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エマの瞳 (Il colore nascosto delle cose)

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【あらすじ】 ローマの広告代理店に勤めるTeo(Adriano Giannini)は、典型的なプレイボーイで、恋人や愛人や家族とは適度な距離を置いて、仕事漬けの毎日を送っている。ある日、白杖を頼りに暗闇の中を進むワークショップに参加した彼は、アテンドスタッフとして働いていた盲目の女性Emma(Valeria Golino)の声に魅せられる。
  思春期に視力を失った彼女は、フランス人の夫と離婚したのち、理学療法士として自立して生きている女性だった。Teoは急速に彼女に惹かれ、二人は関係を深めていくが、その一方で彼は恋人Greta(Anna Ferzetti)と向き合えないでいた。(作品の詳細はこちら


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理学療法士として生計を立てている盲目の女性と、心の底にわだかまりを抱えながら広告代理店に勤める男性の、中年男女の恋の物語。Emmaは盲目というハンディを乗り越え、手に職をつけて前向きに生きている。一方、女性関係にだらしないTeoは、絵に描いたような広告代理店社員の派手な暮らしぶりだが、表面的なカッコよさで自分を武装しているところがあり、間もなくEmmaはそれを見破る。

彼は幼い頃に負った傷が癒されないまま、家族へのネガティブな感情と未だに折り合いがつかず、寂しさや孤独に引き込まれないように、いつも人と繋がっていないと落ち着かない。チャラくて不誠実でロクデナシのTeoは、大人になっても自分から逃げている、最後の覚悟が出来ない男なのだ。

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Valeria Golinoは円熟した演技で、まさにEmmaそのものでした。気取らず飾らず気さくで可愛らしく、自立して凛と生きている。誰もが持つ人間の感情をごく自然に見せ、盲目をハンディと考えず、必要以上に特別視しない。Emmaからフランス語を習う少女Nadia(Laura Adriani)は、盲目の自分に憤り母親にも反抗的な、思春期真っ只中の女子高生ですが、愛情と説得力のあるEmmaの言葉にそっと背中を押されて、最初の一歩を踏み出していきます。

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家族との関係を頑なに拒んでいたTeoも、Emmaと知り合ってから、心のシコリが徐々に和らいでいき、新たな一歩を踏み出しました。彼を演じたAdriano Giannini(Giancarlo Gianniniの次男)、女たらしのクズっぷりと自分の世界に引き篭もった時の演じ分けが上手く、憂いに満ちた表情のセクシーなこと!濃厚なキスのあとベッドインの流れで、半ば強引にあの場を丸くおさめたのは、、、映画の世界ですから、大目に見ましょう(苦笑)

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ルームメイトで弱視の親友Patti(Arianna Scommegna)が、良い味を出していました。ストレートな物言いだけど、気心の知れた愛情に満ちているんです。EmmaとTeoとPattiの三人のシーンは、とても楽しそうで微笑ましかったなぁ。こうしてみんな、持ちつ持たれつで生きているんですよね。あのラストも良かった。ダイアログ・イン・ザ・ダークは、ぜひ参加してみたいワークショップです。


by amore_spacey | 2020-01-13 01:33 | - Italian film | Comments(0)

不滅の恋/ベートーヴェン (Immortal Beloved)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (81点)

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【あらすじ】 1827年、ウィーンで一人の偉大な作曲家Ludwig van Beethoven(Gary Oldman)が、息を引き取った。彼の遺書には、「私の楽譜、財産の全てを“不滅の恋人”に捧げる」とあったが、それが誰を指すのか、誰にも分からなかった。彼の弟子で親友のAnton Schindler(Jeroen Krabbé)は、莫大な財産を欲しがる親戚たちを説き伏せ、Beethovenの本当の心を知るため、彼女に当てた3通のラブレターを手掛かりに、“不滅の恋人”を捜し始める。(作品の詳細はこちら)  


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音楽家シリーズ第3弾はBeethoven。生涯を独身で通した楽聖の遺書に書かれた“不滅の恋人”のラブレターを巡って、弟子のSchindlerがBeethovenの人生に影響を与えた女性たちを訪ね、事の真相に迫る物語で、ちょっとしたミステリー仕立てになっています。この作品で断然目を引いたのは、Gary Oldmanの演技でした。誰もが知っているポピュラーな人物を演じるのは、決してたやすいことではないのに、当時36歳のGaryが実に見事に演じているのです。よくあるステレオタイプなBeethovenではなく、視聴者の心に自然に入ってくるような、どちらかと言えば控え目(『レオン』のイカれた切れっぷりが強烈なだけに、とんでもないオーバーアクションだったら、どうしよう?なんてのは取り越し苦労でした)ながらも、心の中に幾重にもさざ波が立つような素晴らしい演技でした。

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カリスマ性のある作曲家、その素顔は傷つきやすく繊細。女性たちから愛され、彼も好意を寄せた女性たちに惜しみない情熱を注ぐ。しかしどんどん耳が聞こえなくなっていく恐怖や、耳が聞こえないことを愛する人に知られた瞬間の、胸が重苦しく哀しく、絶望に打ちひしがれた気持ち。ピアノに耳をつけて『月光』を弾くLudwig、聴衆の拍手喝采をようやく目にした彼の、安堵とも幸せとも満足ともつかない恍惚の表情。様々な年齢の様々な状況に置かれたBeethovenの内面を、Garyは彼が感じたままを丁寧に演じていました。

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波乱に満ちた人生を送ったBeethovenの人間的な部分を知り、そんな彼をGary Oldmanが演じ、女性たちとの仄かなエロスも作品の魅力を深め、しかも歴史的な名曲(大部分がGeorg Solti指揮、ロンドン交響楽団の演奏)を堪能できたのは、至福のひとときでした。それにしても、Johanna(Johanna ter Steege)に宛てた手紙が、切なすぎるじゃありませんか。



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by amore_spacey | 2019-10-27 00:52 | - Other film | Comments(0)

レインマン (Rain Man)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 高級外車のディーラーをしているCharlie(Tom Cruise)の元に、父の訃報が届いた。若い頃に家を飛び出して以来、一度も帰っていないが、事業に失敗した彼は、遺産目当てに故郷に戻る。
  ところがCharlieに遺されたのは、家出の直接の原因となったクラシックカーだけで、遺産の300万ドルは今まで会った事もない兄Raymond(Dustin Hoffman)の手に渡ると聞かされた。しかも兄はサバン症候群を患い施設で暮らしているという。Charlieは何とか金を物にしようと、彼女のSusanna(Valeria Golino)と一緒に施設を訪ね、Raymondを誘拐も同様に連れ出して、LAに戻ろうとするのだった。(作品の詳細はこちら


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当時人気上昇中のイケメンTom Cruiseと渋いベテラン役者Dustin Hoffmanが、心に迫る渾身の演技を見せてくれました。チャラそうなCharlieがサバン症候群の兄に振り回される数々のエピソードには苦笑したが、Rain Man=Raymondと気づく瞬間や、兄弟が一緒に踊るひととき、施設に戻る兄を見送るラストシーンには、目頭が熱くなりました。交流能力がないと思われた兄と、実は心のキャッチボールが出来るのではないかと感じ始めてからのCharlieの変貌には、静かで力強い感動を覚えます。家族のぬくもりを知らず、人の愛し方が下手でやや横暴なCharlieの、不器用な優しさに思わずほろり。感情表現がうまくできないRaymondが、弟に対して少しずつ関心を示していく過程は見事でした。

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Charlieの彼女を演じたValeriaが、今や女優だけでなく監督も務め、イタリア映画界を引っ張ている1人だ。まさかこんなに息の長い役者に、そして監督にまでなるなんて、あの時は想像もしなかったなぁ。この作品でTomをちょっぴり見直したが、コレを観るまでは、オレ様な雰囲気満載の彼が、どうしても好きになれませんでした。

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自分の気持ちの伝え方や愛情表現の難しさは、誰もが抱えている問題で、他人にはもっともらしいことを言えるのに、自分がその立場になると、ぎこちなくなってしまう。どんなに言葉を尽くしてもそこには限界があり、皮肉なことに一生懸命になればなるほど、心が離れ分かり合えなくなることすらある。それでも何とか寄り添いたいと思うのが、人間ってもんではないでしょうか。哀切に満ちたテーマ曲(←音が出ます!)を聞くたびに、ほろ苦しい懐かしさや不思議な郷愁に駆られて、身悶えしそうになります。


by amore_spacey | 2019-10-12 00:01 | - Other film | Comments(0)

36 Quai Des Orfevres (あるいは裏切りという名の犬)

私のお気に入り度 ★★★★☆(88点)

ネタばれあり。

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【あらすじ】 パリ警視庁の警視Léo Vrinks(Daniel Auteuil)とDenis Klein(Gérard Depardieu)は、互いにライバル心を抱き、次期長官の座を争っていた。現金輸送車強奪事件でDenisが犯したミスによって、Léoの親友Eddy Valence(Daniel Duval)の命を奪ったのを機に、2人はますます対立の様相を深めていく。そして意外な結末を迎えることになる。 実際に警察官だった経歴を持つOlivier Marchal監督が、共同脚本として本作に関わった元刑事の経験したエピソードをヒントにして、警察組織内部を描き出した作品。(作品の詳細はこちら


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イヴの夜にふさわしい作品とは言えないが、この作品が大好きで、また観てしまった。元刑事が拘わったエピソードをベースにしているだけあって、リアルで生々しく、緊迫したドラマが繰り広げられる。リメイク版もあるが、やはりパリの裏社会や警察組織が舞台ならではの醍醐味があり、正統派フレンチノワールと言える。それにしても警察たちの面々が、マフィア軍団と大差ないのにびっくり。長年この手の仕事に携わると、顔つきも変ってくるってもんだ。


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Valeria Golinoの活躍が嬉しい。『レインマン』の頃より艶っぽく綺麗になった。世界の舞台に出ている他のイタリア女優に比べて(Monica姐とか…)、派手さはないものの、コツコツと地道に揺るぎない独自の世界を築き上げている。力みのない自然体の彼女に、とても好感が持てる。Riccardo Scamarcio、彼女を手放すんじゃないよ。


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権力の座を獲得して社会的には成功を収めたかに見えるが、精神的には崩壊中のDenis。そんな彼にピストルを突きつけながら、友人の命を奪わなかったLéoには、人間として守るべき誇りがあり、最後の一線を越えなかった。ああ、台詞がなくても、2人がいるだけでぐっと来る。アップになったGérard Depardieuの、隠微で異様な形&桁違いにデカい鼻にも圧倒された。音楽がこれまた秀逸♪ 

で、この邦題( ̄~ ̄;) ここまで大きく空振りしているのも珍しい。この潔い的外れっぷりに、座布団10枚!


by amore_spacey | 2015-12-25 18:06 | - Other film | Comments(0)

Miele (ミエーレ)

私のお気に入り度 ★★★☆☆(78点)

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【あらすじ】 Irene(Jasmine Trinca)はMieleという偽名で、回復の見込みがなく尊厳死を望む末期の病人に、薬物を提供している。自殺幇助という非合法ビジネスに携わるが、依頼人は末期患者に限定されていた。ある日Carlo(Carlo Cecchi)という厭世的な老人に、薬物を誤って渡してしまい、Ireneの平穏な生活が揺らぎはじめる。Valeria Golinoが監督に挑んだ長編第1作。


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『Piano, solo』(2007年)以来、久しぶりに見るJasmine Trincaが、まるで別人になっていたのには驚いた。ふっくらしていた顔や身体がシャープになり、視線はとても鋭利でスッパリ斬られてしまいそう。ストイックでナイーブな雰囲気が、彼女の美しさを際立たせる。笑った時に見えるビーバーのような前歯が、とてもチャーミング^^

Carloとの出会い、そして誤解から始まった2人の交流。最初はギクシャクして噛み合わないが、心の内を明かすにつれ、深いところへ踏み込んでいく。尊厳死や安楽死は、聞こえのよい言葉に置き換えた立派な殺人である。脳死の定義で物議を醸したように、尊厳死も線引きがひじょうに難しい。尊厳死を選ぶ人やその家族やこれに手を貸す人々の倫理感が問われる。Carlo Cecchi、うまいなぁ。Vinicio Marchioniってば、どーしようもないヤツだ。

製作国:Italy
初公開年:2013年
監督:Valeria Golino
キャスト:Jasmine Trinca, Carlo Cecchi, Libero De Rienzo, Vinicio Marchioni, Iaia Forte, Roberto De Francesc, Valeria Bilello ...


by amore_spacey | 2014-05-08 01:20 | - Italian film | Comments(0)

人間の値打ち (Il capitale umano)

私のお気に入り度 ★★★★☆(85点)

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【あらすじ】 クリスマス・イヴの夜。北イタリアの街Brianzolaの県道で、自転車に乗った男がジープにひき逃げされた。目撃者の証言によりこの事件に、機関投資家Giovanni(Fabrizio Gifuni)とCarla(Valeria Bruni Tedeschi) の裕福なBernaschi夫妻の1人息子Massimiliano(Guglielmo Pinelli)と、破産間際にある不動産業者Dino(Fabrizio Bentivoglio)と精神科医Roberta(Valeria Golino)の中産階級のOssola夫妻の1人娘Serena(Matilde Gioli)が絡んでいることが分かった。そしてひき逃げ犯を捜査するうちに、意外な真実が明るみに出る。


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観終わったあと、言い表せない重苦しい感情に包まれた作品だった。ストーリーは淡々と進んでいく。私情を挟まない。声高な主義主張やスローガンも見当たらない。そういう厳然たる現実がある、明確なのはそれだけ。この乾いた展開が却って、どうにもならない現実をより際立たせ、「そうなんだ」と認め諦めざるを得ない。それでも割り切れない嫌な感情が、残響音のようにいつまでもくすぶり続ける。

21世紀の新興ブルジョワ階級にのし上がった有能な金融トレーダーGiovanniや、何とか窮地を脱しようともがく破産寸前のDinoは、かつてないこの不況を乗り切るためなら、なりふり構わず何だってやる。モラルや良識なんて、とうの昔に忘れてしまった。そうしなければ、自分も家族も路頭に迷ってしまう。食うか?食われるか?現実は厳しい。そんな彼らを、どうして責めることができようか?極秘に裏取引きをしたDinoやGiovanniの妻Carlaにしても、別のやりかたで真実を明らかにすることができたのに、と言うは易し。私が彼らの立場だったら、同じ手段を選んだと思う。


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そんな薄汚れた大人の中で、ひっそりと、しかし毅然と健気に生きているのが、Dinoの1人娘Serenaだ。何者にも汚されない純粋な思い。厳しい不況の中で、大人たちが見失ってしまったモラルや正義のようなもの、それを彼女はまだ手放していない。真実を見ようとする、彼女のぶれない堅固な意思が、この作品の大きな救いである。


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タイトルのIl capitale umano=人的資本は、人間が持つ能力(知識や技能)を資本として捉える。この作品の場合、県道でひき逃げされた男の人間的価値で、年齢・性別・社会的地位(職業)・資格・年収・所有財産・家族の有無など、全てを指す。彼の人的資本は約3000万円と弾き出された。

製作国:Italy, France
初公開年:2014年
監督:Paolo Virzì
原作:Stephen Amidon 'Human Capital'
キャスト:Fabrizio Bentivoglio, Valeria Golino, Valeria Bruni Tedeschi, Fabrizio Gifuni, Luigi Lo Cascio, Matilde Gioli, Guglielmo Pinelli, Giovanni Anzaldo ...


by amore_spacey | 2014-03-14 02:28 | - Italian film | Comments(0)

A casa nostra

私のお気に入り度 ★★★☆☆(75点)

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【あらすじ】 ミラノ。格式のあるレストランでランチをとりながら、銀行の幹部Ugo (Zingaretti)と起業家が黒いビジネスの打ち合わせをしている。この黒い取引き及びUgoの一部始終を盗聴するのは、財務警察の隊長Rita (Valeria Golino)。Ugoの情婦で高級娼婦のElodie(Laura Chiatti)。しがないスーパーの店員Gerry(Luca Argentero)。彼の妻(Valentina Lodovini)は病院の看護士。旧東ヨーロッパからイタリアに来て娼婦をしているBianca(Cristina Suciu)。ガソリン・スタンドの職員(Giuseppe Battiston)。彼らもミラノの片隅でささやかな暮らしを営んでいる。一見何のかかわりもない人々が、どこかですれ違っている、関わり合いを持っている。そんな商業の街ミラノ。


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これぞ、Francesca Comenciniワールド!!! グレーで憂鬱な雰囲気が立ち込めるミラノ、かすかな希望すら見出せない街。21世紀のイタリアを象徴している。こんな作品を観ると、重苦しくて暗澹たる気持ちになる。先が見えない時代に生きているからこそ、現実にきちんと向き合おう。というスタンスに一理あり。でも後腐れのないさらっとした作品を見て、もやもやした気持ちから解放されたい、という思いも強い。後者の場合、本作品はハズレ。あ~あ、正義は存在しないんだな。結局とかげの尻尾が切り落とされるだけだ。貧乏くじを引いたGerry、お前が悪いんだ。


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悪役Luca Zingarettiが、ふてぶてしくて実に嫌なヤツだ。心の底から憎悪が沸いてくる。正義の味方Montarbanoと正反対の役どころだが、演じ分け方が実に上手い。


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脇役の常連Giuseppe Battistonも光っている。何日も洗っていないべっとりした髪の風采の上がらない男。見栄えが悪く、臆病で口下手、閉鎖的でうまく人間関係が築けないが、彼は心根の優しい男。Valeria Golinoは『レインマン』の頃から、少しも歳をとらない、サイボーグのような女優だ。

製作国:Italy
初公開年:2006年
監督:Francesca Comencini
キャスト:Valeria Golino, Luca Zingaretti, Giuseppe Battiston, Laura Chiatti, Luca Argentero, Fabio Ghidoni, Valentina Lodovini, Cristina Suciu, Jonathan Banks ...


by amore_spacey | 2013-10-16 01:08 | - Italian film | Comments(0)

La kryptonite nella borsa (バッグにはクリプトナイト)

私のお気に入り度 ★★★☆☆(70点)

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【あらすじ】 1970年代のナポリ。9歳のPeppino(Luigi Catani)は、パパAntonio(Luca Zingaretti)・マンマRosaria(Valeria Golino)・若き叔父Salvatore(Libero De Rienzo)・若き叔母TiTtina(Cristiana Capotondi)・祖母と、ちょっと騒々しくも微笑ましい大家族に囲まれて暮らしている。そんなPeppinoには、自分がスーパーマンだと信じている風変わりな従兄Gennaro(Vincenzo Nemolato)がいた。しかしPeppinoの心の支えだったGennaroが突然事故死する。その上Peppinoのマンマは夫の浮気を目撃したショックで、寝込んでしまう。そんなこんなで家族の調和が崩れ始め、Peppinoは先行き不安な生活に向き合うことになる。タイトルのクリプトナイトは、スーパーマンの唯一の弱点となる鉱物の名前。


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物語がどっちに向かっているのかさっぱり見当がつかず、「何だかなぁ?」ともやもやしているうちに作品が終わった。70年代に流行ったヒッピーやファッションや音楽は十分堪能できるが、う~む。Luca ZingarettiはIl Commissario Montalbanoの警部役で、つるんとしたやかん頭がトレードマークとして定着しているだけに、本作品のような中途半端に髪のある彼って、イタリアの磯野波平?な感じで、違和感あるな。妙に中年の嫌らしさが漂ってるし(苦笑) Capotondiちゃんは、いつ見てもキュートで可愛い(*^^*)

製作国:Italy
公開年:2011年
監督:Ivan Cotroneo  
キャスト:Valeria Golino, Luca Zingaretti, Cristiana Capotondi, Libero De Rienzo, Luigi Catani, Vincenzo Nemolato, Fabrizio Gifuni ...


by amore_spacey | 2012-09-17 00:46 | - Italian film | Comments(2)

Lascia perdere, Johnny! (よせよせ、ジョニー!)

私のお気に入り度 ★★★☆☆(74点)

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【あらすじ】 1976年、カゼルタ。 ミュージシャンを目指しているFaustino(Antimo Merorillo)には、兵役の義務が待っている。兵役免除の唯一の条件は、職に就いていることを証明することだった。トランペット奏者のマエストロDomenico(Toni Servillo)率いるどさ回りのバンドで、エレキギターを弾いていたが、このバンドの解散が決まり、Faustinoは途方にくれていた。しかしタイミングよく興行主のRaffaele(Ernesto Mahieux)が、ミラノから有名なピアニストAugusto(Fabrizio Bentivoglio)を呼び寄せ、新たなバンドが結成された。チャンス到来、と思いきや…。Fabrizio Bentivoglioの初監督作品。


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Fabrizio Bentivoglioの風貌が、まさに気まぐれな芸術家そのもの(^^) やる気があるんだかないんだか、本気なんだか出任せなんだか?よく分からない人だ。興行主も胡散臭いし、バンドのメンバーもにわか仕立ての寄り合い所帯みたいなもんだし、先行き不安なのは今のイタリアそのもので、思わず苦笑。そんないい加減な大人たちの中で、Faustinoといったら、まぁ、逆切れもせずよく黙ってついて行ったもんだ。何だかんだありながら、結局彼も兵役に就くことになるんだろうけれど、その前に変な大人たちに揉まれたのは、いい経験になったんじゃないかな。


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Toni Servilloにはビックリした。ズラやメイクで化けるのが、本当に好きなのね。首相役から今回のような出っ腹&酔っ払いマエストロ役まで、守備範囲がエンドレス。一人舞台で何役もやらせたら、絶対に面白いに違いない。Faustinoのマンマを演じたLina Sastriは、素敵な女性だ。

製作国:Italy
初公開年:2007年
監督:Fabrizio Bentivoglio
キャスト:Antimo Merolillo, Ernesto Mahieux, Fabrizio Bentivoglio, Lina Sastri, Valeria Golino, Toni Servillo, Peppe Servillo ...


by amore_spacey | 2011-10-21 00:18 | - Italian film | Comments(0)

ジュリアは夕べに出かけない (Giulia non esce la sera)

私のお気に入り度 ★★★☆☆(70点)

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【あらすじ】 小説家として順調にキャリアを積み、大きな文学賞にもノミネートされたGuido(Valerio Mastandrea)だが、妻のBenedetta(Sonia Bergamasco)や娘のCostanza(Domiziana Cardinali)とはいまひとつ上手くいっていなかった。そんな中娘が通う水泳教室で魅力的なインストラクターGiulia(Valeria Golino)に出会う。教室に通うことになったGuidoは、やがてGiuliaを夕食に誘うが、彼女には夜外出できない深い理由があった。



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ちょいカッコよさげに見えるんだけど、貧乏くじを引くことが多くて何かどこかうまくいかない、相手に強く出ることができない気の弱い役柄の多いValerio Mastandreaが、今回も期待通り白黒はっきりしない曖昧な心模様を演じてくれました。

小説と現実世界が入り混じるシーンには、イマイチ入り込めなかったけれど、プールで泳いでいる時の、ただ水に潜っているだけの時の、全てから解放される無の感覚、あれはみているだけでも気持ちがいい。私も水の虜になりプールに通っている。Guidoが娘のCostanzaと一緒に出かけたある文学賞の授賞式のパーティで、テーブルに並んでいた色んなチョコを2人で分けっこしながら摘むラストシーンは、言葉がなくてもふっと分かりあえるような、なんだかちょっといい雰囲気でした。

製作国:Italy
初公開年:2009年
監督:Giuseppe Piccioni
キャスト:Valerio Mastandrea, Valeria Golino, Sonia Bergamasco, Lidia Vitale, Chiara Nicola ...


by amore_spacey | 2010-05-08 02:02 | - Italian film | Comments(4)