンセーショナルな役で、人気を不動のものにした。目じからが半端ない。彼も私の一押し。


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Michele Riondino…1979年生まれの39歳。イタリア映画に出演。眉毛と目がチャームポイント。


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Alessio Vassallo…1983年生まれの35歳。イタリア映画やTVドラマで活躍。涼しげな目元がチャームポイント。


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Davide Iacopini…1984生まれの34歳。舞台デビューした後、TVドラマで活躍。童顔が母性本能を刺激する。


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Domenico Diele…1985年生まれの33歳。舞台デビューした後、イタリア映画やTVドラマで活躍。謎めいた視線に悩殺。


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Matteo Martari…1984生まれの34歳。イタリア映画やTVドラマで活躍。一度見たら忘れない顔立ち。


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# by amore_spacey | 2018-10-15 00:02 | My talk | Comments(2)

パリの灯は遠く (Mr. Klein)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 1942年、ナチス占領下のパリ。美術商のRobert Klein(Alain Delon)は、国外脱出するユダヤ人たちから美術品を安く買い叩いて儲けた金で、戦時中にも関わらず優雅な暮らしを送っていた。しかしある日、自分と同姓同名の男が存在する事を知り、れっきとしたフランス人であるはずの彼の生活が、思わぬ方向に進み始める。もう一人のMr. Kleinは、ユダヤ人だったのだ。(作品の詳細はこちら


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日本語のタイトルから、秋のパリを舞台にした悲恋物話を想像していた。が、冒頭から衝撃的なシーンが待ち受けていまして、ショック。全裸になった女性が、診察室で無造作に唇をめくられ、鼻に定規を突っ込まれて角度を図られている。身体の特徴からユダヤ人判定をする屈辱的な「身体検査」で、これぞ恐怖のファシズムだ。後半には大勢のユダヤ人たちやKleinが収容された、アウシュビッツの中継施設として改築が進められている競輪場の、非人間的・非日常的な光景。そして群集の波に呑み込まれるようにアウシュビッツ行きの収容列車へと押しやられ、気がついたらKleinは乗ってはいけない列車に乗っていたラストシーン。暗闇にパッと浮かび上がる彼の顔。ザワザワした嫌な感情が、ラストシーンで最高潮に達する。何とも後味の悪い作品だ。


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誤って配達された「ユダヤ通信」を、その場で処分すればよかったのに、Kleinはこの通信に拘った。そしてもう1人のMr.Kleinを捜し始めてしまう。初めは軽い好奇心と、身の潔白を証明するためだったに違いない。彼は確かに自分の近くにいるのに、なぜかいつもすれ違いに終わる。諦めてそこでよせばよかったのに、Mr.Klein捜しが頭にこびりついて離れない。抗いがたい力に引き摺られて、いつしか狂気じみた執着に変わって行く。追ってはいけないものを追いかけると、痛い目に遭うって分かっているのに。


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重苦しい空気に包まれ、ざわざわした気持ちを抱えながらも、この作品には謎解き感覚で楽しめる部分がある。自分と同姓同名の男を捜すという探偵ミステリー仕立てなので、この男は何者でどこで何をやっているのか?Kleinでなくても気になる。しかし肝心のMr. Kleinは、とうとう最後まで姿を見せない。それが却って強烈な存在感を放つのだ。ラストに向かってKleinがMr.Kleinに徐々に重なり合っていく。最後に2人がピタリと一致した時は、既に時遅し。スリリングで見事なラストシーンだった。だから、やめとけって言ったんだよ。


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# by amore_spacey | 2018-10-14 00:06 | Alain Delon | Comments(2)