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幸せの椅子 (La sedia della felicità)

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【あらすじ】 ヴェネツィア近郊の海辺の町でエステサロンを営むBruna(Isabella Ragonese)は、借金がかさみ経営難に陥っている。そんなある日彼女は、服役中の顧客の女囚Norma(Katia Ricciarelli)から、亡くなる直前に耳元で、自宅の屋敷の居間にある椅子に、財宝を隠していることを告げられた。Brunaはエステサロンの向かいにあるタトゥー店のDino(Valerio Mastandrea)と共に女性の屋敷を訪れるが、椅子はすでにそこにはなかった。
  BrunaとDinoが椅子を求めて奔走する一方で、Normaの最期に立ち会ったWeiner神父(Giuseppe Battiston)も、亡くなる直前に同じことを耳元で囁かれ、椅子の行方を追っていた。2014年に57歳で亡くなったCarlo Mazzacurati監督の遺作。(作品の詳細はこちら) 


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話が一体どこに向かっているのかちょっと分からない上に、椅子に隠された財宝という設定が現実離れしたおとぎ話のようで、なかなか作品に溶け込めなかったが、合間に出てくるヴェネツィアやポー川流域や山岳部の景色がとても美しく、最後に椅子を追う二人が、雪の残る高い山頂を目指して、ロバの背に乗って歩いていくシーンは、心に焼きついている。彼らが椅子を探す道中で拘わる人々は、変わり者が多いけれど、相手を温かく優しく包み込み、テンパッている彼らの気持ちをひとまず落ち着かせてくる、有難い存在でした。世の中、金がなくちゃ回っていきませんが、金では得られないものもたくさんあるんです。

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Valerio Mastandreaは、軽いコメディや謎めいた男や絶望のどん底にいる男など様々な役どころを、彼らしい抑えの効いた表情や口調で淡々と演じ、その何ともいえない味わいに惹きつけられます。神父を演じたGiuseppe Battistonは、どんな役をやっても胡散臭いキャラがつきまとい、あのデカい体格と相まって存在自体が面白い。ValerioやGiuseppeの素朴な風貌がいいなぁ。女囚役のKatia Ricciarelliは、ベテラン女優でありながら、ほとんどカメオ出演?な感じで、すぐに退場しますが、彼女もコメディからシリアスまで守備範囲が広く、おまけにオペラ歌手でもあり、天は二物も三物も彼女に与えたんですねェ。

借金を抱えて閉店に追い込まれるかもしれないBruna、離婚後の養育費の支払いに悩まされるDino、お金に困っているWeiner神父の3人、立派な大人が椅子探しにドタバタ右往左往する姿は、ばかばかしいほど滑稽なのですが、今日のごはんにも困るような経済困窮に見舞われたら(見舞われなくても、好奇心から)、私も椅子探しに参加すると思います。


by amore_spacey | 2019-11-23 01:16 | - Italian film | Comments(0)

幸せな感じ (Euforia)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (81点)

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【あらすじ】 Matteo(Riccardo Scamarcio)は新進気鋭の企業家として成功し、優雅な生活を手に入れて自由な人生を謳歌している。しかし実家にはあまり帰らなかった。彼の実家には中学校の教師で内向的で実直な兄Ettore(Valerio Mastandrea)が、母親と暮らしている。見た目や性格から暮らしぶりに至るまで、まるで対照的なMatteoとEttoreは、決して仲が良かったとは言えない兄弟だが、Ettoreの病気をきっかけに、知らなかったお互いの事を知る。そして2人の関係は徐々に変わり、家族の絆を取り戻していく。(作品の詳細はこちら


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Valeria Golinoの監督2作目。脳腫瘍で余命幾ばくもない兄と、それを隠し続ける弟の関係を中心に、兄弟や家族の愛情を描いている。シリアスな中にユーモアが(チョイチョイ際どい笑いなども)いい感じに織り込まれ、素晴らしいキャスティングにも恵まれて、ともすれば重くてお涙頂戴に陥りがちな題材を、さらりと扱った。この作品にはイタリアの日常生活を切り取ったようなところがあり、映画を観ているという感じがホントになかった。こんな雰囲気の中によく居るからかもしれません。特別な日でもないのに、マンマの家に家族や友人が集まって一緒に過ごす。部屋(必ずしも同じ部屋に集合ではなく、応接間やキッチンやベランダなど、バラバラに別れていることもある)のあちこちに2~3人の小さな島が出来、勝手気ままな話題で盛り上がったり、突然けたたましい笑いが聞こえてきたりする。話が途切れて静まり返っても、不思議と気まずい思いをしない。その静けさに気づいて、一斉に爆笑することだってある。どっしり構えた家の主(=マンマ)は、テキパキとその場を仕切る。ざわざわした中に他人も勝手にわさわさと出入りするが、そこには心地良いカオスがあるんです。

イタリア人は思ったことをはっきり言う印象を持っていたが、嫁いで来てどうやらそうでもないことを、色々な状況の中から感じる。もちろんズケズケと遠慮なく言う輩もいますが、言っても後腐れがそれほどない。もともと人間って不器用なもんだから、兄弟姉妹や夫婦や家族や友人や同僚など、人との関係にはどうしても曖昧な感情が生じやすい。そこで白黒はっきりつけるのか(以前の私がコレ)、曖昧なまま良い意味で流されていくのか。この曖昧でちょっぴり気まずい空気が、作品の中によく登場する。家族と大喧嘩して疎遠になったのではなく、ゲイである自分が実家に顔を出せば、きっと家族に迷惑をかけてしまう、だから実家にはあまり顔を出さないほうが良いだろうと思っている弟Matteo。が、これは彼の取り越し苦労だった。息子の恋愛話になり、「あの時はこの子(=Matteo)、まだゲイじゃなかったのよ」とマンマが笑い飛ばしているからだ。マンマの本当の気持ちはどうなの?息子がゲイでいい?ううん、やっぱり女性と結婚して孫の顔を見せて欲しい、でも本人がゲイとして幸せならそれでいい、の間で揺れ動いているのかもしれない。

『おっさんずラブ』で、「時間の積み重ねが恋になっていく」と書いたように、MatteoとEttoreの兄弟も、一緒に過ごす時間を積み重ねることによって、今まで知らなかったお互いの色々な事を知り(兄弟姉妹って血はつながっていても、意外とお互いのことを知らない)、そこで初めて一人の人間として相手を認識し尊重するようになる。その過程は仲良しごっこではなく、喜怒哀楽に満ちた人間味に溢れている。いい年した大人がケンカしたり子犬のようにじゃれ合ったり、かと思えば、ホテルに男を連れ込んだMatteoが、「30分だけ、そこで待っててよ」と言って、Ettoreに毛布と枕を持たせてベランダに放置する。自己中なMatteoとお人よし(気が弱くて嫌と言えない?)のEttore。一緒に泣いたり怒ったり、何でもないことに笑ったり昔を懐かしんだりしながら、目の前にいる人を丸ごと受けとめようとする、少なくとも様々な違いに目くじら立てたり、コトを必要以上に荒立てたりしない。まさに大人の関係だ。

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内側から滲み出てくるValerioの静かなオーラと、茶目っ気たっぷりで子犬のように愛らしいRiccardoの笑顔が、ぶつかり合うことなく自然に溶け合っていくのは、ベテラン役者の成せる業(わざ)でしょう。それにしてもRiccardoのエメラルド色の瞳の美しいこと!宝石よりも深い輝きを放っています。11年続いたValeriaとRiccardoの関係は破局を迎えたが、その後もプロとして互いに尊敬し合える、とてもいい友情を育んでいると言う。まぁ、なんて羨ましいんでしょう。


by amore_spacey | 2019-09-27 00:10 | - Italian film | Comments(0)

ザ・プレイス 運命の交差点 (The Place)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 バール『The Place』の一番奥の席、いつも同じこの席に、毎日どの時間に行っても、1人の男(Valerio Mastandrea)が座っている。テーブルにはぎっしり書き込まれた、黒い革の分厚い手帳が1つ。そこで食事をしたり珈琲で一服したりする彼のもとには、何人ものクライアントが入れ替わり立ち代わりやって来る。男は彼らの願いを聞き、それを叶える条件として、それぞれに特異な任務を与える。はたして彼らは、任務を遂行できるのだろうか?男が任務を与える理由とは?アメリカのテレビドラマ「The Booth at the End」にインスパイアされ映画化。(作品の詳細はこちら


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The Placeの赤いネオン。間もなくそれがバールだと分かる。カメラはバールの中へ、そして一番奥の一角に向かう。映画が終わるまで、カメラはそこに固定されたまま。だから舞台劇に近い。そこで1人の男が誰かと、向き合って話をしている。2人がどんな関係にあるのか分からない。次のシーンでは、男が別の女性と話している。というより、女性が顔を歪めながら、何かを必死に訴えるのをひとしきり聞いている。そして男はおもむろに分厚い手帳を手にとってパラパラ頁をめくり、何かを書きつけたあと、諭すようなしかし確固とした口調で女性に言葉をかける。


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そんなシーンが幾つも続くと、この男の存在が気になり始める。セラピスト?精神科医?胡散臭い宗教の勧誘?スピリチュアル系?人間の好奇心を刺激する、謎めいた男に扮するValerio Mastandreaが、絶妙で上手い。演じるというより、役者ではない素顔の彼がふらっとバールに来て、そこに座っているような自然さ。物憂げで気だるい所作や、苦渋に打ちひしがれた張りのない表情も、シナリオに沿って演じているのではなく、その日の様々な出来事が彼をそうさせているようだ。彼は善良なのか、邪悪なのか?そんなことをつらつら考えているうちに、気がついたら、バールの片隅に作り上げられた男の小さな世界に、引きずり込まれていた、という素晴らしい展開。さすがPaolo Genovese監督だ。


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瀕死の子どもを救いたい父親に、「人を殺しなさい」。神の声が聞こえなくなった修道女に、「妊娠しなさい」。アルツハイマーの夫を救いたい高齢の妻に、「バールに爆弾を仕掛けなさい」。視力を取り戻したい目の見えない青年に、「女性を強姦しなさい」。美しい容姿になりたい若い女性に、「強盗をしなさい」 …。男がそれぞれのクライアントに与える任務は、どれもこれも犯罪ばかり。しかも一見無関係に見える彼らが、どこかで繋がっているから、任務を遂行することで願いが叶う人もいれば、それによって悲劇を被る人も出てくる。表裏一体の任務。男は幸せの使いなのか?不幸の使いなのか?

しかしクライアントたちは、その関連性を知らない。絶望の淵に立つ人々が、自分のエゴのために、いけないと知りつつ犯罪に手を染めるのか、いやそれは幾らなんでも人間としてダメだと思いとどまるのか?エゴと願いを天秤にかける。究極の選択を迫られた時、人間性が深く試され、その人の本性が明らかになる。

クライアントたちはバールの男のところに何度も戻ってきては、任務を完遂させるための進行状況や、気持ちの変化を語っていく。カメラはバール内部しか映し出さないから、私たち視聴者は彼らの話や表情を手がかりに、背景にあるドラマや、映像として登場しない彼らの暮らしぶりや人間関係や心情など、様々なことを想像しつつ、作品の展開をそっと見守る。


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ところで男はこのバールにいて、人の話ばかり聞いているが、彼自身は自分の人生に満足しているのか?はけ口はあるのか?という疑問がふっと湧いて来る。大丈夫、このバールで働くAngela(Sabrina Ferilli)が、とびっきりの笑顔とある方法で、この男を癒してくれるんです。それは映画を観てのお楽しみ。


by amore_spacey | 2018-04-11 01:11 | - Italian film | Comments(0)

おとなの事情 (Perfetti sconosciuti)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 長年の友人である7人。Lele(Valerio Mastandrea)とCarlotta(Anna Foglietta)、Cosimo(Edoardo Leo)と Bianca(Alba Rohrwacher)の2組の夫婦とPeppe(Giuseppe Battiston)は、皆既月食の夜、Eva(Kasia Smutniak)とRocco(Marco Giallini)夫婦の家で開かれた夕食会に集まった。食事が始まって間もなくEvaが、親友や夫婦の間に秘密はないはずだから、全員携帯電話をテーブルに出して、夕食中に受信するメッセージや電話を、皆にオープンにするゲームをしようと提案する。その場の成り行きで、ゲームをすることになったが…。(作品の詳細はこちら


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本作品は夕食会の席で繰り広げられる辛口コメディの舞台劇で、『おとなのけんか』を彷彿させる。和やかに始まった夕食会で、あんな変なゲームをやってみない?なんて言い出すEvaってどうなの?実際にあんなことを言う人は、まぁ、いないでしょうが、やってみたら怖面白いかも。


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私たちの誰もが公的な顔とプライベートな顔を持ち、さらに自分だけの秘密を持って暮らしている。秘密の程度はピンきりで、人それぞれ。携帯電話の登場によって、この秘密(たとえば浮気)に拍車がかかったかもしれない。そう考えると、携帯と秘密の関係って、なんとなく隠微よね、うふふっ。固定電話の時代より、浮気のハードルが確実に下がった。

みんなの携帯電話には、一体どんなメッセージが届いているのかな?それが誰かの目に触れたら…。本作品でも息をつく間もなく、次々に小さなハプニングが起きる。そのたびに7人の間にはさざなみが立ち、次第に大きなうねりとなっていく。視聴者も、ハラハラ&ドキドキ。そして、「ああ、もう、絶体絶命!」な事件の勃発で、修復不可能なところまで行ってしまう。さあ、どうする?どうなる?いや、その前に、時間の長短はあるものの、それぞれのカップルは、一緒に暮らしてきた相手のことを、そこそこ知っていたつもりでいたのに、小さな亀裂によって、突然見知らぬ他人になってしまう怖さが、そこに隠されている。最後の1分に用意された、意外などんでん返しに、色々思うところがあり、面白かった。


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ゲームの行方以上に気になったのが、夕食会に登場したメニュー。スティック野菜やポルペッタ(肉団子)、ズッキーニの肉詰め?やじゃがいものニョッキのトマトソース、ミーとローフにローストポテト、そしてティラミス。お腹が空いたときに、観るもんじゃないわぁ。辛かった。


by amore_spacey | 2016-03-16 02:32 | - Italian film | Comments(0)

Viva la libertà (自由に乾杯)

私のお気に入り度 ★★★★☆(82点)

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【あらすじ】 野党の党首・Enrico Oliveri(Toni Servillo)は気が滅入っていた。選挙が迫るが支持率は低迷し、このままでは負けるのは確実だからだ。疲労困憊の彼はある日、突然失踪する。実はパリの元恋人Danielle(Valeria Bruni Tedeschi)の許に身を寄せていた。一方、党首がいなくなった野党は大混乱に陥り、腹心の部下Andrea Bottini(Valerio Mastandrea)と妻Anna(Michela Cescon)が知恵を絞った末の解決策は、Oliveriの双子の兄弟Giovanni Ernani(Toni Servillo)だった。しかし作家・哲学者のGiovanniには、重い心の病を患った過去がある。果たしてGiovanniは、この危機を救うことができるか?2013年David di Donatelloで、脚本賞(Roberto Andò)&助演男優賞(Valerio Mastandrea)を受賞。


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とても面白かった。Toni Servilloの双子の兄弟の演じ分けが際立っているのと、イタリアを牛耳る政治家&政治屋、そしてそれに群がるジャーナリストへの痛烈な批判が込められ、胸がスカッとした。「実際にこんなことがあったら、面白そう」と本気で考えてしまう。ああ、また妄想癖がぁぁぁ・・・。ラストシーンに登場したのは、本人なのか?それとも影武者のGiovanni?


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『追憶のローマ』のToniは、かなり鬱陶しかった。役柄に因る処もあるが、彼が200パーセントの力を投入すると、上手すぎて重いノダ。今回の作品のように、6~7割くらいでやってくれたほうが、彼の持ち味が生かされ、彼のよさが引き立ち、私たちも力を抜いて観ることができる。Valerio MastandreaやValeria Bruni Tedeschiも、出過ぎず引き過ぎずの匙加減が絶妙。Valerioは髪の量で、印象が全く違う。自尊心が高くちょっぴり偏屈なToniやValerioは、ジャーナリスト泣かせで知られているが、彼らの役者魂は素晴らしい。

製作国:Italy
初公開年:2013年
監督:Roberto Andò
キャスト:Toni Servillo, Valerio Mastandrea, Valeria Bruni Tedeschi, Michela Cescon, Gianrico Tedeschi ...


by amore_spacey | 2014-05-02 03:02 | - Italian film | Comments(0)

Padroni di casa

私のお気に入り度 ★★★☆☆(60点)

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【あらすじ】 タイル職人のCosimo(Valerio Mastandrea)とElia(Elio Germano)兄弟は、有名なポップス歌手Fausto Mieli(Gianni Morandi)の家のテラスの仕事を任された。Faustoの妻Moira(Valeria Bruni Tedeschi)が、不治の病で車椅子の生活を余儀なくされたため、彼は引退を決意した。アペニン山ろくの小さな村にある豪邸で、幸せに暮らしているかに見える夫婦だったが、実態はどうやらそうではないらしい。CosimoとEliaも傍目には普通の兄弟に見えるが、2人の間にはわだかまりがあった。またFaustoが暮らす小さな村の住人はとても閉鎖的で、この兄弟にも不信感を抱き、まるで外国人のように扱うのだった。そして兄弟と村の住人たちの関係は、ある事件を機に悪化していく。


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映画やTVドラマを観る時、観る側の心の状態やそのときの季節や天気が、多少なりとも影響するなぁと思うことがある。たとえばこの作品を観たのは、霧雨の降る肌寒い初秋のある土曜日のゆううつな昼下がり。ようやく夏のヴァカンスの楽しい思い出から抜け出して、日常生活に戻った頃だった。楽しいはずがない。そんなときに観ちゃったから、うわっ、絶望的!救いがない、救いが。ワタシの心は鉛色にどよーんと重くなるばかり。観なきゃよかった、と後悔した。もっと違う状況(例えば春らんまんの頃とかヴァカンス真っ只中)で観たなら、てんこ盛りの突っ込みをしながら、サディスティックに楽しめたかもしれない。


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と、長い前置きはさておき、この作品でポップス歌手を演じたGianni Morandiは、実生活でも現役ポップス歌手である。彼の物真似をする芸人が何人かいるほど、仕草や口調や口癖に特徴があって、顔が全く似ていなくてもジェスチャーだけで、Gianniだ!と名前を当てられる、分かりやすいおじさんなのだ。Luciano Pavarottiのお葬式に来ていた彼を見かけた時にも、Gianniらしい仕草が満載で、場違いと思いつつ心の中でクスッと笑ってしまった。あの気さくなおじさんが、表と裏の顔をうまく使い分けるこんな嫌な役もやっちゃうんだぁ。誰にも多重人格の要素があるから、今さら驚きはしないけれど、映像は直接迫ってくるから、その残酷さに心が凍りついてしまった。ところでValeria Bruni Tedeschiは、心の病を患ったり不幸な女の役がやけに多い。不幸体質なのか?実妹(異父姉妹)Carla Bruniとは、容貌も性格もずいぶん違う。

製作国:Italy
初公開年:2012年
監督:Edoardo Gabbriellini
キャスト:Valerio Mastandrea, Elio Germano, Gianni Morandi, Valeria Bruni Tedeschi, Francesca Rabbi, Mauro Marchese, Lorenzo Rivola ...


by amore_spacey | 2013-10-24 01:03 | - Italian film | Comments(0)

Gli equilibristi (綱渡り→幸せのバランス)

私のお気に入り度 ★★★★☆(85点)

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【あらすじ】 一つの過ちをきっかけに、順調な人生があっという間に崩壊していく一人の男とその家族を通して、現代社会に生きる人々の不安定さが鮮明に浮かび上がるドラマ。40歳のGiulio(Valerio Mastandrea)は、妻Elena(Barbora Bobulova)と二人の子どもCamiilla(Rosabell Laurenti Sellers)・Luca(Lupo De Matteo)と幸せな家庭を築いているかのように見えた。だが職場の同僚と不倫をし、それが妻にばれてしまう。Giulioは家を出るが、仮住まい先はなかなか見つからず、状況は深刻になっていく。(作品の詳細はこちら


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昔からイタリアの経済は、「倒れそうで倒れないピサの斜塔」に例えられることが多い。ユーロに切り替わった2002年以降、公的債務・税金・物価・光熱費などは増加の一途をたどるのに、収入は頭打ち。その結果、中小企業の倒産や失業者や若者の就職難民が増える一方である。比較的景気が良かった頃に、水面下で増殖していた大穴を、今になって国民が背負う破目になったのだ。

食費・光熱費・教育費・ローン・雑費を順に払っていくと、月末前に赤字になる家庭がある。2~3ヶ月もヴァカンスに出かけていた時代は、はるか昔のことで、この不況下、1ヶ月出かけられる人はラッキーなのだ。こんな社会状況にあるので、「離婚は金持ちだけができること」と言われるようになってきた。離婚=2つの家庭(自分と元伴侶の生活)を維持することを意味するから。家庭内別居や離婚をしている仮面夫婦が、私のまわりにいる。これなら少なくとも、住居費と光熱費は節約できる。しかし冷え切った男女が一つ屋根の下に暮らすというのは、どんなものなんだろう?そこに子どもたちがいたら?彼らへの影響は、計り知れないに違いない。


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イタリア国内に、Giulioのような男がたくさんいるはずだ。離婚後も元妻は、以前の生活レベルを下げたくない。だから弁護士を通して、双方で決めた生活費や養育費を文書に残し、元夫の生活状況がどうであろうと、規定額を請求し続ける。Giulioの悲劇は、元家族とはいえ、彼らに救いの合図を出すことができず、何とかやりくりして支払おうとして、限界をこえてしまったところにある。鉛のように重くのしかかってくる現実や元家族。まさに命がけで綱渡りのような生活をしながら、元家族に生活費や養育費を払い続ける。そこまで男のメンツに拘るのか?自分の命が危機にさらされたこの期に及んで、メンツも何もないだろうに。Giulioが不倫さえしなければ、家族4人でささやかながらも安定した暮らしができたのに。と言うのは簡単か。彼がどんどん痩せ細り、精神的に崩壊していく過程は、背筋が凍りつくように怖かった。本当の恐怖は、Giulioの成れの果てが、明日の私やあなたかもしれない、という現実でしょう。

パパのことを気にかけ心配する娘や息子たちが、不憫でならない。早く彼らの声がGiulioに届きますように、と願わずにはいられなかった。因みにGiulioの息子Lucaを演じたのは、監督の実の息子なんですね。

製作国:Italy
初公開年:2012年
監督:Ivano De Matteo
キャスト:Valerio Mastandrea, Barbora Bobulova, Rosabell Laurenti Sellers, Antonella Attili, Damir Todorovic, Lupo De Matteo ...


by amore_spacey | 2013-05-31 00:14 | - Italian film | Comments(0)

Romanzo di una strage (フォンターナ広場 イタリアの陰謀)

私のお気に入り度 ★★★☆☆(76点)

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【あらすじ】 1969年12月12日、ミラノのフォンターナ広場に面した全国農業銀行が爆破され、17人が死亡し88人が負傷した。同日ローマでも4ヶ所で爆破事件が起きた。 事件から3日後、無政府主義者Giuseppe Pinelli(Pierfrancesco Favino)が逮捕されたが、彼はミラノ警察署の4階から「飛び降りて」死亡。警察は「自殺」と言い、無政府主義者たちは「他殺」と言う。しかしこの事件の結果、左翼団体のテロリストBrigate Rosse(=赤い旅団)はミラノの警察分署長Luigi Calabresi(Valerio Mastandrea)を殺害したらしい。いまなお真相は明らかになっていない。


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ミラノで起きたフォンターナ広場爆破事件は、1960年代末~80年代初頭に起きた爆破テロ事件や身代金目当ての誘拐事件の引き金になったもので、その後イタリアは長い暗黒時代(Anni di piombo)に突入した。当時の警察捜査によると、右翼団体がこの爆弾テロを企てた目的は、無能な政府に対して民衆を暴動へ駆り立てることだったらしい。事件の容疑者たちは、証拠不十分で無罪になっているが、水面下でいったいどんな動きがあったんだろう?この事件において最優先させるべきことは、真相究明ではなく、警察の体面を保つことである、それが暗黙の了解だったに違いない。


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オープニングに登場したValerio Mastandreaなんだけど、「あなた、誰?」 いつも地毛なのに、今回はヅラを被って男前になっていたので、ドキドキしちゃった(*^^*) でも声がなァ・・・残念なんだな。

製作国:Italy
公開年:2012年
監督:Marco Tullio Giordana
キャスト:Valerio Mastandrea, Pierfrancesco Favino, Kate Mara, Michela Cescon, Laura Chiatti, Fabrizio Gifuni, Luigi Lo Cascio, Giorgio Colangeli, Omero Antonutti, Thomas Trabacchi, Giorgio Tirabassi ...


by amore_spacey | 2013-05-01 00:13 | - Italian film | Comments(0)

Ruggine (錆び)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★☆☆(60点)

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【あらすじ】 1970年代後半。トリノの小さな町はずれに殺風景なアパートが立ち並び、荒涼とした野原には錆び付いたサイロや鉄材の廃棄場がある。アパートの子どもたちはこの廃棄場に集まって、ゲームをしたり冒険ごっこをして遊んでいた。ある日この街に優秀なBoldrini医師(Filippo Timi)が赴任してきたが、彼の奇行を見た子どもたちは、本能的に危険なにおいを感じ取る。やがて2人の少女が暴行・殺害された。大人たちは、近辺をうろつく愚鈍な男が犯人だと決めつけたが、子どもたちは他に犯人がいると確信していた。これら一連の事件は、Sandro・Carmine・Cinzia3人の少年少女に大きなトラウマを残す。30年後、大人になった3人は…。


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重すぎる。ズズーーンと気が滅入った。希望の光も救いも逃げ場もない。Boldrini医師を演じたFilippo Timiの、幾分大袈裟だが舞台劇のような怪演は、一見の価値アリかも?あの医者はいったいどんな理由で、少女たちを毒牙にかけたんだろう?どんなことをしちゃったんだろう?子どもたちはそこんトコが、とても気になる。そして幼いなりに、「ひょっとしたら、アレ?」という疑惑があった。


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その疑惑は大人になって、確かなものになる。あの医者は、少女たちを性欲のはけ口にしていた。もて遊んで殺した。大人たちはあの医者のことを、「金持ちで立派な人だ」と褒めていたのに、真っ赤なウソじゃないか。疑惑が明らかになり、二重のショックである。人間不信だ。トラウマにならないのがおかしい。あのときの3人は大人になった今でも、日常生活の端々でおかしな言動をとってしまう。職員会議でCarmine(Valeria Solarino)は、ある生徒のことを執拗にかばい、Sandro(Stefano Accorsi)は半端ない密着度で息子にぴったりくっついて遊び、やや挙動不審なCarmine(Valerio Mastandrea)は、いつまでたっても真っ当な大人になりきれない。経済危機の先が見えないイタリアのようで、絶望的だ。

製作国:Italy
公開年:2011年
監督:Daniele Gaglianone
キャスト:Filippo Timi, Stefano Accorsi, Valerio Mastandrea, Valeria Solarino, Giampaolo Stella, Giuseppe Furlò, Giulia Coccellato ...


by amore_spacey | 2012-09-27 01:13 | - Italian film | Comments(0)

はじめての大切なもの (La prima cosa bella)

私のお気に入り度 ★★★★☆(84点)

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【あらすじ】 Bruno(Valerio Mastandrea)はミラノの高校で文学を教える冴えない中年男。ちっとも運が巡ってこない自分の人生にうんざりしていた。ある日母Anna(Stefania Sandrelli)が癌で余命いくばくもないという連絡を妹のValeria(Claudia Pandolfi)から受けて、久し振りに故郷リヴォルノに帰省する。彼はここで過去と対峙し、これまでの関係を修復することに決める。思い起こせば1971年の夏、8歳だったBrunoは家族と一緒にリヴォルノの海でヴァカンスを過ごしていた…。


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Brunoを演じるValerio Mastandreaの人生を投げた諦めぶりや屈折した思いや無気力な毎日が、彼の背中や薄くなった髪やだるい喋り方に垣間見えて、「おい、しっかりしろよ」と思わず肩を叩きたくなる。若かりし頃の母Annaを演じたMicaela Ramazzottiは、正統派美人でもなければものすごく顔が整っている訳でもないのに、同性の私が見てもそそられるクラクラッとくる色気を漂わせている。ちょっぴり突っ張ったところが好きだ。

思わせぶりな素振りや仕草をしないのに男たちから声をかけられる魅力的な母。彼女のエロティシズムや自由奔放な生き方に、物心ついた頃から家族は振り回されている。本当は母のことが大好きなのに、妙な嫌悪感が邪魔してBrunoはいつもひねくれていた。2人の子どもたちに無類の愛を注いできた母。そんな母を独り占めしたかったのかなぁ?エディプスコンプレックスが絡んだ母と息子の関係は、母と娘のそれよりある意味厄介なのかも。


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そして現在の母を演じたStefania Sandrelliは、さすが大御所であります。素晴らしい!息子に甘える口調や仕草、ぷいっと横向いて怒っちゃう表情が可愛らしい。あんな可愛いおばあちゃんになりたいな。


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黒白はっきりしたメリハリのある妹役のClaudia Pandolfiや、Bruno&Valeriaの子ども時代を演じた2人がとてもいい。主役と脇役のバランスが見事だった。時間をおいて繰り返し観たい作品です。

製作国:Italy
初公開年:2010年
監督:Paolo Virzì
キャスト:Valerio Mastandrea, Micaela Ramazzotti, Claudia Pandolfi, Stefania Sandrelli, Dario Ballantini ...


by amore_spacey | 2010-06-07 02:42 | - Italian film | Comments(0)